主観客観
2004年4月20日
【消費税総額表示によって懸念される悪影響】

 2004年4月1日、多くの小売業者で消費税の総額表示がスタートした。

 今回行った2004年3月のTDB景気動向調査では、総額表示の義務化による影響を調査したが、これに対する企業の声として目立ったのは、「税率改定のたびにシステム投資などの負担が重くなる」、「これは将来の消費税アップの伏線」といったものから「サラリーマンの源泉徴収と同様、納税意識の希薄化を招き国家にとってマイナス」との指摘まで幅広いものであった。

 逆に少数派だが、「今後は増税が不可欠なことから、総額表示によって環境が整った」、「値引きが起こりやすく、価格も分かりやすくなって消費に好影響」とのプラス意見があったことも事実だ。

  結果的に吉と出るか否かはもう少し様子を見る必要があるが、この総額表示が事業者間取引では適用外となっていることで、生産財や中間財の取引を行う製造・卸売業者などは、川上に行くほどこの影響から遠ざかっており、対岸の火事といった感がある。

 今回の調査で判明した、納入価格の引き下げ要請を受けた製造・卸売業者は、全6,992社のうち500社と1割に満たないものであったが、将来的には全業種で総額表示が適用されることを考えれば、いずれは、すべての製造・卸売業者へもその影響が拡大していく可能性は高い。

 消費者との距離だけではその影響がはかれない状況となり、混乱のなか実質的な値下げ合戦に発展して、再びデフレを勢いづかせることにもなりかねない。

  「事業者、消費者双方にとってなんのメリットもない悪法」と指摘する声も多数あった。政策による景気回復の足かせだけは御免こうむりたいものだ。

(大 和)


 【エコノミスト植草一秀氏の供述変化の真相】

 早稲田大学大学院教授でエコノミストの植草一秀氏が、持っていた手鏡で女子高生のスカートの中を覗いたとして、東京都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された。

 この事件については、植草氏がエコノミストとして知名度、人気ともトップクラスだったこともあって、各紙・報道機関で大きく報じられた。

 その後、植草氏は過去にも同じ容疑で逮捕されていたことが明らかとなったが、公になったのはもちろん今回が初めて。それは、警察が事件を公表するのは任意であるためだ。植草氏は言わば、警察の"ご厚意"によってその後もTV出演や講演を続けることができていた訳だ。

 しかし、今回はそうはいかなかった。植草氏は現在、逮捕直後は大筋で認めていた容疑を一転して否認しているようだが、この一連の動きについてあるマスコミは、「植草氏は今回も公表されないで済むと思っていたが、大々的に出てしまったため、あわてて否認し始めたのでは」と指摘する。

 植草氏の供述の変わり様は極めて不可解であるがゆえ、その指摘の信憑性は高いと言わざるを得ない。今回のニュースに大勢が驚かされたが、そういう意味では、最も驚いたのは実は本人だったのかも知れない。

 巷にはエコノミストと呼ばれる人は非常に多く、それぞれが日本経済の先行きや景気回復のための政策について持論を持っている。植草氏は財政積極論者として知られているが、持論を二転三転させるエコノミストが多い中で、長い間その持論を変えていない。これが彼に対する評価にもつながっていると思うのだが、今回の裏を返す供述によって、エコノミストとしての信頼をも失ってしまうのではと考えるのは私だけだろうか。

 いずれにしても、罪は罪。それも同じ過ちを繰り返したのであればなおさら厳しく追及されるべきだ。そして、警察が過去に植草氏逮捕の事実を公表しなかったことが"ご厚意"であるならば、それによって被害者が増えたことへの責任を警察にも追及するべきだ。有名人だからといって、罪の重さが変わるわけではない。       

(東麻布の宮)

 【改正派遣法で製造業への派遣はどうなる!】

 TDB景気DIでは、3月の人材派遣業のDIは51.8。前月比2.4ポイント減となったが、4カ月連続で50ポイントを上回り、サービス業ではトップと景況感は良い。リストラにより固定費削減を実施してきた企業が、景気回復による受注増への対応として、派遣社員を増加させて対応させてきたことが背景にある。

 その改正派遣法が3月1日から施行された。目玉は、製造業への派遣解禁だ。製造業の従業者数は約1,100万人と派遣業界にとっては大きなマーケットであるが、課題も多い。製造業の就業期間は3年後には3年間となるが当初は1年間の期限付きで運用されること、また、製造業では請負という形式が定着しており、ライバルの請負業界は現在、時間給の概念から生産効率を重視した出来高制の請求方法にシフトしていることである。

 派遣会社がこの牙城を崩すのは容易ではない。派遣会社側も受け入れ企業側も、就業期間が3年になるまでは様子見となりそうだ。

 日本では、派遣スタッフの業務ではOA機器操作が約半数と最も多いのに対して、米・欧では製造業への派遣が主力となっている。今後は、大きなマーケットである製造業を巡り、派遣企業、請負企業を交えた業界再編が進むかも知れない。

 派遣法改正という規制緩和により、日本型の派遣・請負スタイルが確立され、1,100万人を超える従業者数を抱える製造業を中心とした景気回復に、経済の主権復権に、役立つことを願いたい。


(脱・属国)


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