主観客観
2004年5月26日
【国内景気の行方】

  強い経済指標が相次ぐ米国経済、日本のバブル期を彷彿させるほど活況な中国経済。そうした強い経済を裏付けるように、米国では利上げ観測が台頭し、中国では過熱景気を冷ますことを目的に株式制銀行に対し一時的に新規融資の停止が要請された。

  ところが、これらの動きが明らかになった直後から、世界的に株式市場は調整局面を迎えている。日本でも連休途中から急落に見舞われ、その後の2週間程度で1,600円近くも下落した。

  確かに短期的な視点に立てば、米国の利上げはカネの流動性低下につながり、株式市場にはマイナスとなる。また、中国の景気冷却策も一時的に景気にマイナスに作用するのは避けられないところだ。

  しかし一方、長期的視野に立てば、超低金利政策からの脱却は米国にとって経済の立ち直りを意味するものである。中国も、日本のバブル経済への対応の失敗と同じ鉄を踏まないために早めにとった行動であり、長期間にわたって景気が拡大するための方策として評価できるのではないか。

  にもかかわらず結果として株価が急落したことに、筆者は疑問を感じずにはいられない。原油高やUFJの業績下方修正など、調整局面入りの理由はほかにも挙げられているが、景気DIは順調に改善しており、景気はしばらく回復基調を持続させるものと考えている。5月の景気DIの結果が非常に気になる。

(東麻布の宮)


 【デフレ脱却は幻影に過ぎない】

  量的金融緩和政策の出口論議が起こり始めている。
  素材価格の値上がりをインフレ基調としてとらえ、外需や大手製造業を中心とした設備投資の回復、デジタル景気の活況によって、早ければ2004年度後半にもデフレ脱却が実現し、その後、消費者物価が安定的にゼロパーセント以上となって、量的金融緩和政策が解除されるというものだ。

  しかし、素材価格は上昇しているが、いまだ川下ではデフレ下にあり、製造業や卸売業者では素材価格の上昇に端を発した収益性の悪化にさらされている。
  今回行った2004年4月のTDB景気動向調査でも、「契約後の素材価格上昇を訴えたが認めてもらえず、自助努力で吸収するしかない」、「過当競争のなか、販売価格への転嫁は不可能」といったものから「販売価格はデフレに変わりはなく、消費税の総額表示による値下げ圧力もある」との指摘があった。

  社会保険や年金保険料の負担は増加し続けており、近い将来、消費税率の大幅な上昇も確実視されるなど、消費意欲を悪化させるには事欠かない状況にある。企業は一層の生産性向上に取り組んでおり、IT化による人の手を必要としない環境整備も加速している。

  さらに、失業率は依然として5%前後と高水準で、雇用が安定しているとは言えず、おまけにフリーターの増加に加えて、就業意欲のない無就業者が増加し、今後、消費に回る日本の個人資産は減少していくだろう。

  かといって、昨年までのアメリカで見られたような、返済の可能性を無視した、極端な借入れの増加による個人消費の拡大など起こるはずもない。

  継続的な物価上昇局面に転換する可能性は小さく、デフレ脱却は幻影と言わざるを得ない。一時期、消費拡大の代表格であったデジタルカメラでさえ、いまでは価格下落による収益性の低下に直面していることを考えればなおさらだ。

  しかし、明るい材料がないわけではない。
  年金受給者や受給が視野に入った経済的にも安定的した方々は、数少ない消費の原動力として期待できるだろう。現在、市場拡大が続く薄型テレビの主要購買層はその年代であり、そういった意味では、団塊の世代が年金を受給し始める数年後が、ひとつの景気転換点となる可能性はあるのではないかと感じる。      

(大 和)

 【ゴールデンウィークにみた消費 】

  経済社会総合研究所の2004年4月の消費動向調査では、一般世帯の消費者態度指数は前月比2.7ポイント改善の45.4で「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の4項目の意識指標いずれもが前年同月より改善している。

  今年のゴールデンウィーク(GW)は、国内航空15社が発表した期間中(4月28日〜5月9日)の搭乗客実績では、国際線旅客が約27万9,000人で前年同期比2倍、国内線も約311万9,000人で同17%増と海外、国内ともに大幅改善。また、JR旅客6社発表のGW期間中(4月28日〜5月5日)の旅客輸送実績でも、同24%増の837万6,000人と1987年の民営化以来で期間最高となった。

  この活況の背景には消費の本格回復があったか?いや、そうではない。
  今年は、前年同期に比べてSARS問題やイラク戦争の不安要素が改善されたこと、曜日めぐりに恵まれ長期休暇の取得が容易だったことが大きな要因であり、消費回復を背景にした大量移動とは言い切れない。

  いまやレジャー関係費は消費支出の約1割を占め、サービス関連業種の景気DIに与える影響は大きいが、4月の景気DIを見る限り、「飲食店サービス」が前月比5.3ポイント増、「娯楽サービス」が同4.7ポイントと大幅に改善した一方、「旅館・ホテル」は同1.0ポイント減と悪化した。国内航空線、JRともに活況だったGWは、直接的に国内消費に結びつかない海外遠征組と安・近・短レジャーや帰省などの国内組が活況だったようで、滞在型のレジャーまでには及ばなかったようだ。


(脱・属国)


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