主観客観
2004年6月8日

【株価と景気の相関関係】

  前回の主観客観で、景気が拡大基調を続けるなかでのゴールデンウィーク以降の株価急落について疑問を投げかけると同時に、マインド悪化による景気DIへの影響を懸念し、5月の調査結果が気になると述べた。

  その気になる調査結果だが、前月より0.5ポイント減とやはり悪化し、15カ月続いた改善傾向がストップする形となった。

  その要因には調査結果概要にも記述したように、@一部の経済統計に景気回復の一服感が見られるようになったこと、A原油高と素材価格の上昇、BUFJホールディングスの赤字転落、などが挙げられる。

  しかし、C株価下落、も大きな要因になったことは間違いないところだろう。

  景気とは何かという問いに対し、人間心理の集合体という見方があり、これに準じて今回のDI悪化の要因としてCを挙げている。すなわち、株価下落によって回答企業の心理=マインドが悪化し、景気DIが悪化したという訳だ。

  一方で、"株価は景気に先行する"という前提がある。これは、景気の天井より株価の天井が先行するという株式市場の性質を示したものだが、これに準じると、景気DIの悪化は株価下落によるものではなく、景気後退への転換が近づいたことによるものということになるのだ。

  今回の株価下落は、景気DIを一時的に悪化させただけなのか、それとも景気DIの悪化基調への転換を示唆したものなのか。これに対する解答は、今後の景気DIの動きで自然と導かれることになるが、当然、前者であることを期待して止まない。幸い最近は株価が戻り基調にあり、杞憂であって欲しいものだ。

(東麻布の宮)


 【拡大つづく国民負担、縮小均衡へ】

  企業負担を強いる年金制度改革関連法が6月5日、参議院で可決、成立した。

 
今回行った2004年5月のTDB景気動向調査では、毎年段階的に増加する保険料負担によって、過半数の企業が人件費削減など雇用抑制への動きを検討することが判明した。

 
企業の雇用抑制の動きは、5%前後と高止まりする失業率を押し上げるだけでなく、GDPの約6割を占める個人消費を減少させる要因ともなる。

 
消費税率は、2007年度にも上昇することが見込まれているが、今回の改悪とも言われた年金制度の変更に絡み、早くも消費税を財源とした見直し案が浮上するなど、国民負担のさらなる拡大を危惧する声はますます高まっている。

 
社会保険庁の発表によると、2002年度末の国民年金の納付率は62.8%と過去最低を記録し、20歳代では50%以下となっている。年金不信の拡大に伴って、受給を期待しない若年層の増加が予想されるなか、納付率が今改革の前提となった80%まで改善されるとは思えず、このことがさらに年金不信を加速させ消費の抑制にも拍車をかけることとなるだろう。

 
景気の回復基調を受け、量的金融緩和政策やゼロ金利政策の解除について議論されはじめているが、消費の抑制圧力がこれからさらに高まっていく可能性があることを考えれば、流動性の低下を回避するため、これまでの金融政策を今後も継続すべきとの意見は根強い。

 
フリーターや、就業意欲のない無就業者の増加によって、消費に回る個人資産の減少も危惧されている。

 
内需の原動力は、団塊世代や年金受給者の一部に依るところが大きく、今後も爆発的な消費拡大やデフレ脱却を果たせぬまま、縮小均衡が図られる公算が大きい。

(大 和)

 【リコール隠し問題】

  2004年5月調査期間中に三菱自動車工業のリコール隠し問題が連日のように報道されていた。

  三菱自動車工業・水島製作所の影響が強い岡山の企業からは、「親企業が三菱自動車系なので先が読めない(トラック部品製造)」、「当地区の景気は、諸問題を抱える三菱自動車工業の生産が上がらないので厳しい(運送)」等の意見や、また、愛知・岡崎工場の閉鎖決定で「これまで景況感は良かったものの、今後は三菱岡崎工場の件でこの地方の部品業界に不安感がある(自動車部品製造)」と同社関連の受注を請け負う企業・地域からは先行きを不安視する意見が寄せられた。

  現在、車1台当たりの部品点数は2〜3万点。不具合は無いにこした事はないが実際に発生しているのは事実だ。この観点に立てれば、スムースにリコールの届出がなされ、事故を未然に防ぐとができたのではないかと考えるのは私だけだろうか。

  企業の責務は、その取引先、従業員およびその家族、地域経済にまで大きな影響を及ぼす。今回もまた、取引先を信じた多くの人々が犠牲になりそうだ。

  調査終了後に成立した年金制度関連法案も、成立前からリコール対象の声が大きかった。

  最近の政治にしても、企業経営にしても「自分の代だけが旨くいけばよい」という考えが、より強くなってきているように感じてならない。国民、顧客側にたった政治、経営こそが永続的な発展には必要不可欠とあらためて考えさせられた。

(脱・属国)


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