主観客観
2004年7月12日

【(続)株価と景気の相関関係】

  前回の主観客観では、景気DIが悪化に転じたのはGW明けの株価下落が影響したのか、それとも景気のピークアウトを示唆したものなのか、その時点では分からない、とした。これに対する答えは今後の景気DIの動きで自然と導かれる、とも言及した。

  その景気DIだが、結果は2カ月連続の悪化。調査期間中、株価が戻り基調であったなかでの悪化であることから、その要因は株価下落に伴うマインドの後退ではなく、景気ピークアウト説が濃厚になった。

  7月1日の日銀短観は、企業の景況感がバブル崩壊後の最高となり、日本の着実な景気回復を裏付けた。しかし、その指標に期待して上昇していた株価は、短観の発表を境に下落した。株価は今後の景気の行方を映すと言われ、今後も景気が回復基調をたどるのであれば株価は上昇することになる。だが、現実は上がっておらず、1年以上続いた景気回復局面が終焉しつつあることを認めざるを得ない。

  一般的に、好材料が出ても株価が上がらないときは天井、悪材料が出ても株価が下がらないときは底と言われる。今回の日銀短観はこの上ない好材料であり、それに従えば株価は天井を打ったことになる。つまり、景気はピークアウトしたということだ。

  今回の日銀短観は良かったが、さて今後もこれ以上良い指標が出るのだろうか――景気DIと株価を見る限り、それは不可能と見るのが自然だ。

  2002年5月に政府が"景気底入れ宣言"し、株価はその翌日から下落し続けたのは記憶に新しい。今回の株価の動向は、その時の状況と似ている気がしてならない。

(東麻布の宮)


 【デジタルバブルがやってきた】

  薄型テレビは、2003年度にデジカメ、DVDと並んで「新三種の神器」と言われ、大手製造業を中心とする業績回復の大きな牽引役となった。2004年度に入っても景気の回復基調を背景にその勢いは加速しているように見えるが、さてその実態は・・・

  先日、2003年度の薄型テレビが出荷額で初めてブラウン管テレビを上回ったことが大きく発表された。台数ベースでは、薄型テレビの177万台に対してブラウン管テレビが4倍超の716万台と、依然その差はあるものの、薄型テレビ市場の拡大を印象づけるに十分な話題であった。

  2004年度に入っても、メーカー・小売店ともに猛烈な宣伝広告を展開中で、販売状況の好調さをアピールすることにも余念がない。アテネオリンピックと猛暑に乗った雰囲気作りによって異常な盛り上がりを見せており、もはやバブルとしか表現しようのない過熱ぶりとなっている。

  テレビに数十万円をつぎこむ消費行動が加速している現状を、異常と切り捨てるわけではないが、この勢いを長期間持続させるのは無理があろう。テレビ市場が薄型に移行していくこと自体は否定しないが、DVDレコーダーがVTRに比較し圧倒的な利便性を誇っているのとは、大きく状況が異なっているのだ。

  雇用不安や年金問題など、消費意欲の減退要因は多数あり、家電量販店の生存競争、低価格競争にも巻き込まれる形で単価の下落は確実に進行している。そのようななかでも、まだまだ購買層は限定的で、作れば売れるという売り手市場一辺倒ではないのだ。

  ITバブル、ならぬデジタルバブルがやってきたと言えよう。拡大期を捉えての一気呵成、の後のこれからの動きに注目していきたい。


(大 和)

 【個人消費の暑い夏 】

  気象庁発表の6月の気温は、観測150地点中32地点が月平均気温の最高値を更新し全国で平年を上回った。
  冷夏により夏物需要が低迷した昨年とは違い、熱い夏の始まりで夏物商材への期待がかかっている。

  しかし、『小売』業界の景気DIは前月比1.7ポイント減の40.1と低調となった。デジタル家電で「家電・情報機器」は好調だったが、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(37.9)は前月比2.3ポイント減と40ポイントを割り込み、「専門商品小売」、「各種商品小売」もそれぞれ落ち込み、全体の足を引っ張った。

  例年、7月の風物であった夏物バーゲンが6月からの開催も増え早期化傾向にあることも影響しているようだ。「いかに早く他店より商品を売り切るか」という需要先食いの動きに、気温上昇も手伝って早期化が早期化を呼ぶ展開となっている。バーゲン前の利益の取れる時期を短縮しても売り切る動きだ。

  一部では、「消費が底堅い」「消費が回復基調」と言われているが、デジタル関連商材への選択消費で限定的と言わざるを得ない。先行きへの所得不安があるなかでは、選択消費された商材の裏には、購入が控えられた商材が犠牲になっている。

  GDPの55%を占め、景気に大きな影響を与える個人消費が本格回復するには、企業収益の改善と先行きへの不安解消が必要だが、TDB景気DIは2カ月連続で悪化、先行き見通しDIもいずれも悪化と、まだまだ厳しい情勢が続きそうだ。

(脱・属国)


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