主観客観
2004年8月6日

【三菱東京―UFJ統合の思惑】

  国有化回避の条件である今期の黒字化。それを阻むように大きく立ちはだかる不良債権比率4%台のハードル―UFJホールディングスにとって、この相反する経営課題を解決するためには、やはり経営統合の道しか残されていなかったようだ。

  相手は、住友信託銀行の反感があって紆余曲折は避けられないものの、三菱東京フィナンシャル・グループに決定している。UFJにとっては、国有化の不安なく不良債権を処理できるメリットを得たわけだ。

  三菱東京側のメリットとしては、資産規模で世界一になることや、リテール分野の強化などが挙げられている。しかし、真の狙いは違ったところにあると指摘する向きも少なくない。日本のリーディング企業トヨタグループがバックについているUFJを手中に収めて、急務となっている三菱自動車工業の経営立て直しをスムーズに進めようというのだ。

  確かに、三菱東京が資本を毀損させてまでUFJと経営統合するからには、相応の打算があって然るべきだろう。特に、2000年以降の再編で4グループのメガバンクに集約されたばかりで、システム面で不安を残すなど経営統合のひずみも指摘されているなかでの決断であり、ただ規模拡大を狙ったという理由では不十分なのも頷ける。

  真偽のほどは定かではないが、三菱の企業再建手法は大手商社の一角だった兼松を例にとっても分かるとおり、ドラスティックに行うことで知られているだけに、三菱自動車の再建をどのように行っていくのか、注意深く見守っていきたい。

(東麻布の宮)


 【デジタル景気の持続に期待】

  2004年8月に入ってもDVDレコーダーや薄型テレビの消費行動には、いまのところ衰えの気配は見られない。

  今回のTDB景気動向調査(2004年7月)では、デジタル景気に関して企業から「年内はこの傾向が続く」といった声が少なくなかった。つまり、クリスマスや年末商戦までは拡大が続くと見ているわけだ。

  2003年度に薄型テレビがブラウン管テレビを出荷額で上回ったが、台数ベースでは薄型テレビの177万台に対してブラウン管テレビが4倍超の716万台と、依然その差は大きく、市場拡大の余地は残されていると言えよう。

  しかし、DVDレコーダーがVTRに比較し圧倒的な利便性を誇っているのとは大きく違い、テレビに数十万円をつぎこむ消費がこのまま一辺倒に加速してくとは思えない。

  外部要因として、金利の上昇、原油や素材価格高騰の長期化、米中の景気減速懸念の高まりなど、新たな先行き不安が台頭してきている。内部では、雇用不安や年金問題など消費意欲の減退要因は多数あり、依然としてデフレ脱却は図られていない。企業業績の拡大が、これ以上家計部門へ波及するのは困難との見方も根強い。

  政策に足を引っ張られて停滞している印象が強い個人消費だが、一段の景気回復を実現するためにも、デジタル景気の持続に期待したい。


(大 和)

 【堅調な回復?】

  7月13日発表の月例経済報告の基調判断では、「企業部門の改善が進み、着実な回復を続けている」から「景気は、企業部門の改善が家計部門に広がり、堅調に回復している」と変更された。

  果たしてそうだろうか。昨年の冷夏から一転、今年の夏は、好天候に恵まれていることで、衣料、飲料の夏物商材が伸びていることや、農作物の豊作が期待できることなど、あくまで、天候によることが大きい。

  今回の調査に寄せられた意見にも、「猛暑による需要回復で一過性のもの」として、逆にその反動を危惧する声も多かった。

  実際、先行き見通しDIも3カ月後が前月より改善したものの、6カ月後、1年後は横ばいで、先行きを楽観する意見は一部の好調業種や大企業に限定されている。

  大企業での勝ち組と負け組の2極化がより鮮明となり、また、中小企業でも、「大企業は、儲からない仕事を下請けに移し、儲かる仕事を取り上げてしまった。中小零細企業は大企業の犠牲になって、景気回復のニュースなんぞどこの話かという状況である。」と中小企業は蚊帳の外である。

  先行きに期待はあるにせよ、不安要素の方が大きい。

  従業者数で約6割を占める中小企業の回復がなければ、堅調な回復は望めない。

(脱・属国)


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.