主観客観
2004年9月7日

【猛暑とオリンピック、経済効果への疑問】

  "あつい"夏が、ついに終わった。過去最高気温を多くの地域で塗り替えた今年の記録的な猛暑だけでなく、最多タイの金メダル獲得数となったアテネオリンピックも、興奮冷めやらぬうちに閉幕した。
  一般的に暑い夏は経済効果が高く、企業にとって"猛暑"は歓迎すべきことである。そして、今年はオリンピック開催年。猛暑だけでなく、オリンピック効果を期待した業界も多かったに違いない。

  実際、7月はビールや清涼飲料水などの飲料メーカーやPDP・液晶テレビ関連企業、小売各店の売り上げは好調だったようで、7月の全体の景気DIは45.4と前月比1.7ポイント改善、過去最高水準に達した。とりわけ小売業界では同2.6ポイントも改善しており、全体の景況感改善に大きく寄与した。

  しかし、8月も変わらずの猛暑が続き、オリンピックが実際に開催されたにもかかわらず、8月の景気DIは一転して悪化。特に小売業界は同3.0ポイント減と、前月の上昇分以上の落ち込みとなった。
  これについて企業の意見を見てみると、猛暑で活況を呈した企業があった一方で、猛暑によって売り上げが落ち込んだ企業も案外多かった。「猛暑で外出を控える人が多かった」からだそうだ。オリンピックについても、同様に外出を控えることにつながったと嘆いた企業があった。

  こうしてみると、猛暑やオリンピックは特需をもたらす一方で、少なからず悪影響も与えていることが分かる。マスコミは特需のみ大々的に取り上げるが、それは局地的な見方に過ぎないのだ。
  いずれにしても、景気DIを見る限り期待されたほどの経済効果はなかったというのが、今年の猛暑とオリンピックを経験しての感想だ。日本経済は特需に期待するのではなく、人々の懐に"あつい"財布が戻ってくることを期待してもらいたいものだ。

(東麻布の宮)


 【到底不可能な自律回復】

 
2004年8月のTDB景気動向調査で、景気回復は一進一退にあることが浮き彫りとなった。
  この夏は、猛暑やオリンピック効果で一定の経済効果が見られたものの、原油価格の高騰やアメリカ経済の失速懸念によって先行き不透明感が増幅した。また、個人消費と並んで景気回復の牽引役となる設備投資は、2004年度上半期までで6割の企業がピークを迎えることが明らかとなり、回復基調の持続は困難な状況となりつつある。

  2004年9月中間期における大手企業の好業績確認や好調なデジタル家電のクリスマスや年末商戦への期待感によって、上昇局面も期待できるが、年明けには2005年度への不透明感から再びマインドは悪化することとなろう。それを見越して、日経平均株価は年末高の年度末調整と見る向きは多い。

  ただ、楽観的に見れば、日本の回復基調は持続可能との見方もできる。原油や素材関連では、需給バランス解消によって収益性悪化への懸念が払拭され、また、減税による消費喚起が続くことでアメリカ経済が堅調さを保つ道は残されている。中国でも、アメリカへの輸出が高水準で推移する可能性をまったく否定するものでもない。

  しかし、その場合においても、日本の雇用や消費などは現状程度で推移し、本格回復に至ることはないだろう。日本がアメリカのように膨大な貿易赤字となるまでに消費大国となる要素はなく、また、日本が自律回復(民需および内需で景気回復を実現)するための政策的な後押しも期待できない。

  今こそ、本格回復へ向けた景気刺激策を期待したいところだが、厳しい構造改革のあとには税制面での引き締めが待っているという現状では、自律回復など到底不可能と言わざるを得ない。

(大 和)

 【歩み寄る人口減による不安 】

  合計特殊出生率(厚生労働省発表)が、2002年の1.32から2003年に1.29へ低下、戦後初めて1.2台に突入した。
  また、住民基本台帳に基づく人口調査(総務省発表)では、2004年3月末の日本の人口は、前年同期比で0.11%増と過去最低の伸びにとどまり、労働力の担い手となる15歳以上65歳未満の生産年齢人口は同0.3%減となった。

  政府の見通しを外れて、人口減の傾向がより強まってきた。日本の人口は予想では2007年に減少に転じ、2100年には約6,000万人にまで半減することが推計されている。
  出生率の低下傾向がこのまま続けば、社会保障制度の設計がを根底から覆され、また、労働力や消費の減少で企業企業活動が低下し、経済成長の長期衰退は目に見えている。

  99年12月に策定した少子化対策推進基本方針の「少子化対策は、(中略)、21世紀の我が国を家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会にしようとするものである。」という考えのもとで、『新エンゼルプラン(2000年度〜2004年度)』が実施されたが、出生率を見る限り、その効果は表れなかった。

  現在、政府は2004年6月に閣議決定した「少子化社会対策大綱」をもとに、2004年度中の完成を目指して『新新エンゼルプラン』を策定しているが、先の年金法案のように不安だけを増長するものではなく、国家百年の計で取り組んで欲しいものだ。

(脱・属国)


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