主観客観
2004年10月7日

【世界経済の回復あっての原油高】

  原油高が止まらない。10月に入り、ニューヨーク原油先物相場(WTI期近)は11月物で初めて1バレル50ドルを突破し、さらに上値を追う動きを見せている。

 
ここへきての上昇要因は、米南部に上陸したハリケーンによる石油精製施設への被害と有力産油国ナイジェリアの治安悪化ということのようだが、根底には世界的な石油需要の拡大、つまり世界経済の回復という前提があることを忘れてはならない。

 
巷間、"原油高によって世界経済が悪化する"と論じられ、その影響もあって株式市場は世界的に調整局面が続いた。しかし、その論調は因果関係がまったく逆になっていると感じずにはいられない。つまり、原油価格は世界経済の動向によって決定されるのであり、原油価格によって世界経済が左右されるわけではないということである。

 
原油高の進行がコスト上昇を招き、経済へ影響を与えるということを否定するつもりはないが、少し悲観的になりすぎているように思う。これまで日本経済はリストラ一辺倒の経営で、いかにコストを下げるかということに邁進してきたため、コスト上昇に大きな不安を抱くのは仕方ない。しかし、原油価格がこれから急激に上昇しない限り、需要拡大がコスト上昇を吸収しながら、世界経済の成長を実現させるのではないだろうか。

 
原油価格は1バレル50ドルを超えて以降も、ジワジワ上昇し続けている。中国などアジアの景気拡大はしばらく続くことが予想されており、短期的に原油価格の下落は見込みにくい。にもかかわらず、これまで原油価格に敏感だった世界の株式市場は落ち着きを取り戻し、日経平均株価も戻りを試す展開。「原油高=世界経済の悪化」という現在の論調の矛盾に市場がようやく気付き、これからは「原油高=世界経済の回復」という論調が主流になってくることを期待したい。

 
あくまでも緩やかであることが条件だが、原油価格の上昇は歓迎することであって悲観することではない、と思うのだがどうだろうか。

(東麻布の宮)


 【デフレ継続、景気の本格回復には道険し】

  10月4日に発表された8月の毎月勤労統計(速報)によると、1人当たりの現金給与総額が前年同月比0.2%減(28万8,524円)と4カ月連続でマイナスとなった。

  生産性の向上など収益構造の変化によって、過去の景気回復期と異なって、好業績と従業員数増加の間には関連性の低下が指摘されている。大手製造業を中心とした業績回復・拡大傾向とは裏腹に、雇用や給与、個人消費への好影響は限定的で、デフレ脱却には明確な見通しがたたない状況だ。

  原油価格や素材価格の高騰は、仕入れ単価の上昇を招いているが、最終消費財の段階では依然として価格引き下げ圧力が強く、多くの小売業者では消費者の低価格志向に沿うかたちで価格競争を続けている。高級志向の増加などはごく一部に過ぎず、DVDや薄型テレビなど景気回復を下支えしてきたデジタル家電でも、小売各社の生存競争に巻き込まれるかたちで、メーカーでも利益率の低下が進んでいる。

  このことが企業を一層の生産性向上へと追い込んでおり、中国企業などとの国際競争も手伝って、収益確保のための企業努力や雇用形態の多様化を生み出し、単価下落のスパイラルへと向かわせている。

  外部要因を見ても、年金保険料の段階的引き上げや定率減税の縮小、近い将来確実視されている消費税率10%台後半への上昇など、消費者の先行き不安感をあおる政策には事欠かない。もはや若者に、年金受給をあてにした生活設計をたてている者などいないだろう。

  現在の経済環境のなかで、原油高は収益構造の変革を促し雇用・所得の抑制へとつながって、かえってデフレ基調を高める結果ともなっている。政府は、2005年度後半に消費者物価指数の安定的な浮上(0%以上)を見込んでいるが、到底不可能と言わざるを得ない。

  残された方法は、アメリカのような政策的な消費喚起策を打ち出すことしかないのかもしれない。いまアメリカが単独で担っている"世界の消費大国"を日本も引き受けるということだ。結果、アメリカのような膨大な財政赤字と貿易赤字へ転落することを覚悟する必要はあるが・・・。この場合、「強い円」でないと世界がついてこない。

  小泉首相が「構造改革なくして景気回復なし」と宣言してから3年。先日、改造内閣が発足したが郵政改革で手いっぱいの気配だ。「いいかげん景気拡大への積極策をとってもいいのでは?」との地方や中小企業の声が届くのはいつになるのだろう。

(大 和)

 【景気回復のポラリスになりえるか? 】

  社会経済生産性本部発表の「労働生産性の国際比較2003年版」では、1991年から2001年の間の実質GDP労働生産性(就業者1人当たりの国内総生産)上昇率は、中国が年率平均6.8%で60カ国中トップ、韓国(同4.2%、第4位)、シンガポール(同3.8%、第5位)、マレーシア(同2.7%、第10位)とアジアが上位に顔を連ねるが、日本は年率平均1.0%で第41位となっている。

 
中国は2002年11月の中国共産党大会で2020年に国内総生産(GDP)を2000年の4倍増とする目標を打ち出し邁進しているし、韓国も97年の経済危機からトンネルを抜け復活途上と、同じアジアの住民として、うらやましい限りだ。

 
日本では、隣国の韓国ドラマ"冬のソナタ"が火付け役となり以後も韓流ブームが続いている。熱は冷めるどころか、放送業界では地上波、BSデジタルを通じて韓国ドラマを放映、また、ブロードバンド各社も新規会員の獲得のため、目玉コンテンツに各種韓国ドラマの配信が活発化している。

 
その一方で、閉塞感の漂う日本の行く末が気になるところ。

 
冬ソナでチュンサンから恋人ユジンへのセリフで有名になった「ポラリス(北極星)は、いつも北の空に輝いている。だから今度、もし道に迷ったらポラリスを探せばいいんだ」−今回の調査期間中に第2次小泉改造内閣が発足したが、新内閣は景気回復への進むべき道を指し示してくれるポラリスとなるのか。
(脱・属国)


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.