主観客観
2004年12月7日

【バブルを作り出す投機マネー】

  景気DIが前月比で4カ月連続悪化し、ついに今年6月の43.7を下回る43.5まで落ち込んだ。
  この結果、DI推移をチャートに見立てると、今年4月と7月が"ダブル天井"となり、以降は下落を示唆するシグナルが点灯したことになる。これは、調整局面続く日経平均株価と一致した動きだ。
  悪化した最大の要因は、リリース資料にも記述されているが、急速な円高ドル安の進行である。規模別では大企業の落ち込み幅が大きく、地域別では関東や東海といった大企業の集積地域の悪化が目立つ。為替に敏感である大企業の景況マインド後退が、DIに反映されたわけだ。
  これまで原油価格の高騰が日本経済にとって最大の懸念材料だったが、ここへきて為替にとって代わってきている。"一難去ってまた一難"というところだが、背景には行き場を失った投機マネーの存在が大きい。
  世界経済の回復と世界情勢の不透明感から、世界の投機マネーはまず原油へ向かい、1バレル55ドル前後まで買い上げた。そして今は、ひと相場終わった原油を売る替わりに、為替へと矛先を変えた。言うまでもなく米国の双子の赤字が米ドル売りの背景にあり、買い上げる要因は揃っていると言える。最近では金もターゲットにされているようだ。
  円高は"今後も進む"がコンセンサス。米ドルに問題があるだけに政府介入の効果も疑問視されており、手も足も出ない状況になる可能性をはらんでいる。
  原油から為替、金へと移動した投機マネーは、世界的な低金利政策のなかでだぶついている状態にあり、今後もより勢力を増しながらバブル相場を形成していくことだろう。そして、いつの日かターゲットが株式市場になったとき、世界経済は再びバブルへと突入することになる。

(東麻布の宮)


 【増幅する先行き不安〜原料高騰と為替リスク〜】

  2004年11月25日、日産自動車(以下日産)は5日間の操業停止を発表した。
  世界的な鋼材需要のひっ迫が原因だが、11月時点で操業停止を発表したのは日産のみで、それ以外の自動車メーカーでは、12月に入ってスズキが休日稼働(湖西工場で1日、磐田工場で2日)と残業の休止を余儀なくされると発表したほかは、生産計画の変更には至っていない。
  さらに日産は、12月2日、需要増となる2005年3月にも1万5,000台の減産リスクがあることを公表した。
  これら日産での減産発表の裏には、「ゴーン・ショックへのしっぺ返し」(鋼材業者)があると言われている。日産は経営改革過程において、コスト削減を目的に厳しい価格交渉や取引先の絞り込みを断行していった経緯がある。
 しかし、2004年、これまで買い手市場であった鋼材が、中国など経済発展著しい国々での需要急増や国内経済の回復によって売り手市場へと変貌し、最近では、値上げ交渉も含めて自動車メーカーは鉄鋼各社の要求を聞き入れざるを得ない環境となってきている。
  特に、日本の自動車業界にとって国内の鉄鋼メーカーは最も重要な仕入先であり、「自動車用の薄板など最先端技術を有する部材は他の新興国では代われない事情がある」(同)と言い、これらはほぼ国内で消費されており、輸出するほどの余裕はないもようだ。
  今後も中国経済の拡大基調は継続するものと見込まており、原料や鋼材の不足は長期化の様相を呈している。
  日産やスズキは注目度が高いため原料不足による影響が表面化したが、これらの事例は中小零細企業でも数多く聞かれる。また、原料を調達できたとしても依然としてデフレ下にある日本経済において、仕入価格の高騰は企業収益の圧迫を招いている。
  さらに、米財政問題に端を発した為替リスクが追い打ちをかけており、いまだ回復の実感が得られない中小零細企業にとって厳しい経営環境に拍車がかかっている。
  大企業でも、バブル崩壊以降、雇用や賃金体系の見直しによって収益体質の改善を図って、ようやく回復過程に入ってきたものの、状況は再び悪化している。
  原料高騰と為替リスクは、ともに構造的な問題を抱えており、早々にカタがつく話ではない。定率減税の廃止や年金、消費税問題など消費のマイナス要因にも事欠かない状況で、先行き不安は高まるばかりだ。

(大 和)

 【ハードとソフト】

  「小売」の景気DIは前月比1.7ポイント減と3カ月ぶりに悪化し38.7となった。暖冬や円高で繊維小売の落ち込みが厳しく、今年は自然災害が消費マインドに悪影響を及ぼしている。昨年は12月から2004年4月まで5カ月連続で改善したが、今年はどうなるか。
 
年末商戦のスタートに注目が集まるが、年末商戦の目玉の一つに携帯型ゲーム機市場がある。

 
12月2日に「ニンテンドーDS」(税込価格15,000円)が発売された。近年の動きは、ゲームボーイ(2001年3月発売、同9,240円)、ゲームボーイ アドバンスSP(2003年2月発売、同12,500円)と機能の進化とともに価格も進化している。
 
一方、12月12日にはソニー陣営にとって携帯ゲーム機市場への初めての商品投入となる「プレイステーション・ポータブル(PSP)」が発売される。税込価格は20,790円で、価格は高いがメモリースティックを利用すれば静止画、動画や音楽を楽しむことが出来るマルチ型といえる。
 
発売時のソフトはDSが13本、PSPが6本となっており、数ではDSに軍配があがるが、両陣営ともに、今後、有力ソフトの開発と囲い込みが活発化しそうだ。

 
ソフトウェアメーカーの囲い込みという点では、映像録画分野も同様だ。現在、次世代DVD規格での規格競争が活発化しているが、ブルーレイ・ディスクとHDDVD陣営も、現在、有力映画配給会社の囲い込みでシェアを争っている。 顧客にとっては、価格が安く高機能であればそれにこしたことはないわけだが、VHSとベータのように、過去からメーカ間の統制はなかなかとれない。現在のDVD規格(DVD±R/±RW/RAM)の数を見ても、メーカー側だけでなく、購入者側にも、勝ち組と負け組ができそうだ。
 
定率減税の段階的廃止、消費税率引き上げなどの先行き不安だけが増幅するなか、なけなしの資金から捻出して買う商品が期待を裏切らないものであって欲しい。

(脱・属国)


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