主観客観
2005年2月7日

【上場会社の債務免除要請ラッシュ再び】

  今年4月1日以降に迎える決算(2005年度決算)から、すべての上場企業に減損会計が強制導入される。

  減損会計とは、企業が所有している不動産などの固定資産の収益性が大幅に悪化し、資産価値が簿価を大きく下回っている場合に、将来の一定期間の予想収益と簿価との差額の損失計上を義務づける制度。つまり、資産の簿価分を回収できるかどうかという点に着目した制度と言える。

  "一定期間"の算出方法については、資産の経済的残存使用年数(税法上の耐用年数とは異なる)と20年のいずれか短い方という考え方が一般化しつつあるようだ。

  損失が表面化することになる減損会計については、2005年3月期までに前倒しで導入する企業も多いが、それは体力のあるところに限られている。一方、内部留保の乏しい企業にとっては、債務超過転落への不安増幅以外のなにものでもない。

  聞くところによると、特に鉄鋼や非鉄などのオールドエコノミーへの影響が大きいようだ。広大な製造設備を有するこれらの業界では、保有する固定資産も大きいことがその理由。実際、比較的規模の小さい上場非鉄会社では、2005年3月期に前倒し処理する結果、債務超過に転落するようだ。

  同社は、取引金融機関からの債務免除で免除益を計上し、早急に債務超過を脱する計画を立てている。しかし、なかには上場といえども債務免除が通らないところも出てくるのは確実で、その結果、市場から退場を命じられる企業も出てくるだろう。

  今のところ、そういった事態を懸念する声はあまり聞かれない。しかし、来年度に再び債務免除要請ラッシュ、あるいは倒産ラッシュが起きても不思議はないことを、心に留めておきたい。

(東麻布の宮)


 【拡大する中国、牽制するアメリカ、狭間の日本】

  2005年1月下旬、アメリカと韓国がFTA(自由貿易協定)の締結を視野に入れた政府間協議を開始すると発表した。

  この背景には、アメリカ最大の関心事である農産物の輸出拡大があるが、それ以外にもアジア圏での戦略的な構想があると言われている。

  それは、西アジアから朝鮮半島までを海岸線沿いになぞった『不安定の弧』と呼ばれるアジア大陸において、最も懸案となっている東アジア圏にアメリカが通商分野で絡もうとするもので、特に、拡大する中国への牽制を狙っているというものだ。

  その中国が、アジア圏、または東アジア圏の枠組みの中で熱望しているのは、経済だけでなく政治・軍事の両面でもアメリカ以上の大国へと成長し、確固たるアジアNo.1の指導的立場を勝ち取ることである。

  それに対してアメリカは、日本や韓国、台湾などへの影響力を保つだけでなく、今後様々なシーンで一層の関係強化を図って、アジアにおけるアメリカの存在感を前面に押し出そうとする局面を増加させてくるものと思われる。

  そのようななかで、日本はFTAで周回遅れの状況にあり、政治的にも歴史問題などを背景に弱腰が目立つことから、相対的な経済の影響力が徐々に地盤沈下を起こしつつある今、将来的には「アジアの端っこの国」といった立場に凋落する懸念もある。

  これまでの「アジアNo.1」といった誇りは結構だが、それがアジア各国との融和を妨げるものとならなければ良いのだが・・・。

  かつて大英帝国と呼ばれたイギリスでは、縮小均衡の末、アメリカとの関係強化によってEU主導のヨーロッパのなかで存在感を示している現状を考えると、日本も気づいたらいつの間にかそのような雰囲気になっていた、ということも十分に起こりうる。

  人口13億人。国土が広く資源も豊富・・・そんな加速し始めた中国の拡大は止めるべくもない。では今後、日本はどのような立場を目指していくのか。将来を見据えた国家的戦略を真剣に考えるべき時が来ていると言える。

(大 和)

 【求められる信頼】

  2005年に入り、金融機関では新たな問題が急速に持ち上がっている。

 
スキミングによる偽造キャッシュカード問題がマスコミの報道で大きく取り上げられてから被害者の会も立ち上げられたからだ。

 
その犯罪からの金融機関側の防衛手段として、指紋をはじめ、顔、手型、虹彩、網膜、血管などの生体的特徴や筆跡、音声などの行動的特徴を数値化し、登録されたデータと照合することで行う本人認証を行うバイオメトリクス(生体認証)がにわかに活気づいている。

 
東京三菱銀行は、2004年10月12日からいち早くカードの本人確認に手のひら静脈認証を採用。日本郵政公社とみずほフィナンシャルグループも指紋認証による生体認証を導入する方向で検討に入った。このほか各行は引き出し限度額設定や不正引出時の補償額などを検討している。

 
今、金融機関にとって最も「信頼」という言葉が重くなっている。

 
2004年12月調査でペイオフ全面解禁に伴う決済用預金の利用について訪ねた結果、「預金移動は銀行の信用状態による」との声が多かった。金融機関を選別する大きな要因となっているのは、その「信頼性」という見解が多く見られた。

 
銀行の創始者である渋沢栄一の言葉に「事を処するに自己と他とを差別して、是は己のものではないと云う観念であったならば、必ず本統の精神は入らぬ 、故に事を処するのは総ての財産が自己に専属したものの如く観念して、最善の注意と最善の努力とを致さねばならぬ。(渋沢栄一伝記史料より)」

 
現在の金融機関には、渋沢翁の言葉を振り返り、預かっている顧客からの預金を、自分のお金だと思って扱うという精神を今一度、確認して欲しい。

(脱・属国)


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