主観客観
2005年3月7日

【スクープ独占のための新聞社の妙策】

  ライブドアによるニッポン放送買収の行方が混迷を極めるなか、2月10日付の日本経済新聞朝刊に、次なる金融再編劇のプロローグとも言える衝撃スクープが一面を飾った。三井住友―大和証券の経営統合に関する記事である。

  しかし、当日の日経新聞に目を通したにもかかわらず、知らなかった人も多かったようだ。

  ご存知の方も多いと思うが、朝刊には「早版」と「遅版」の2種類がある。日経新聞の場合、早版は一般的に13版と呼ばれ、紙面の左上に「13」と記されている。対して遅版は「14」で、14版と呼ばれている。

  都心から離れている地域ほど早い時間に配達所へ向けて朝刊を配送しなければならず、紙面構成の締め切りも早い(13版)。一方、近距離は締め切りが遅く、最新ニュースが入れられる(14版)。つまり、今回のスクープを読めなかったのは、その新聞が13版だったためだ。

  ただし、日経新聞が独占したいスクープは、締め切りに関係なくほぼすべて14版に掲載される。それは、13版に載せてしまえば時間的に他紙の遅版に間に合ってしまい、独占スクープにはならなくなってしまうためだ。

  幸い今は毎日14版が届いており、今回のスクープも読むことができたが、スクープを独占したいがために読者への情報提供スピードに差が出てしまうことに対しては、個人的にあまり感心しない。

  今回の経営統合について両社は、協働に向けて様々な選択肢を検討していることについては認めたものの、経営統合交渉の事実については否定した。しかし、日経新聞が報じたニュースは、たとえその時点では真実でなくても、あとから真実がついてくるケースが多い。実際、ある上場会社は、日経新聞に報じられたことで、法的整理の申請日が予定より早まっているのだ。そういう意味も含めて、両社の今後の動向を注意深く見ていきたい。

(東麻布の宮)


 【京都議定書発効、日本がリーダーシップを】

  2005年2月16日、先進国に温暖化ガスの削減を義務づける京都議定書が発効された。

  結局、アメリカやオーストラリアは離脱したままで、途上国の扱いを今後どのようにしていくかなど課題を抱えたままのスタートとなったが、温暖化をはじめとする地球規模の環境問題はすでに人類にとって避けられないテーマとなっている。

  その京都議定書だが、日本においては1990年比で6%の温暖化ガス削減が義務づけられている。しかし、2003年は同8%増加しており、目標を達成するには計14%、1割超の削減が求められる非常に厳しい状況である。

  これに対する計画案は、2005年3月中にも作成される見込みだが、そこでは環境税に関する産業界との綱引きや、家庭・企業のオフィスなど民生部門での削減をどう進めていくかなどの踏み込んだ内容については不透明なままだ。万が一、民生部門が各人の意識に訴えかけるレベルで落ち着いた場合は、その実効性など期待できるはずもなく、温暖化ガス削減計画は画餅に帰す可能性が高まることは言うまでもない。

  また、ヨーロッパなど環境先進国では国家間での排出権取引がすでに行われており、日本でもその検討が開始されている。しかし、排出権取引が導入されれば日本が買い取り側となるのは必至で、それは容易に抜け出ることができない劇薬を口にするのとなんら変わりはない。

  京都議定書は、日本が国際舞台でリーダーシップをとる数少ないチャンスである。一部では、逆に「実現困難な問題だからこそ日本の都市名を冠した議定書になった」といった見方もされているが、そんな詮索に発展性は皆無だ。

  今後、日本が「世界の将来にどのような貢献をしていくことができるのか」を念頭に置いて真剣な議論を重ねていくことが重要である。

  京都議定書は、長期的に見れば地球温暖化防止の出発点であり、将来に渡って政府、産業界、国民が一丸となって取り組むべき課題である。

(大 和)

 【道徳ある規範】

  今回の「2005年度の新規雇用について」調査した結果、正社員、非正社員ともに新規雇用を減少させる企業の割合は1割に満たず、雇用改善が進むことが明らかになった。

 
しかし、寄せられた意見の中には、「会社の存在理由は社員の雇用安定にあり、そのための経営であり、そのための利潤追求である。不安定な生活基盤から生まれるストレスはそのまま社会の負のエネルギーに転換していく」など、非正社員比率が上昇することを懸念する意見も多かった。

 
また、3月に入り、有価証券報告書の虚偽記載事件で、コクド前会長の堤義明容疑者が証券取引法違反容疑で逮捕されたが、これが事実であったならば、株主、顧客、取引先、そして何よりも信頼してついてきた従業員への背任である。あらためて、企業倫理について考えさせられる。

 
「論語」を基礎に道徳と経済の一致を唱えた渋沢栄一翁は、「道徳経済合一説」のなかで、社会経済の進展に伴い道徳心が失われていく事を懸念していた。また、会社経営での重要な要素として「人材」を掲げ、その事業を運営する「人材」がなければ、結局その会社は失敗するとも述べている。

 
西武グループは、そのホームページにおいて、現在進めている経営改革を推進し、一日も早く、透明性の高い、社会から信頼される会社に生まれ変わるべく、全力をあげて取り組んでいく方針を明らかにしている。新たな道徳ある規範を見出して、生まれ変わることを願う。

(脱・属国)


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