主観客観
2005年4月7日

【先行き見通しDIが暗示する国内景気の先行き】

  景気DIがようやく改善した。昨年の猛暑とオリンピック開催などによる消費喚起への期待がピークに達した2004年7月以来だから、実に8カ月ぶりの上昇ということになる。

  今年に入ってから先行き見通しDIが先行して上昇に転じていたため、景気DIも近く上昇に転じることは予想していた。景気DIが底をつけた2003年1月にすでに先行き見通しDIが上昇に転じていたという過去の経験則も、その予想の根拠となっている。

  しかし、今回の景気DI上昇は、2003年2月の上昇転換時とは明らかに違う点がある。それは、3つの先行き見通しDI(3カ月後、6カ月後、1年後)のポイント格差である。

  2003年2月に上昇転換してしばらくは、先行き見通しDIの「3カ月後」と「1年後」との間に5〜6ポイントの格差が生じていた。つまり、「3カ月後より1年後の方が景気は良い」と考えている企業が多いことの証であり、それだけ景気回復への期待が高かったことを意味している。それに対して、今年に入ってからの先行き見通しDIをみると「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」がほぼ同水準で、ほとんど格差がない。これは、「しばらく景気は変わらない状態」と考えている企業が多いことを意味する。

  こうしてみると、今回、景気DIと先行き見通しDIともに改善したとはいえ、今後の景気動向については決して楽観できる状況にはないと言える。4月以降、先行き見通しDIが先に行くほど高く、また格差も拡大していくことを望んでいるのは言うまでもないが、明るい話題の少ない日本経済、そう易々と期待が高まるとは考えにくいのも事実。そういう意味では、しばらく景気DIの本格浮上は困難なのかも知れない。

  季節はようやく寒い冬を越え、春を迎えている。国内景気も、早く冬の時代を脱して春の訪れを感じたいものだ。

  今回、回答社数が1万件を突破する水準まで戻りました。調査にご協力いただいた皆様に、この場を借りて感謝の意を込めてお礼を申しあげます。今後ともよろしくお願いいたします。

(東麻布の宮)


 【雇用の厳しさ変わらず、ますます優勝劣敗へ】

  先日、総務省より、2005年2月の完全失業率(季節調整済)が前月比0.2ポイント増の4.7%、7カ月ぶりに悪化したと発表された。

  これまで、政府は雇用環境の改善を「回復基調の持続」という景気判断の一要因として語ってきたが、それもいつまで使えるものか雲行きが怪しくなってきた。

  そもそも、2%台で推移してきた失業率が5.0%を超えて悪化していたこと自体、過去の日本経済では経験のないレベルであったわけで、バブル崩壊後でさえ98年に入るまで4%台に突入することはなかったことを考えると、近時の雇用環境はまだまだ冬の時代にあると言わざるを得ない。

  また最近では、フリーター、ニートの増加などが、雇用の多様化や時代の変化として取り上げられることが多くなったが、それを個人主義の台頭と絡めて、雇用数値悪化の理由付けに使われている政策的な意図も感じ取れる。

  終身雇用などがとうに崩壊したいま、学生の間では、「最初の苦労で、年金まで含めて一生安泰な公務員(終身雇用)を希望する」との声が増加している。

  消費税や社会保険、年金など負担だけは一律に拡大していくなかで、先行き、マクロから見た個人消費や設備投資が大幅増となる可能性は低下の一途をたどる。失業率も2005年1月の4.5%を下回って一段と改善が進むとは考えにくい状況だ。

  社会では優勝劣敗の傾向がますます強まっており、今後、さまざまな局面でアメリカ型の「自己責任」が叫ばれる時代になるのは明白である。個人、企業ともに、どのような状況にも対応可能な体制を敷いていくことが肝要だ。

  なお、本日より景気専用ホームページをリニューアルいたしました。都道府県別のリリースを開始したほか、日頃のアンケートでご回答者の皆様からいただいている地域・業界の動向についても詳細に掲載しておりますので、地域、業界の分析にぜひお役立て下さい。毎月更新し、一層の充実を図ってまいりますので、今後ともご協力のほどよろしくお願い申しあげます。

(大 和)

 【融資姿勢の緩和傾向続く!】

  今回の調査結果では、「金融機関の融資姿勢DI」は前月比0.5ポイント改善の58.7と5カ月連続で改善、最高水準を4カ月連続で更新した。

 
調査期間中の2005年3月末、主要行の不良債権問題の解決を通じて経済再生を目指す『金融再生プログラム』の一環として活動してきた産業再生機構が企業向け債権の買い取りを終了した。「金融機関の融資姿勢DI」の改善は、主要行の不良債権処理も一段落し、新規貸し出しに積極的となっている証しと言える。

 
「金融機関の融資姿勢DI」を規模別に見た場合、2002年5月の集計開始以来、中小企業は大企業を一度も下回ったことがなく、大企業よりも中小企業のほうが、これまで金融再生プログラムの恩恵を受けてきた感がある。

 
不良債権処理の遅れている地域金融機関はこれからが不良債権処理の正念場だ。4月のペイオフ全面解禁以降、預金移動の懸念は拭い切れていない。

 
今後、地域金融機関の不良債権処理の加速によって、融資先として割合の高い中小企業への影響は避けられず、地域の景況感に影を落とすことにもなりかねない点が気がかりだ。

(脱・属国)


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