主観客観
2005年5月11日

【粛々と進むゼネコン処理】

  国内景気の回復、産業再生機構やファンドなどによる支援体制の確立などにより、上場企業の倒産は顕著に減少した。

  2004年度の上場企業の倒産は8社で、99年度以来5年ぶりの1ケタ台に落ち着いた。そのうち5社は負債100億円未満で、東証1部上場企業はジェネラスコーポレーションの1社に過ぎない。年間10社前後の東証1部上場企業が倒産していた2000〜2002年度と比べると、その減少ぶりは明白だ。

  そのようななか、5月5日に大証1部上場の中堅ゼネコン、松村組が民事再生法を申請して事実上倒産した。4月の55ステーションに次いで今年2社目の上場企業の倒産である。

  松村組は、訴訟の逆転敗訴による引当金積み増しによる赤字拡大が倒産の直接的な要因のようだが、以前から慢性的な赤字会社の場合、決算発表の直前がXデーとなることが少なくない。

  メーンバンクは、支援を続ける最低条件として決算での黒字化を掲げさせることが多いという。それは、黒字転換できれば支援する大義名分ができることや、逆にできなければ引導を渡すというタイムリミットが明確になる点で、メーンバンクにとってメリットになるからのようだ。

  昨年の倒産12社のうち、倒産月が3〜5月だったのは6社と半数を占める。そのすべてが同じケースではないにしろ、国内景気が回復するなかでも業績改善のめどが立たない企業は、市場から退場せざるを得ないということを示している。

  つい数年前までは、ゼネコンは「大きすぎて潰せない」業界の象徴だった。しかし、銀行に"潰せる"体力が戻ってきている昨今、ゼネコンにもようやく市場原理主義が導入され始めている。ゼネコンの場合、ビジネスモデルの魅力も薄く、ファンドなどの支援が入ることも難しい。ゼネコンの整理はこれから粛々と進められていくことになるのではないだろうか。

(東麻布の宮)


 【米国の金融政策から見えるもの】

  2005年5月3日、米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で短期市場金利の指標となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ年3.0%とした。利上げは2004年6月から8回連続(いずれも引き上げ幅は0.25%)で、1年をかけて2.0%上昇し約3年半ぶりに3%台となった。

  米国の景気拡大を緩やかに減速させて、成長を安定軌道に乗せようとの意図が利上げの背景として報じられているが、同時に、景気停滞と物価上昇が並行するスタグフレーションの懸念も指摘され始めている。

  現時点では、エネルギーや食品を除いた消費者物価指数(コア指数)が上昇傾向にあり、住宅などの投資も堅調で雇用統計でも時給が増加するなど景気の底堅さが示されており、一連の利上げでも市場は大きな混乱もなく推移している。だが、2005年末には4.0%まで上昇するとの観測が広がっている。

  日本だけでなく、中国でさえもその輸出の中心にあるのは世界最大の消費国であるアメリカである。ゆえに貿易赤字は恒常化しているが、そのアメリカの消費行動があってこその世界景気といっても過言ではない。金融緩和時にもてはやされたリファイナンスによるキャッシュアウト(低金利ローンへの借り換え時に返済額を減らすのではなく、更にローンを組んで現金化する)など、日本から見れば無謀とも思える消費行動がアメリカ経済を、ひいては世界経済を支えてきたのだ。

  そのような観点で考えると、金融引き締めはやはり景気の先行きについて慎重な見方を増幅させるものだ。原油価格高騰がアメリカの消費に悪影響を及ぼしているのは明らかで、引き締めによって一層の下押しへと繋がる可能性がある。

  就任早々に起こったブラックマンデー(1987年10月)を乗り切るなど、金融市場を巧みにコントロールしてきたFRBグリーンスパン議長の手腕はすでに神格化されていると言ってもよい。しかし、2006年1月の任期満了を前に、最近では米国の赤字削減策として、連邦消費税導入の考えを初めて示すなど、金融引き締め策と合わせてアメリカ全体を貯蓄へと誘導しているようだ。

  同議長は、超低金利政策の解除から1年、来年早々の退任へ向けて発言や動きを一層活発化させているようにも見えるが、「グリーンスパン」のネームバリューに惑わされることなく、その金融政策のひとつひとつに冷静な目を向けて投資などの経営判断を行っていくことが重要だ。

(大 和)

 【日中国交の国民レベルでの正常化】

  2005年4月の調査期間中、中国でのデモや日本製品の不買運動、ストライキによる反日感情が表面化、連日のようにマスコミで取り上げられた。

 
今回の「中国のカントリーリスクに対する影響調査」では、8割の企業が今後の日本経済への悪影響を懸念する結果となり、日本の景況感を下支えしている中国との関係悪化は、今後の日本経済に悪影響を及ぼすという認識が大半を占めた。

 
反日デモも中国政府による厳戒体制により沈静化の兆しが感じられるものの、長い間の教育のもとで中国国民に根づいたわだかまりの感情は、力で封じ込められるものではなく、昨日、今日でとり払えるとは思えない。

 
中国は2002年11月の中国共産党大会において、2020年の国内総生産(GDP)を2000年の4倍増とする目標を打ち出している。しかし、群集による過激な対日バッシングの一連の報道により、対外資本に二の足を踏ませるような強烈な印象を植え付けてしまったことも事実。

 
1972年の日中国交正常化以降、中国にとっては、日本からの対中投資による雇用や技術供与が経済発展の一翼を担ってきたこと、一方、日本にとっては、生産拠点と同時に巨大マーケットとして日本経済を牽引していることは、紛れもない事実である。

 
日のあたるものすべてには陰陽両面があるが、両国の歴史である「陰」の部分と、経済効果である「陽」の部分の両方を互いに認め合うことが国民レベルで出来なければ、日中国交の真の正常化は望めない。 (脱・属国)

(脱・属国)


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