主観客観
2005年7月7日

【市場・マスコミvs景気動向調査】

  2005年6月の景気DIは43.0と前月比0.5ポイント悪化。4月、5月の連続改善による0.4ポイントの上昇分を一気に打ち消し、3月の水準まで落ち込んでしまった。

  6月は1カ月を通して日経平均株価は緩やかに戻り基調をたどり、日銀短観でも先行きに光明が見える結果となっている。景気DIも、ここ数カ月はこの底堅さを反映してきた。6月もその傾向が続くと予想していたが、結果は予想以上の落ち込みであった。

  その要因を分析すると、リリース資料でも触れているが、原油価格のさらなる上昇による鉄鋼や化学、紙パルプ、運輸業界などの著しいマインド悪化。これまで景気DIを停滞させてきたデジタル関連業界に代わって、これらの業界が6月の景気DIの足を引っ張った。

  しかし、6月中も原油価格は上昇していたにも拘らず、株式市場はそのマイナス要因にはあまり反応せず、逆に鉱業関連株を上昇させる結果をもたらした。つまり、株価は原油高に敏感に反応した景気DIとはまったく異なった動きをしているということになる。

  また、日銀短観について新聞各紙は"景気再浮揚への素地ができつつある"と分析しているが、先行き見通しDIは企業がまだ踊り場局面が続くことを想定していることを示している。これも異なった結果であり、足元も先行きも、市場と調査結果との間で乖離が生じていると言える。

  どちらが正しい見解なのかはいずれ分かることになるが、そのときに大企業偏重の景気論を張る市場・マスコミにミステイクを指摘できることを望んでいる。中堅・中小企業あっての日本経済――その実態を示すのが、景気動向調査の使命と考えている。

(東麻布の宮)


 【長期化必至の環境問題は民から解決へ】

  2005年6月のTDB景気動向調査では、「クール・ビズ」を実施している企業が2割、検討中も約2割で、全体の44%は定着させるべきとの見解を示した。
  京都議定書の目的達成に向けて、政府では環境税や排出権取引制度の導入なども検討されているが、同調査では、環境税および排出権取引はそれぞれ22.4%、45.4%が「賛成」と回答した。

  特に、環境税では「反対」(34.5%)が「賛成」を12.1ポイント上回り、「官の縮小・効率化なくして税負担の増加はあり得ない」といった増税に対する政府批判が寄せられた。今後、個人レベルでも増税策が目白押しのなか、負担増への根強い抵抗感が表れた結果と言える。

  一方、排出権取引については、「本質から外れており根本的な解決にはならない」といった厳しい意見があったものの、「反対」は10.8%と少数であった。賛成多数で反対が1割にとどまったのは、直接的な痛みを伴わない政策であることが主因と考えられるが、実はこの排出権取引も環境税の考え方とまったく無関係というわけではない。

  つまり、「削減の実効性が低ければ最後は金銭的手段に頼る」という安易な考え方で、これが環境税にも排出権取引にも共通しているということだ。
  環境税は、本来、企業だけでなく個々人でも温暖化防止に努力すべきなのだが、それを期待できない政府が環境税として徴収し替わりに削減の努力をしましょう、と言っているにすぎない。
  国民は政府(官)になめられている。努力しない国民から金をとればよいと思われているのだろう。

  今回、アンケートご協力者の皆様からは「微力でもその努力をすべき事柄であると認識している」といったご意見をたくさんいただいた。

  長期化必至の環境問題を根本的な解決へと導くためには、今一度、この回答のように国民全体が自分の足元から環境問題を考え、官ではなく民から国を動かしていくような高い意識を持つことが不可欠と言える。

(大 和)

 【"強い"から"やさしい"へ】

  米ゼネラル・モーターズは、6月の株主総会で、2008年までに工場閉鎖により米国内の総従業員数の17%にあたる2万5,000人以上を減らす計画を発表した。アメ車は強いアメリカの象徴でもあったが、時流である「環境」への取り組みで遅れをとった。

 
一方、トヨタ自動車の2005年度連結決算は、自動車事業の売上高が前年度比7.1%増と好調を持続。2005年6月の渡辺社長の就任あいさつでは、車づくりの夢として、「一度満タンにしたらアメリカ大陸を横断できる車」や「走れば走るほど空気がきれいになる車」と環境に重点を掲げた姿勢を明らかにしている。

 
2005年10月からディーゼルの「新長期規制」が始まるが、環境庁は「ポスト新長期規制」も打ち出している。同規制は2009年末までに新長期規制値に対しPM(粒子状物質)を53〜63%、Nox(窒素酸化物)を40〜65%それぞれ削減しようというもので、新長期規制をさらに上回る世界最高水準の規制となる。
 
しかし、厳しい規制があって初めて、その規制をクリアするための技術革新が起こる。

 
6月10日には、三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼル工業が、大型トラック用の排出ガス後処理方式の開発・製造コスト低減を目的に技術提携した。今後、メーカーを超え、国を揚げて環境への取り組みが重要となっていることを示唆している。

 
地球温暖化防止京都会議の開催国である日本は、環境にやさしいをキーワードに再生の道を歩んでいく必要がある。
 
「環境」をキーワードに取り組んだか否かで、今後、ますます企業、国の隆盛を分けそうだ。

(脱・属国)


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