主観客観
2005年8月5日

【牽引役は内需関連産業へ】

  今回の景気回復は、電機や機械、鉄鋼など製造業が牽引してきた。デジタル景気や中国を中心とした旺盛な外需に対応するためのメーカーの積極的な設備投資が、景気回復のきっかけとなったのは今さら説明する必要もないだろう。TDB景気動向調査でも、製造業の景気DIは高い水準で推移していた。

  しかし、在庫調整局面を迎えて以降、電機や鉄鋼業界といった製造業の牽引力が低下し、国内経済も踊り場局面となっている。景気DIが最高をつけた昨年7月の製造業の景気DIは48.1に対し、今年7月は45.7でしかなく、業界別では高いもののかつての勢いは見られない。

  一方、「農・林・水産」は昨年7月41.7→今年7月43.8、「金融」は42.8→44.0、「建設」は34.3→36.3、「不動産」は49.7→51.0、「小売」は42.7→42.7というように、内需関連業界は昨年7月の水準を回復し、小売以外はすでに上回っている。つまり、牽引役がこれまでのデジタル関連業界など外需向け産業から、内需向け産業にうまく移行しているということだ。

  国内の景気回復が外需から内需へ――今後、原油高リスクや中国人民元の引き上げリスクといったマイナス要因を克服し、デジタル景気にも復活の道筋さえ見えれば、初めて判断の分かれ目となる50ポイント超えが視野に入ってくるだろう。

(東麻布の宮)


 【アメリカが感じる中国の脅威と日本の在り方】

  2005年7月19日、アメリカ国防総省は中国の軍事力に関する年次報告書を発表した。このなかでは、中国軍の近代化と周辺地域の軍事バランスに対する懸念のほか、中国の軍事費が最大で公表額の3倍にあたる約10兆円に達しているとの指摘がなされた。

  中国は経済成長が顕著なだけでなく、周知の通り、国連安保理の常任理事国であり、また、軍事力も強大化の一途をたどる核保有国である。この先も、世界唯一の超大国であり続けたいアメリカが、国際舞台における中国の存在感やその発言力の増大に非常な脅威を感じ始めているのは想像に難くない。

  そうなると、経済圏としてアジア市場が重要になってきた現在、アメリカがアジアにおけるプレゼンスを維持するために、最も重要な国はやはり日本である。政治・経済・軍事的に見て、日本以外にアメリカの期待に応え得る国は、ほかにないと言ってもいいだろう。
  アメリカ本土から遠く離れた極東の島国が、どれほど戦略的に重要な拠点であるかは、当のアメリカが一番よく分かっているのだ。

  しかし、それにしては日本外交はあまりに弱い。中国は、アメリカ中心社会のその先の新たな世界地図構築にしか目が向いておらず、すでに、日本などは相手にもされていない。国際舞台で毅然とした態度がとれない、日本の存在の小ささ、発言力の弱さは情けない限りだ。

  アメリカは「日本が重要」と公言しつつも、日本の常任理事国入り問題のように、日本がアタマを出そうとすれば適度にそのアタマを叩いてくる。日本は、アメリカが「日本が重要」と公言している間に大人として振る舞うことが出来る国家にならなければ、アメリカだけでなく諸外国にとっても、早晩、重要ではなくなる時期がやってくるだろう。

  最近、超大国と新興国の政治的な対峙を目にする機会が増えてきた。日本が国際舞台で確固たる地位を占めるためには、アメリカへの従属外交ではなく、主体性を持った真のパートナーシップを築くことが不可欠だ。
  敗戦から60年、これを契機にそんな思いを巡らしてみるのも、今後の日本を考えるうえで重要だと感じる。

(大 和)

 【最後の消費プレイヤーに期待】

  『小売』業界の景気DIが前月比2.1ポイント増と10業界中トップの改善幅となった。
 
短期的には、中元商戦に入ったこと、気温の上昇に伴い夏物商材に動きが出たことなど季節需要の影響もあり、小売9業種中「自動車小売」を除く8業種で改善と好調だ。

 
なかでも、「繊維・繊維製品・服飾品小売」のDIは前月比4.9ポイント増の45.3と2005年4月から4カ月連続で改善、7月のDIとしては猛暑だった前年のDI(41.7)を大幅に上回り集計開始以来の最高水準を更新した。

 
前月調査した「クール・ビズ」の効果も限定的だがあるようで、6月の百貨店(全国百貨店協会)、スーパー(日本チェーンストア協会)での紳士服の売り上げを見ると、百貨店が前年同月比3.8%増で16カ月ぶりにプラス、スーパーが5月が同3.4%減だったが、「クール・ビズ」の発表のあった6月には一転して同3.6%増と堅調。7月に入っても、平均気温の上昇もあり堅調に推移することが見込まれる。

 
このところの失業率、有効求人倍率の改善、また、現金給与総額も増加傾向で、雇用・給与関連統計の改善が示すように個人消費の回復は底堅いものとなりつつある。

 
お父さんは、こと消費に関しては家族の中では後回しの存在だったが、「クール・ビズ」という仕事上の流れの中でなら、渋々でも消費の恩恵にありつける。家族最後の消費のプレーヤーが参加してくることは、消費低迷に困惑していた小売業界にとっては、効果は限定的でも底上げにつながる。季節的な特需ではあるにせよ、これを機会に「お父さんのもの」に関する支出が継続的に増えることに期待したい。

(脱・属国)


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