主観客観
2005年9月7日

【米国発の不動産バブルに目をつむる日米経済】

  郵政民営化法案の否決によって、衆議院が解散された。政治の空白は通常なら景気のマイナス要因となるが、今回は"構造改革が進む"と前向きに捉えられ、またタイミングよく、政府と日銀による踊り場脱却宣言も飛び出したこともあって、株価は一気に上昇した。

  原油先物市場で原油価格が一時1バレル=70ドルを突破するなど、原油高が世界経済の最大の懸念材料になってきているが、今のところ日本経済は外的なマイナス要因には目をつむる形となっている。

  しかし、米経済については、今は同様に目をつむっていられても、近いうちに日本経済に大きな悪影響を及ぼす可能性が高い。というのは、いよいよ不動産バブルが危険水域に達しているからだ。

  グリーンスパンFRB議長をはじめ国内外のマスコミがこれまでに幾度となく不動産市況の過熱ぶりに警笛を鳴らしてきたが、それでもなお不動産価格は上昇。このまま上昇が続くわけもなく、いつの日か暴落したとき、不動産の担保余力による資金調達で消費してきたアメリカ国民が莫大な借金を抱えることになるのは当然の成り行きだ。

  警笛を鳴らすのは、行く末が明白だからである。それでも不動産が上昇するというのは、いまだ買い手がいるということであり、米国の不動産市場は完全に"不動産バブル"に目をつむっている状況なのだ。

  このところNYダウが軟調なのは、不動産バブルの崩壊を織り込み始めているからかも知れない。せっかく企業業績の回復が家計部門に波及し、ようやく日本にも光明が見え始めたのだから、米国は早くソフトランディングに向けて策を講じてもらいたいものだ。

(東麻布の宮)


 【郵政民営化、賛否の裏で交錯する変化への拒絶と期待】

  2005年8月9日、参議院で郵政民営化法案が否決されたことを受けて衆議院が解散。同月30日に衆院選が公示され、9月11日の投開票に向けて、これまでにない熱戦が繰り広げられている。

  今回の解散は、首相による解散権が「伝家の宝刀」であることを実感させるものであった。また、参議院での否決による衆議院の解散に批判はあったものの、国民に信を問う大義は十分にあったと言えよう。

  その最大の争点として小泉首相が訴えているのが郵政民営化であるが、首相は構造改革の柱であることを連呼するのみで、郵政以後のその他改革の具体策を挙げていない。
  これに対し、民主党をはじめとする野党は「争点が郵政だけでよいのか」と主張している。確かにそのとおりだが、小泉首相の郵政以後には、農協や医療制度改革(医師会)、抜本的な公務員改革など、徹底的な既得権益打破の思惑があると言われる。いまはあえて敵を増やさずに、郵政だけに焦点を絞っているというのだ。

  もちろん、旧来の自民党支持勢力など敵対勢力は、郵政民営化潰しが自己防衛につながることを十分に認識している。今回の衆院選で郵政民営化を潰さなければ、次は自分の身が危ないのだ。郵政改革の前進に、強い危機感を持つのは当然だろう。

  小泉首相の改革姿勢は、郵政大臣就任(1992年)前から一貫しており、そこに小泉首相支持の声が集まっている最大の要因がある。
  多くの国民が、政治が本当に変わるかもしれない、という期待を抱いているのだ。

  郵政法案自体は、審議のテーブルに載せる上で譲歩を余儀なくされたことで、抜本改革(財投債の扱いに関する規定や地域分社化)からの後退感は否めないものの、現状打破の方向へ前進する可能性は高いと考える。

  今回の衆院選では、変化への拒絶と期待が交錯している。小泉自民党だけでなく、岡田民主党も歳出削減や公務員削減などこれまでにない改革を掲げている。
  日本の大きな分岐点であり、改革路線が加速することで、今回の衆院選の評価は後世に確かなものとなることを期待している。

(大 和)

 【不平等感の是正】

  小泉内閣は郵政民営化の賛否を問うとして、衆議院を解散、選挙戦へと突入したが、今回の意見のなかでも、「他の争点がぼやけている」「他にやるべき大事なことがある」という意見が多かった。

 
そのひとつに年金問題がある。20歳以上の人の支払い義務である国民年金の納付状況をみると、2004年度の未納率は36.4%と前年度比0.2ポイント改善にとどまっている。また、2004年度の徴収不能額(2年経過で回収できないもの)は9,800億円と過去最高となった。

 
社会保険庁は、公的年金制度の基本認識を「社会全体での世代間扶養という考え方に、国民一人ひとりの老後に向けての自助努力という考え方を組み合わせた仕組み」と説いている。自助努力にまかせた結果の未納がこれだけ多いと、厚生年金の保険料が給与天引きされているサラリーマンにとって不平等を感じているのは否めない。

 
人口に占める運転免許保有者数の割合(2003年時点、警察庁発表)を国民年金の支払義務の生じる20歳以上でみると、73.8%に達する。免許取得時や更新時において、年金の支払状況を確認して交付することにより、現状の未納率を大きく改善することが可能である。

 
しかし、社会保障審議会年金数理部会「2004年財政再計算結果等について(2005年9月1日)」資料では、財政再計算の基本方針において、「基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ引き上げる」と、依然、足りないから借りるという後ろ向きの姿勢が前提となっている。国庫負担の割合を増加することよりも、未納率の改善に注力するべきではないだろうか。

(脱・属国)


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