主観客観
2005年11月8日

【世界経済の主導権を握りつつある日本経済】

  連日の大商いが繰り広げられている株式市場。日経平均株価は11月に入ってほぼ4年半ぶりに1万4,000円台を回復し、2001年4月の小泉政権発足時の水準をようやく上回ってきた。

  きっかけは、10月31日に日銀が「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で2006年度に向けて消費者物価指数がプラスに転じる見通しを示したことだ。これによってデフレからの脱却期待が高まり、特に銀行・証券など内需関連の株価の大幅上昇が続いている。

  これまでは、米国を中心とした海外株式市場の動向に大きく左右される"主導権のない"市場に過ぎなかった。しかし、構造改革の進展で自律成長できる市場へと劇的に変化したことで、今では海外市場の影響を受けるどころか世界市場の主導権を握っていると言っても過言ではない。だからこそ、今回の株高は本腰の入った息の長い上昇相場と見る向きは少なくない。

  今後、消費税率の引き上げへの議論が本格化してくるうえ、米経済も住宅バブルという爆弾を抱えており、先行きについて楽観してばかりはいられない。そうしたマイナス要因があっても腰折れしない経済基盤を築いておく必要がある。そのためには、政策金利の引き締めへの転換も避けては通れない改革の1つだ。

(東麻布の宮)


 【緩和解除へ向け、中央銀行に求められる対応力】

  2005年11月、日銀が量的金融緩和政策の解除をにらんだ発言を繰り返している。徐々にそのトーンは勢いを増しており、緩和の解除へ向けた意気込みがうかがえる。

  さらに、景気の基調判断にしても、日銀は強気の発言が目立っており、日銀が掲げる量的金融緩和政策の解除条件(@消費者物価指数【CPI】が安定的にゼロ%以上に浮上、A先行きも継続的なCPIのプラスが見込める、B経済や物価情勢を総合的に判断する)のうちのB「総合的判断」を強調したいとの意図が垣間見える。

  CPIの浮上が実需ではなく原油価格によるものであることを十分に承知している日銀としては、CPIに焦点を当てるのは得策ではないとの背景があるのは明らかだ。

  また、2007年度には、消費税率の改定など国民負担の増加が確実視されることから、その負担が決定してから緩和を解除、つまり引き締めへと動くのでは、風当たりが強くなるほか、日本経済を一気に冷やすきっかけとなる恐れも高い。つまり、金融緩和を解除するには、2006年度の早い段階しかないのである。

  一方で政府は、緩和政策の継続を望んでいる。多少のインフレリスクを背負ってでも、このまま、景気回復基調が持続してくれれば、というのがホンネだろう。

  しかし、インフレリスクは確実に高まっている。残された時間はそう多くはないと思われる。

  ここは、日銀が体面を捨ててでも、緩和解除3条件へのこだわりを捨てるべきである。そのうえで、インフレの芽を早い段階で潰しておくことを公言し、金融緩和の解除に舵を切らなければならない。中央銀行として、政府や市場におもねることなく、経済情勢を冷静に見極めた柔軟な対応を求めたい。

(大 和)

 【先行き不安強まる原油価格の影響】

  今回のTDB景気動向調査結果において、先行き見通しの景況感に対する意見の中には、「原油高の影響から一本調子の上昇は期待できない(機械卸)」、「原油高騰による主要資材のコストアップ等のため、先行き不透明である(建設)」、「消費者の燃料油の利用は確実に減少している(ガソリンスタンド)」など、多くの業界から、原油価格の高騰が回復の足かせとなることを不安視する声が多かった。

 
11月7日に日本航空の2006年3月期の連結中間決算および通期業績見通しが発表されたが、原油高に伴う燃油費の高止まりが収益を圧迫し、中間決算は最終損失で120億円の赤字となった。
 
特に、営業費用のなかの燃料費は、昨年同期の平均単価がバレルあたり44.4米ドル(シンガポールケロシン)であったのに対し、69.6米ドルと昨年同期比約1.6倍、期首想定(54.0米ドル)の約1.3倍となったことが最終損失の大きな要因となっている。原油価格の高止まりを勘案し、次期の見通しを前回予想の1バレル54米ドルから、同77米ドルに見直している。

 
同時に、来年度以降、全従業員を対象に賃金カットを実施するなどを軸とする中期経営計画も発表された。

 
まだまだ、年末の需要期に入り価格再騰リスクがくすぶり続けていること、また、このところの円安進行も気になるところだ。今後の調査でも、原油高と円安進行の状況次第では、先行き見通しの回復の足かせとなりそうだ。

(脱・属国)


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