主観客観
2005年12月7日

【メガバンクの好決算にもの申す】

  三菱UFJフィナンシャル・グループの2005年9月中間期の連結最終利益が7,118億円にのぼり、純利益はトヨタ自動車を抜いて国内最高となった。

  不良債権処理損失が大幅に減少したことや、過去に積んだ引当金が繰り戻されたことで利益が押し上げられた格好だ。そのこと自体を否定するつもりはないが、預金者・利用者の犠牲のもとで利益が伸びた面もあることを忘れてはならない。

  日銀によるゼロ金利政策によって預金者にはほとんど利息がつかない状況のなかで、金融機関は低利での資金調達が可能となり利ザヤが増えた。また、金融機関の店舗の統廃合によって利便性が失われるなかで、金融機関は経費削減で利益かさ上げにつなげた。つまり、金融機関が大幅増益を達成した裏で、預金者や利用者の利益が損なわれているのだ。

  日銀は、日本経済が回復しているにもかかわらず、デフレが続いていることを理由にゼロ金利政策を維持している。しかし、その政策は金融業界が抱える不良債権を早急に処理させるためでもあったことは否定できない。そして、預金者も不良債権が景気の重しになっていたことを理解していたからこそ、利息が少なくても我慢してきた。つまり、日銀も個人も、これまで金融機関を優遇してきたわけだ。

  2005年度決算で金融機関の大半は不良債権問題との決別を果たし、金融不安は完全に払拭される。いよいよ、金融機関は預金者のこれまでの優遇に報いるときが来たのではないだろうか。

(東麻布の宮)


 【2006年、個人消費の底上げで持続的な経済成長へ】

  2005年も残すところ20日あまりとなった。
  最近では、雇用や所得環境に改善傾向が見られ、大手製造業などを中心に冬のボーナスも増加するとの報道が目に付く。
  それに伴い、薄型テレビやDVDレコーダーをはじめとするデジタル家電などの消費拡大に再び期待が集まっている。

  思い返せば、2004年夏、猛暑効果とアテネオリンピック特需が加わって個人消費は盛り上がった。
  2006年2月には、冬季オリンピック(イタリア・トリノ)が開催される予定で、季節は異なるものの、フィギュアスケートやスピードスケートなど注目の競技・選手も数多く、話題性は高い。これが、消費喚起に一役買うものと思われる。

  しかし、近年の消費活動は、収入の高い階層での資金循環が拡大しているのみで、景気回復が個人消費全体に行き渡っているとは思えない。

  それを裏付けるように、総務省発表の収入階層別消費支出(2004年、年収をT〜Xの5段階に分類)を見ると、消費活動には階層別で大きな格差が生じている。

  それによると、1カ月の消費支出額は分類X(年収988万円以上)が最大の47万円(前年比0.8%増)であり、その伸び率では分類W(同764〜988万円)が前年比4.7%増と最も高くなっている。
  一方、分類T(同456万円以下)・U(同456〜609万円)の支出額は20万円台と小さく、伸び率も同1.0%台と低い。

  二極化が叫ばれるなかで、2005年、この傾向は拡大している可能性があり、今後、さらに乖離が進むことも考えられる。

  政策面では、年金や医療保険、社会保険の負担増ばかりが目立ち、定率減税の廃止や消費税率の引き上げ検討も注目されるなど、消費意欲の下押し要因には事欠かない状況にある。

  先頃、定率減税の全廃については、景気動向を見極めたうえで柔軟な対応をするとの発表がなされた。
  2006年、経済の持続的な成長には個人消費の底上げが不可欠である。政府には、少数の勝ち組が牽引する(政府によって都合のよい)経済指標にとらわれない、日本全体に目配りした政策決定が求められている。

(大 和)

 【耐震データ偽造問題で先行き不透明感強まる不動産業界】

  今回のTDB景気動向調査結果において、これまで全体の景況感を牽引してきた不動産が前月比0.1ポイントと僅かではあるが、5カ月ぶりの悪化となった。

 
不動産は、これまでファンドの設定やREITの動きが活発で、首都圏を中心にミニバブルと呼ばれるほど活況を呈している。通常であれば、年末から3月にかけて需要期であるにも拘わらず、その勢いが止まったのも一連の耐震データ偽造問題が大きな要因となっている。

 
TDB景気動向調査開始前の11月17日に、国土交通省は、千葉県の姉歯建築設計事務所が建物の「構造計算書」を偽造し、同設計事務所が関わったマンション・ホテルで震度5強の地震で倒壊の恐れがあると発表。同29日には、姉歯建築設計事務所による耐震データ偽造問題で関連する企業の責任者が衆議院国土交通委員会の参考人質疑、12月1日は偽造に関連して木村建設(熊本県八代市)が東京地裁へ自己破産を申請した。

 
11月調査期間中に一連の偽造問題が深刻化するなかで、「売買の動きが鈍い。余計な仕事ばかり増えそう」(不動産売買)、「問題が発覚してから、業界に不透明感」(不動産仲介)、「業界のイメージが落ちただけでなく、施主の買い控え、中小業者への不信が高まる」(サッシ卸)など、回答にも先行きを不安視する声が多かった。

 
国土交通省は、11月29日にマンションの耐震性等に関するご相談窓口を設置したが、解決に向けての行政の対応が本格化するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 
不動産の先行き見通しDIも、3カ月後が前月比1.6ポイント減、6カ月後が同2.8ポイント減、1年後が同0.8ポイント減とすべてで悪化している。全体の景況感を牽引した一角だけに、景気回復の足かせとならならないよう、国民の不安を払拭する明確な対応方針の決定を望む。

(脱・属国)


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