主観客観
2006年4月7日

【景気回復に取り残される建設業界】

  ライブドアショックの後遺症をようやく克服し、戻り高値を更新した株式市場。それに歩調を合わせるように、TDB景気DIも3カ月ぶりに最高を更新した。その後も株価は順調に上昇するなかで、景気DIが一気に判断の分かれ目となる50ポイントに到達できるか注目される。

 
そもそも、『不動産』や『製造』の化学、鉄鋼・非鉄、機械、電機、『サービス』の広告、情報サービスなど10業界51業種中18業種はすでに50ポイントを超え好景気局面に入っている。特に「輸送用機械」や「機械」は60ポイントに迫るほどの好調ぶりだ。

 
一方、足を引っ張っているのは、リリース資料でも再三述べているとおり『建設』だ。依然として40ポイントを下回る水準で、3月も10業界中で唯一悪化している。つまり、景気DIの50ポイント超えは、『建設』の景況感改善にかかっていると言っても過言ではないだろう。

 
それにしても建設業界の業況回復遅れは手の施しようがない。「受注高は前年比37%減」(石川県)、「公共工事削減で前年同期比10.8%減」(山形県)など、地方の中小建設会社を中心に最悪の環境から抜け出すきっかけすら見つからない状況だ。これでは、業況改善の期待などかけられるはずもない。

 
いまの国内経済は二極化・格差拡大というキーワードのもとで回復基調をたどっているが、『機械』など国内経済を牽引している業界のDIがさらに改善し、全体の景気DIが50ポイントを超えたとしても、建設業界の悲鳴は鳴り止みそうもない。

東麻布の宮


 【ゼロ金利解除に不可欠な地域経済の底上げ】

  2006年3月9日、日銀は量的金融緩和政策の解除を決定し、5年ぶりに金融政策を転換した。
  その背景には、全国消費者物価指数(CPI)が2005年10月以降、ゼロ%以上で浮上を続け、公示地価では都市部での上昇反転が鮮明となるなど脱デフレの動きがある。そして、なにより、景気が堅調に回復していることが、市場の予想よりも1カ月早い緩和解除へと向かわせた。

  量的金融緩和政策の導入(2001年3月)が初めてのことであり、もちろん、その解除も初であったため、解除には非常に慎重な判断が求められたわけだが、日銀は配慮を示して市場への説明を重ね、政府も最終的には解除に同意を示すなど、環境を整える努力をしたと言える。

  そして、解除後、景気の底堅さから日経平均株価は一段と上昇し、為替も急激な円高に振れることもなく、懸念された景気への下押しは杞憂に終わった。景気回復の実感に乏しいなか、今回の政策判断でひとつのヤマ場を乗り切った感がある。

  しかし、日銀はすでにゼロ金利政策の解除を視野に入れた発言を繰り返している。市場でも長期金利が緩やかに上昇し始めるなど、ゼロ金利解除を織り込む動きを見せている。

  だが、今回のTDB景気動向調査結果(2006年3月)では、2006年内のゼロ金利解除に対して中小企業や地方圏からの懸念が強かった。
  景気DIにおいても、地域間・規模間・業界間格差が高水準ななか、ゼロ金利解除が大企業と中小企業、都市圏と地方圏の格差拡大を引き起こす可能性を、現在の景気回復基調が排除できる段階にはない。

  政府や自治体は歳出削減をそろって唱えているが、景気対策は絞っても自らのスリム化を図れないようでは、国民が納得できるはずはない。
  日銀がゼロ金利解除を判断するには、今後、政府・自治体がまずは自らの襟を正して、そのうえで、地域経済への底上げ策を積極的に推進していくことが不可欠だ。

大和

 【個人消費の底上げに期待】

  今回の景気動向調査では、「ゴールデンウィークの予約状況は、海外旅行の高額商品が売れてきており、景気回復傾向とともに旅行需要増が期待できる(一般旅行業)」の声にあるように、個人消費の回復に期待する意見が多く寄せられた。
 
しかし、個人消費の先行きには、増税、ゼロ金利解除後の住宅ローンの上昇など、不安要素も多い。

 
また、地域間格差の問題もある。TDB景気DIで景気判断の分かれ目の50ポイントを越えるのは、「東海」「南関東」の2ブロックにすぎず、地域間格差は依然高水準となっている。
 
東京、大阪、名古屋を中心に各半径50キロメートルの人口は44%、それ以外が56%(総務省統計局「国勢調査報告」)。

 
全体的な個人消費の回復は、この過半数を超える地域で景気が回復し、個人消費が伸びることが重要だ。
 
先日の公示地価発表でも、首都圏が上昇する一方で、地方圏ではまだまだ出遅れている。

 
実際の声の中には、「富裕層の羽振りはよくなっても、全体としてあまり大きく回復する見込みがあまりない(貴金属小売)」という厳しい見通しもある。
 
都市圏と地方圏、大企業と中小企業の格差縮小と同様に、個人消費も富裕層とそうでないものの格差が縮小するとともに、全体の消費が増加することが必要。しかし、結果的には、そのなかでも勝ち組と負け組の差がより鮮明となっていくことは明らかだ。

脱・属国


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