主観客観
2006年6月7日

【村上城までも倒壊】

  2006年6月5日、東京地検特捜部は投資ファンド「村上ファンド」の代表、村上世彰氏を証券取引法違反(インサイダー取引)の容疑で逮捕した。

 
「やっぱり・・・」というのが巷間での感想だろうか。実は1週間前に"同ファンドに強制捜査のメスが入る"との噂が一部で流れ、5月最後の週末がXデーではと囁かれていたのだ。そして、そこにXデーが設定されたことについては、東京地検にある思惑が見え隠れしていると言われていた。

 
5月最終週は阪神電鉄株のTOB価格について村上側と阪急が最終的な詰めをおこなっていた時期。価格が確定した時点で村上ファンドによる今回の買い集めが"成功"することになるが、東京地検は成功事例を作ることで今後も同じようなケースが頻発することを懸念し、価格決定前に村上氏の牙城を崩す―が、東京地検側のシナリオというのだ。

 
真偽はもちろん定かではない。しかし、今回はXデーには間に合わなかったとはいえ、東京地検はインサイダー取引容疑を突破口に同ファンドの実態解明を急ぎ、市場を翻弄するような錬金術に制裁を加えることになる。今後、その効果が表れるのは間違いないところだろう。

 
1月の堀江氏に続く錬金術師の逮捕。噂が出回ったとき、ライブドアショックのように株式市場に動揺が走ることを懸念していたが、いまのところそこまでの動揺は見られない。しかし、株式市場を騒がせてきた2人の退場に合わせるかのように、株式相場に元気がなくなっているのは少し気がかりだ。

東麻布の宮


 【本気? 政府が目論むデフレ脱却宣言】

  いよいよサッカーのワールドカップ(ドイツ大会)が開催される。
  4年前の日韓大会の直前には、政府が景気の底入れ宣言を行って、底入れの実感がない多くの国民・企業から反感をかった。

  現在の経済情勢をみると、堅調な景気回復基調や2006年4月までで6カ月連続してゼロ%超に浮上している消費者物価指数の推移から、政府はデフレ脱却宣言を視野に入れているようだ。しかし、まだら模様で回復力が脆弱ななか、果たして本当に脱却を宣言できるのだろうか。

  消費者物価指数が前年同月をわずかに上回っているとはいえ、2000年水準(=100)との比較では依然として100を下回った状態が続いており、個人消費が回復したと判断するのは早計だ。
  原油・素材価格の高騰が長期化するなかで、一部の大企業を除く多くの企業が価格転嫁に苦しんでいることも、個人消費がいまだ本格回復していないことを裏付けており、今後の金利上昇や為替動向、消費者の税負担拡大によっては、さらに事業環境が悪化する懸念も高まっている。

  これでは、政府がデフレ脱却を宣言したとても、多くの企業ではそのような実感を持つことはできない。
  米経済では住宅投資に陰りが見え始め、先行き不透明感が顕在化している。また、国内でも機械受注の推移から設備投資の先行き懸念が増幅していることは明らかで、決して「いざなぎ景気」超えを楽観できる状況ではない。

  政府は、デフレ脱却というフレーズを多用するよりも、その本質である需要増による消費拡大・物価安定が実現されるよう努力すべきである。
  市場原理主義が横行する時代ではあるが、政府までもが「市場に任せる」というもっともらしい理屈で無策を貫くのではなく、地方や中小など底上げ策が必要な箇所には財政出動を行うことも景気の本格回復には不可欠だ。

大和

 【アリ地獄】

  気象庁発表の5月の天候は、1946年の統計開始以降、東日本太平洋側では2位、東日本日本海側では3位の日照時間が少ない記録で、北海道を除き、東北から九州まで、平年の80%未満であった。

 
4月も、全国的に低温多雨による天候不順から、「小売」が不振だった。経済産業省が5月29日に発表した4月の商業販売統計速報では、大型小売店販売は前年同月比0.5%減。
 
チェーンストア販売統計でも前年同月比で3.3%減(店舗調整後)、特に、衣料品は同5.8%減(同)、全国百貨店売上高も同2.3%減(同)と前年同月割れとなった。

 
2006年5月のTDB景気動向調査の結果をみても、「小売」(42.7)は9業種中7業種で前月水準を割り込み、全体は2カ月連続で減少した。悪化幅も前月比1.2ポイント減と1ポイントを超える悪化幅で、DIの水準も10業界中で「建設」(39.3)に次いで低く、かなり厳しい状況にある。

 
5月前半は天候も良かったことで、ゴールデンウィークによる効果もあったものの、寄せられた意見の中には、「不順な天候とゴールデンウィーク中の旅行消費などの影響か消費意欲は弱含みのまま。」など、前月に続き厳しい声も数多く寄せられており、5月の販売状況も芳しくなさそうだ。

 
しかし、天候はあくまで一時的なもの、消費に二の足を踏む要因が税負担の増加だろう。最近では、第三のビール増税、たばこ増税、定率減税縮小など、先々では消費税率の引き上げもあり、取り易いところからは徹底的にとるというスタンス。
 
アリとキリギリスの話では、コツコツと将来に向け備えをしたアリが、浪費に走ったキリギリスを横目に幸せに暮らすということになっていたが、最近のアリは、将来への貯えもできないまま、身包みを剥がれて、ゆっくりとアリ地獄に飲まれていくようだ。

脱・属国


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