主観客観
2006年9月7日

【経済拡大と金利上昇リスク】

 2006年8月の景気DIは、前月比0.7ポイント増の46.7と5カ月ぶりに改善に転じた。
 7月は前月比変わらずで、前回の当コラムでは“原油高や金利上昇リスク、米経済の減速というマイナス要素と、企業業績の好調、堅調な設備投資というプラス要素のがっぷり四つ状態”と指摘した。

 
そうしたなかで今回、改善して“がっぷり四つ状態”を脱したのは、リリース資料でも述べられているが、原油価格が下がり、年内の追加利上げ観測が後退したことが主因。つまり、前月までのマイナス要素が少し減ったことで、景気DIが少し戻ったに過ぎないのだ。

 
今後も原油価格が下がり続け、追加利上げ観測もさらに後退すれば、しばらく景況感は改善をたどることになるが、先行き見通しDIは依然として企業の弱気な見方が表れており、今後さらに原油高リスクと金利上昇リスクが低下すると楽観している企業は少ない。

 
今回の結果から、国内経済がいかに原油価格動向と金利に敏感になっているかが浮き彫りとなった。景気回復を持続させるためにはこれらリスクの払拭が不可欠だが、金利は経済拡大期には上昇することが定石のため、金利上昇リスクをなくすことはできず、常にリスクとしてまとわりつくことになる。

 
金利の先高観の多少が国内経済の行方を左右するのなら、一定の追加利上げを早めに実施することで“先高観”を払拭すればいいと思うのだが、そう簡単に考えるのは素人の発想なのかもしれない。

東麻布の宮


 【米経済「減速」より深刻なもの】

 
最近、米経済「減速」の報道が目に付くことが多くなった。その主なものは、原油価格の高騰による個人消費の先行き懸念、住宅バブルの崩壊や雇用者数の伸び率鈍化などであるが、実際のところ、米経済に深刻な懸念を及ぼすほどのネタと言えるようなものではない。

 原油価格の高騰は恒常化しているものの、個人消費や企業の設備投資は相変わらずプラス成長を続けている。日本以上に車社会が進み、家計における原油依存度が高いにもかかわらず、米GDPの約7割を占める個人消費に落ち込む気配はみられない。
 約2年間、絶え間なく続いたFRBによる金融引き締めののちも、活発な需要増を背景に依然としてインフレ懸念が叫ばれており、再利上げ観測が根強いこともその堅調さを裏付けている。

 また、住宅価格や雇用者数の伸び率鈍化にしても、住宅価格はいまだ10%前後の上昇を持続、雇用者数も失業率が低位安定(4.7%)しているなかで、36カ月連続の増加を続けている状況だ。
 これは「減速」ではなく、それぞれが高水準ななかで調整を続けながら一段の成長軌道を歩もうとしている「高位調整局面」である。

 米経済による日本への悪影響を懸念するよりも、いまだ消費者物価が期待ほどには上昇せず、その内需の弱さから多くの企業でデフレ脱却が実感できない現状にある日本の景気動向のほうがよほど深刻だ。

 内閣府が定義する景気拡大局面が長期化しているとはいえ、そのボリューム(名目GDP)はこの4年間でわずか3.4%増加したに過ぎない。いざなぎ景気では倍増したことを考えれば、景気回復の実感に乏しい現状にも納得がいく。
 政府・日銀は「いざなぎ景気超え」を喧伝して自己の成果を誇っているが、回復の遅れが顕著な地方経済の底上げに注力しなければ、米経済の動向にかかわらず日本経済は早々に腰折れする懸念が強いことを認識すべきだ。

大和


 【 消費拡大にも光明か。 】

 TDB景気動向調査では、卸売や小売からは、先行きに期待できない理由として、「少子化等による購買力の低下」をあげる声がある。少子化による悪影響を危惧する声は、住宅面から「建設」「不動産」からも寄せられている。

 
合計特殊出生率(厚生省発表)が、2002年の1.32から2003年に1.29へ低下し戦後初めて1.2台に突入。その後も2004年1.2888、2006年6月発表の2005年の数値は1.25とさらに減少した。

 
また、2005年の自然増加数(出生数マイナス死亡数)はマイナス2 万1,408人(前年プラス8 万2,119人)、戦中前後で統計のない昭和19 〜21 年を除き、現在の形式で調査を開始した明治32 年以来初めてのマイナスとなっている。

 
出生数も2001年から5年連続減少中。日本の人口予想では、2100年には約6,000万人にまで半減することが推計されているが、今後は労働力や消費の減少で企業活動が低下し、経済成長の長期衰退が目に見える。

 
  そんな中にあって、厚生労働省が8月に発表した人口動態統計速報で、2006年上期(1〜6月)の出生数が6年ぶりにプラス転換したことで、光明が差してきた。
 また、昨日の秋篠宮妃紀子さまのご出産という久しぶりの明るいニュースも、少子化歯止めに好影響となることが予想される。

 とはいえ、先行きへの不安をぬぐい去るのが先決。これから訪れる消費税率の引き上げなどにより、なかなか期待どおりには行きそうもないが、すべては、今後の小泉政権後の政府の舵取りにかかっている。

脱・属国


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