主観客観
2007年3月6日

【利上げでさらに広がる景況感格差】

  前回、『利上げ見送りで自らクビをしめてしまった日銀』というタイトルで、"個人消費や物価動向の改善"を利上げの条件としてしまった日銀は今後、利上げの理由づけに苦心するだろうと指摘した。しかし今回、日銀はあっさりと利上げに踏み切った。

 
前回の利上げ見送りの一因となった個人消費について日銀は、先日発表されたGDP(2006年10〜12月期)での"個人消費が前期比1.1%増"という結果で堅調だと考えたのかもしれない。

 
しかし、その結果は前々期(7〜9月期、同1.1%減)の落ち込みの反動増という側面があるのは否めず、それを指摘するマスコミも少なくない。そうしたなかでの今回の景気DIは、"予想どおり"地方圏で大きく悪化。利上げが景気回復感の乏しい地方圏に大きな悪影響を与えている実態が浮かび上がった。

 
確かに経済指標では国内経済は堅調と言え、利上げを実施することには何ら否定するつもりはない。今後、景気後退局面入りした際の“利下げ”カードを確保するためにも、必要な利上げだったとも思う。

 しかし、格差の是正が政府・日銀の課題。業界や規模、地域間で業況格差が生じており、景気回復に取り残されている人が多いということを認識し、何かしらの底上げ策も検討するべきではないだろうか。このままでは、経済全体の底上げどころか後退局面に入ってしまうかもしれない。

東麻布の宮


 【今後も景気回復の重しとなる不安定な個人消費】

 
2007年3月2日、1月の全国消費者物価指数(2005年=100)が発表された。物価動向の代表的な指標となる「生鮮食品を除く総合指数」は99.7で、前年前月比横ばいであった。この指標が2006年5月から継続して前年同月と同水準または上回った状態にあり、政府・日銀は需給ギャップの推移と合わせて物価が安定しつつあると判断する根拠となっている。

 だが、最近はこの根拠の崩壊を懸念してか、仮に今後、同指数が前年同月水準を下回るようなことがあったとしても、それは「原油価格の下落による一時的な下押し効果に過ぎない」ことを強調する姿勢が目につく。個人消費への不透明感を顕在化、そして増幅させたくない表れだろう。

 しかし、物価上昇に原油価格が大きく影響してきた現在、もっと注目すべき指数がある。それは消費者物価指数の改定時(2006年8月)に正式系列に採用された「食料およびエネルギーを除く総合指数」だ。これを見ると、2006年1月以降、2007年1月まで13カ月連続で前年同月水準を下回っている。個人消費の回復傾向によって消費者物価が底上げされているとはとても判断できない状況だ。

 今月のTDB景気動向調査でも、小売業界のDIは春物衣料の好調などで若干の改善は見られたものの、依然としてその水準は低い。2006年10〜12月期のGDPで再利上げのプラス材料となった消費の好調も、長梅雨や天候不順で不振を極めた前期の反動増であったのは広く知られているところだ。

 このところ、急激に世界中で株価の不安定性が増している。落ち着くにはしばらく時間がかかるだろうが、たとえ収束したとしても、低金利で調達されたジャパンマネーが世界中に環流している現状の強烈な振り戻しを懸念する声も強く、足元を確認しながらの慎重な投資スタンスが増加するだろう。これまでのような楽観論が大勢を占めることはない。

  こうした環境下、税制面では負担増ばかりとなっている日本の個人消費は、一層厳しい状況に追い込まれる可能性があり、景気回復への大きな重しとなっていくものと思われる。

大和


 【株安と円高進行】

  2007年2月の調査結果では、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.9と何とか前月比で改善となったが、判断の分かれ目となる50ポイントを大きく下回る水準に変化はなかった。

  その2月調査期間の最終日2月28日から、世界同時株安が始まった。日経平均は昨日3月5日までの4営業日で1,541円の下落(8.5%減)となり、それと同時に円高(120円台→115円台)も進行した。

 
円高進行は、これまで全体DIを上回って推移してきた『製造』(46.7)への影響が大きい。特に、『製造』の景況感を牽引してきた「機械製造」「電気機械製造」「輸送用機械製造」などへの悪影響が懸念される。

 
また、個人消費への悪影響も免れないだろう。

  個人消費の回復がいまだ本格化にほど遠いなか、何とか、二極化の勝ち組・高所得者層の高額品消費が下支えした面があったが、投信やラップ口座(大口顧客を中心とした一任勘定取引)の運用成績の低下は避けられそうにない。

 2月調査期間の終了間近から始まった株安・円高の影響が一時的な調整で収束するのか、また、米経済の先行き懸念から調整期間が一層長引くのか、3月調査の景況感にも大きく影響する懸念がある。

脱・属国


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