主観客観
2007年4月5日

【見込めない地方圏の地価上昇】

  公示地価の全国平均は前年比0.4%増となり、16年ぶりに上昇に転じた。

 
長らく続いた土地デフレの終焉を裏付けたことで、景気DIは前月比0.6ポイント増の45.5と2カ月連続して上昇、改善幅も前月(0.1ポイント)から拡大した。

 
しかし、全国平均を押し上げたのは言うまでもなく東京圏。大阪や名古屋、仙台、福岡など一部の地方中核都市にも波及がみられたものの、地方圏ではなお地価下落に歯止めがかかっていない。上昇地点は住宅地で37.7%、商業地で43.1%に過ぎず、まだ6割前後の土地は値上がりに転じていないのだ。

 
このように、景況感に地域間格差が生まれているのと同様、地価にも二極化が顕著になっているが、これに深く関わっているのが不動産ファンドであることに異論はないだろう。

 ファンドは、収益還元法で算出して割安な都心の土地を買い漁った。当初の利回りは7〜8%にまで達していたというが、それも数年経つと投資物件は減り、競争激化によって仕入れ価格が上昇、利回りは低下した。実際、東京都心部のオフィスビルの運用利回りは低下に見舞われ、大型物件では2〜3%台のケースもみられるという。

 そこで、ファンドマネーが次なるターゲットにしたのは、現在、利回り5%後半〜6%台が主流と聞かれる地方中核都市。今回、地価上昇が地方中核都市へ波及したのもファンドによるところが大きい。

 今後、地価上昇が地方圏へと波及させるためにファンドの力を借りたいところだが、ファンドは収益還元法に基づいて投資する以上、過度な期待はかけられない。そういう意味では、今後も地価の二極化を食い止めることはそう容易ではない。つまり、地方圏の地価上昇もあまり見込めないということになる。

東麻布の宮


 【消費低迷、格差は拡大の一途へ】

 
2007年3月30日に発表された2月の家計消費支出(名目)は、前年同月比1.2%増の27万2,763円となり、2カ月連続で増加した。その牽引役は「被服・履物」で、歴史的な暖冬による春物需要の拡大により2カ月連続の改善となった。その改善幅は同10.9%増と10項目中最大で、消費動向に与えた影響は大きい。

 だが、決して個人消費が活発化しているわけではない。同月の消費者物価指数「生鮮食品を除く総合指数」は同0.1ポイント減と10カ月ぶりに悪化。このマイナスを打ち消す材料として、報道では原油効果の剥落が大きな要因との見解が目立っているが、「食料およびエネルギーを除く総合指数」では同0.3ポイント減、14カ月連続の悪化である。消費改善が進んでいないのは明らかだ。

 アメリカでは、住宅ローン大手のニューセンチュリー・フィナンシャルが連邦破産法第11条に基づく会社更生手続きの適用を申請。住宅バブルの崩壊による個人消費の先行きと景気そのものへの減速懸念を改めて認識させることとなった。頼みの外需も楽観できない。

 日本では、団塊世代によるモノやサービスへの消費に期待が寄せられているが、そのキーワードは「ゆとり」や「安らぎ」、「生きがい」などで、幅広い景気の底上げを求めるには無理がある。

 統一地方選で話題の東京都によるオリンピック招致活動だが、インフラ整備による都心への経済効果は大きいものの地方への波及は少ない。政府は地方の底上げ策を早急に打たなければ、景気が本格回復する余地はなく、格差社会は拡大の一途をたどることとなる。

大和


 【人材確保に悩む中小企業】

  2007年3月のTDB景気動向調査で、中小企業の景気DIは2カ月連続で改善した。徐々に回復基調にはあるが、大企業との格差はいまだ3ポイントある。

  大企業の景況感改善が波及し、中小企業でも仕事量は増えてはきているという声はあるが、長くリストラにより平成不況を乗り切ってきたため、いざ人材を確保しようにも、景気回復下での売り手市場では、現在の仕事量と人員をマッチすることができないようだ。

 
また、「労働市況が悪化して賃金を上げざるをえず、その分が利益を圧迫すると思われる。この先一年程度ではそれが運賃などに充分転嫁できるとは思えない」(運送業)、「金額的にはデフレ状態がまだ継続しており、人材の確保が難しいためコストアップの状態にある」(ビルメンテナンス業)など、人手不足を補うための賃金上昇が収益を圧迫する。そのもどかしさを憂う声も多い。

 
2007年度の雇用動向に関する企業の意識調査(2007年2月実施)では、中小企業の正社員採用状況をみると、「増加する」企業の各年度の構成比は、2005年度27.4%→2006年度25.7%→2007年度24.6%と低下傾向にある。

 特に、人的効率化に限界のある労働集約型業種では、顧客からのデフレ圧力は依然強く、なんとか現状で対応するしかない中小企業の厳しさがうかがえる。

脱・属国


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