主観客観
2007年6月6日

【設備投資に減速感増すなかでの株価上離れ】

  2007年5月の景気DIが、前月比1.5ポイントの大幅減となる43.8となり、1年11カ月ぶりに44ポイント割れ水準まで落ち込んだ。設備投資の先行指標となる「機械受注統計」の悪化にみられるように、これまで景気の下支え役を担ってきた設備投資に一服感が表れ始めたことが最大の要因だ。

 
一部の大手企業では、まだ設備投資意欲が持続しており、設備投資のボリュームとしては伸びが鈍化するものの堅調なレベルと言える。しかし、中小企業の設備投資意欲DIは2006年半ばから判断の分かれ目となる50ポイントを下回って推移しており、中小・零細企業の設備投資意欲はすでにピークアウトしたと言える。

 
「機械受注統計」の2007年4〜6月期見通しは、「船舶、電力を除く民需」で前期比11.8%のマイナスであり、下支え役としての牽引力がさらに減退することが見込まれている。

 
しかし、そうしたなかでも6月に入って日経平均株価が1万8,000円台へと上離れし、その後も比較的順調に推移している。この株価上昇が今後の国内景気の調整局面脱却を示すのであれば、設備投資は4〜6月期を底にまた回復してくることになる。やや楽観しすぎな面は否めないが、そうなってくれることを期待したい。いずれにしても、設備投資に関する経済指標にはしばらく注目していきたい。

東麻布の宮


 【道州制の導入で懸念される「格差の拡大」】

 
2007年5月のTDB景気動向調査(特別企画)は、道州制の導入に関する企業の意識調査を行い、「認知度83.9%、道州間・道州内における格差拡大の懸念払拭が成功のカギ」とのタイトルで本日6月6日にプレスリリースした。

 最近、政府や経団連などが道州制の方向性について発表する機会は多く、ある程度の浸透は図られているようだが、道州制の導入による格差拡大の懸念は根強いことが分かった。

 ある企業からは、「道州制について懸念はたくさんある。多くの人の意見を聞いてみたい」との声をいただいたので、ここでいくつか紹介したい。

 特に、「格差」に関するご意見は多く、「格差拡大が一番の心配」(精密機械販売、鹿児島県)、「道州内の地域格差拡大、地方切捨ての口実になる。東京一極集中になる」(水産食品製造、北海道)といった声のほか、「収入格差が拡大しワーキングプアが増える」(建材卸売、北海道)との見方があった。

 また、「道州の区分方法によって格差拡大の可能性がある」(食料品製造、香川県)との懸念も聞かれた。

 もちろん、さまざまな期待があることも事実であり、それらが地方圏の底上げ、活性化につながることが道州制導入の大きな目的である。今後、政府がどのような枠組みを構築し、道州制の導入を進めていくのか、私たちは注意深く見守るとともに、機会あるごとに声を挙げていくことが必要だ。

 道州制の導入に対する期待、懸念それぞれについて数多くのご意見をいただきました。ご協力、誠にありがとうございます。TDB景気動向調査の会員専用ホームページ【企業の声】に掲載しましたので、ぜひ、ご覧ください。また、ご意見がありましたら掲示板などでもお聞かせください。

http://www.tdb-di.com/visitors/index.htm

大和


 【政府の個人消費の強気姿勢はいつまで】

  2007年5月のTDB景気動向調査では、10業界中「農・林・水産」を除く9業界がすべて前月比で悪化した。5月はゴールデンウィークの効果があったにも関わらず、「小売」は同1.5ポイント減の39.6と3カ月ぶりに40ポイントを割り込んだ。また、前年同月(42.7)を3.1ポイントも下回る低水準だ。

  しかし、2007年5月の月例経済報告(内閣府5月22日発表)においては、個人消費は2カ月連続で「持ち直しの動きがみられる」と堅調な表現が続いている。また、先行きの個人消費も「雇用情勢が改善していることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される」と依然、強気の姿勢を崩していない。

 
確かに、4月の完全失業率(総務省5月29日発表)は、季節調整値で前月比0.2ポイント改善の3.8%と1998年3月(3.8%)以来、9年1カ月ぶりに4%を下回り、雇用情勢は回復基調にあるが、4月の家計調査(総務省5月29日発表)では、勤労者世帯の実収入は前年同月比横ばいで可処分所得は同0.4%減と6カ月ぶりに前年水準割れとなっている。

 
また、2007年度の税制では、定率減税は廃止、証券税制で株式の譲渡税や配当税制は、期限を2008年から2009年へ1年間延長されたにすぎず、消費に回るべき原資が次第に削減されるのは時間の問題である。

 安倍総理は、2007年1月の施政方針演説において、「消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいく」と述べている。消費税率の引き上げが本格的に議論され始める時期も間近である。引き上げ前の駆け込み需要で一時的な消費拡大はあるにせよ、現状からすると、今後の個人消費は、決して楽観すべきではない状況にあることは明らかだ。

脱・属国


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