主観客観
2007年10月4日

【深刻な影響を及ぼしている建築基準法の改正】

  8月の景気DIの悪化幅が、米サブプライムローン問題の表面化に端を発した株価急落、円高に見舞われるなかでも小幅にとどまったことで、前回、この場で9月の景気DIの下げ止まりを期待した。しかし、結果は前月を上回る悪化幅で、ついに2年7カ月ぶりの42ポイント割れまで落ち込んだ。

 
この要因は、世界経済の下振れ懸念の継続と、落ち着いていた原油価格が再び騰勢を強め、史上最高値を更新したことによるところが大きい。しかし、前月から目立ち始めた「改正建築基準法」の施行による建築工事の遅れ・手控えも見逃せない。

 
今回の建築基準法の改正は耐震偽装の再発防止が目的だが、これによって6月20日の施行以降、建築確認の審査が厳しくなり、確認申請の手控えや審査の長期化が頻発。その結果、7月の新設住宅着工戸数は前年同月比23.4%減、8月は同43.3%減と過去最大の落ち込み幅となった。

 
業種別の景気DIをみると、その影響を最も受ける『建設』は選挙終了による公共工事の再開期待で改善したが、関連産業である建材業界では「建築基準法の改正に伴う建築確認申請の制度変更により、建築業界全般に混乱がみられる」(サッシ卸売、大阪府)との声に代表されるように影響が大きく、鉄鋼関連でも同様の声が散見された。建築基準法の改正は、業界の裾野を広げながら悪影響を与えているのが実態である。

  耐震偽装は許されるものではない。しかし、周知徹底が不十分なために"様子見している"企業が少なくないのも事実である。また、建築確認の審査期間が必要以上に長くなるなど、新法の運用面でも問題が指摘されている。

  建築確認の遅れ・手控えのピークはすでに去り、9月以降は遅れたり手控えられた建築物件が動き出すと言われている。しかし、月単位でのギリギリの資金繰りで耐えている中小・零細企業にとっては、建築確認の遅れ・手控えはまさに死活問題。この影響で資金ショートする企業が出ないとも限らないだけに、ピークが過ぎたとしてもこの問題は簡単に片づきそうもない。

東麻布の宮


 【金融機関はいまこそ社会貢献を】

 
2007年10月1日、信用保証協会の保証付融資において金融機関が保証割合の20%相当を負担する「責任共有制度」が導入された。
 景気が本格回復に至らないなかでのスタートは、業況が不安定な地方や中小企業を中心に「弱者切り捨て」との批判が高まっている。

 2007年9月のTDB景気動向調査では、『責任共有制度の導入に対する企業への影響調査』を実施した。
 この結果、現在、保証付融資を受けている企業(今後受ける可能性のある企業を含む)では7割超の企業で今後の借り入れに「懸念がある」ことが分かった。
 具体的には、「融資利率の上昇は避けられない」(ソフト開発、千葉県)といった声や「融資の減少で企業の育成がなされず、自治体の税収も増えない。地方地盤沈下の悪循環から脱却できない」(建材卸売、福井県)と、今後の地方経済を憂う見解が挙がった。

 一方、「金融機関は信用創造、経営支援・アドバイスなど本来あるべき機能を充実させて欲しい」(建材加工、富山県)との願いもある。
 年金や外交など国内外に諸問題を抱えている福田新政権に、地方・中小企業への構造的な改革策は期待できない。
 日本資本主義の父と呼ばれ、明治維新後の経済発展に尽力した渋沢栄一は、「論語」の精神を重んじて「道徳経済合一説」を理念とし、富の独占ではなく社会への還元を説いた。
 金融機関は、いまこそこの理念をもって、企業や産業の育成に積極的に関わり、日本経済の底上げとさらなる発展に貢献することが求められている。

 詳細な調査結果は下記からご覧ください。
 http://www.tdb-di.com/visitors/index.htm

大和


 【気がかりな機械関連の景況感悪化】

  2007年7月の機械受注統計(内閣府・9月11日発表)によると、設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」(季節調整値)は、半導体製造装置などの受注好調を背景に、前月比17.0%増と2カ月ぶりの増加となった。しかし、内閣府では、鉄道車両などの大型案件による影響が大きいとして、基調判断は「一進一退」で据え置いた。

  9月14日の月例経済報告でも、設備投資の判断は2年半ぶりに「弱い動き」へ下方修正されたが、8月の「増加している」から、「このところ弱い動きがみられるものの、基調として増加している」への変更で、増加基調にはこだわりをみせている。

 
2007年9月のTDB景気動向調査では、景気DI(41.9)は前月比0.6ポイント減で6カ月連続悪化と浮上のきっかけをつかめないままだ。また、同調査の設備投資意欲DI(46.9)も、5カ月連続悪化となり、2003年7月(46.8)以来4年2カ月ぶりに47ポイントを割り込む低水準となった。

 
業界別では、『製造』(43.8)は、同0.4ポイント減と6カ月連続して悪化した。原油高進行に伴い鉄鋼関連や化学などの景況感が後退したほか、円高リスクの高まりによって機械関連なども悪影響を受けた。

 なかでも、「機械製造」(49.6)は、前月比0.9ポイント減で6カ月連続の悪化となり、2003年12月以来3年9カ月ぶりに50ポイント割り込むなど、製造全体の景況感悪化の要因となっている。「機械製造」の設備投資意欲DI(47.8)が、2007年7月から3カ月連続で悪化するとともに、50ポイントを割り込んでいるのも気がかりだ。

 今回調査には、「前年対比で10〜15%程度売上がダウンしている。特に9月にはいってからの動きが悪い」、「設備投資が減ってきている」(機械製造)など、期待していた設備投資が低調に推移していることを嘆く声が多く寄せられており、設備投資は、政府の増加基調をやや割り引く必要もでてきている。

脱・属国


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