主観客観
2008年1月10日

【影響力増すオイルマネー】

  年明けの日経平均株価は、昨年の終値比616円安と大発会としては過去最大の下げ幅となった。1バレル=100ドル台に乗ったNY原油先物相場、落ち着きを取り戻しつつあったものの再び急騰した円相場、サブプライム問題の影響がついに雇用面にも波及してきた米経済・・・と、2007年の国内経済のリスクとなったそれぞれが、一層深化する様相をみせている。

 
それでも原油高の影響で素材・消費財の値上がりは続き、物価の体感温度は確実に上昇。そのため、ここへきて景気後退期に物価が上がることを表す"スタグフレーション"への懸念が高まっている。

 
かつてのオイルショックの時と比較されることが多いようだが、個人的にはオイルショックは歴史上の話で、"スタグフレーション"を経験したことがない。モノの価格は需要と供給のバランスで決定されることが前提だが、オイルはそれを崩すほどの影響力を持つということを、初めて認識することになる。

 
そして、オイルの影響力は価格決定権だけではなく、サブプライム問題で体力が疲弊したシティグループに資金支援がなされたように、巨大企業にも甚大な影響力を持ち始めている。このまま原油価格が上昇を続ければその影響力はさらに増幅し、もしかしたら世界経済が産油国に席巻される日が来るのかも知れない。オイルを持たない日本は、それをただ黙って見ているしかないのだろうか。

東麻布の宮


 【2008年の世界経済、一段の減速懸念が高まる】

 
2008年の国内景気は、前半は減速を避けられないものの、後半に入ると回復基調を取り戻すとの見方が広がっている

 これは、サブプライム問題の影響力が低下することで、世界経済が再び成長軌道を取り戻すという見込みによるものだが、この見解は楽観的過ぎる。


 サブプライム問題には2つの側面がある。

 1つはアメリカ発の世界的金融不安の拡大であり、もう1つは、米国の内需低迷である。

 金融不安については、各銀行の経営戦略の立て直しによって落ち着きを取り戻すとみられるが、米国の内需にとって最大の危機を迎えるのが2008年だ。

 米住宅価格の上昇は2006年まで続いた。サブプライムローンは一般に当初2年間が低金利に設定されており、その後は急激に上昇する。一部で金利凍結の緊急措置がとられるものの、その恩恵を受けるのは全体の20%にとどまるともいわれ、2008年にローン金利の改定を迎えるローン契約者の多くは、住宅価格が下落し米経済が減速に転じたいま、ローン金利の上昇が破たんに直結する可能性がある。

 米経済の影響力低下を指摘したデカップリングの議論が台頭し始めた一方、世界経済はやはり米国が牽引しているというリカップリングが叫ばれている。

 中国が成長しているとはいえ、いまだ世界のGDPの3割を占める米国の存在は大きい。その米国GDPの7割は個人消費であり、住宅バブルの崩壊とデフォルトの増大が個人消費全体を下押しするのは避けられないものとみられる。

 サブプライム問題は、米国内需の停滞というかたちでその影響が長期化し、北京五輪後の世界経済を一段と冷やすことが懸念される。

大和


 【サブプライム問題で尾を引く株式市場】

  2007年12月の景気DIは前月比1.2ポイント減で9カ月連続の悪化、先行き見通しDIも4カ月連続で3指標ともに悪化した。

  企業の先行きを不安視する声には、原油価格、為替などとともに、株価の行方に関するものも多い。「サブプライム問題で世界の金融市場が混乱し株式相場が下落低迷しているため物の動きが非常に鈍くなってきた」に代表されているように、サブプライム問題に端を発する株価下落が、景気全般に与える悪影響を懸念する声が多くあがっている。

 
2008年に入っても株価低迷は続いている。日経平均株価は2007年末の大納会(1万5,307円)から、昨日(1月9日)終値(1万4,599円)までの4営業日合計で、すでに4.6%下落した。

 
サブプライム関連の金融機関の損失規模は、目先、1月中旬から始まる金融機関の2007年10〜12月期決算において、ある程度の損失額が判明することになる。それまでは様子見の相場環境となり、その後は、影響がいつまで続くかに焦点が当たる。

 今回の景気動向調査では、2008年末の日経平均株価の見通し水準についても実施したが、平均は1万5,458円と2007年の終値水準となった。

 円高、原油高、素材価格の上昇による企業業績への影響や北京五輪終了後の中国景気の行方、アメリカ大統領選後の政策など、多くの不確定要素がある現状では、2008年の株式市況も厳しいとの見通しにならざるを得ない。

脱・属国


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