主観客観
2008年2月5日
繰り返される歴史

 2008年1月の景気DI(35.5)は集計開始以来最大の落ち込みをみせ、ついに景気回復局面入りした直後の2003年8月(34.9)の水準となってしまった。

 当時の国内経済はまだ不良債権処理問題に解決の糸口がみつからず、その処理方法についてソフトランディングかハードランディングかで議論が過熱していた時期。全体としてはその時のレベルをかろうじて上回っているものの、規模別にみると『大企業』は当時より高いものの、『中小企業』はちょうど同じ水準となっていて、規模間格差は当時が2.7ポイント、1月が5.4ポイントとその当時のちょうど2倍の開きだ。全体はほぼ同じ水準ながらも規模間格差が拡大していることは、昨今の格差社会とも合致する結果である。

 業界別にみても同様に、『金融』はもちろん当時より高く、これまで国内景気の牽引役を担ってきた『不動産』、『製造』も高い。半面、『卸売』や『小売』、『運輸・倉庫』などは当時をすでに下回っていて、特に『小売』(31.3)は全体がようやく30ポイントに達した2003年6月の水準(31.9)をも下回っている惨状である。『小売』業界の厳しさ、国内の消費動向の悪さを如実に示している。

 いま国内経済を混乱させている元凶は言うまでもなく米サブプライム問題。金融機関の保有債権が不良化していくという点では当時の不良債権問題と本質は同じで、"歴史は繰り返す"ことを思い知らされた。

 今回の景気回復が不良債権問題の解決から始まったことを考えると、国内景気の再浮上のためには、規模間や業界間の格差是正など問題はほかにも山積しているが、まずはサブプライムの全容を解明させ、蔓延する金融不安を取り除くことが先決と言える。

(東麻布の宮)


消費者心理の悪化で増幅する景気の先行き不透明感

 2007年12月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は、前年同月比0.8%増と3カ月連続で上昇し、1998年3月以来9年9カ月ぶりの高い伸びを示した。

 景気が大きく下振れするなかでの上昇であり、消費マインドの一段の低下が懸念される。

 実際、消費者意識を表す内閣府発表の消費者態度指数(暮らし向き)は、2007年12月まで20カ月連続で悪化している。TDB景気動向調査でも、個人消費の動向を反映する『小売』(31.3)は、10業界中『建設』(28.9)、『農・林・水産』(28.9)に次ぐ低水準だ。

 また、消費者物価指数の「食料およびエネルギーを除く総合指数」をみると、正式系列に採用された2006年8月以降、前年同月水準を1度も上回ったことがなく、17カ月連続のマイナスが続いている。

 これは、消費者からの価格下落圧力が根強い表れであり、所得が伸び悩むなか、原油・素材価格の高騰に起因した一部消費財の値上がりは消費者の負担感を増幅させ、今後の購買心理をさらに悪化させることが見込まれる。

 IMF(国際通貨基金)は、2008年の世界経済の成長予測を下方修正した。日本は0.2ポイント下方修正の1.5%成長と見込まれているが、GDPの6割を占める個人消費が先行き不透明感を増すなか、この達成も楽観できない厳しい経済状況となることが懸念される。

(大和)


今こそ、必要な消費拡大策

 2008年1月の景気DIは前月比2.8ポイント減で7カ月連続の悪化となった。この間、原油価格・素材価格の上昇、円高、米サブプライム問題の表面化による信用収縮懸念が与えた影響は大きい。

 国内では「ガソリンの暫定税率廃止」の論議が盛り上がりを見せている。全国知事会・自民党と民主党は真っ向対決の姿勢を崩しておらず、天上人たちの見えない戦いが、より一層、消費者、企業は蚊帳の外の空虚な気持ちにさせられる。

 2008年1月のTDB景気動向調査には、「小型車販売に続き軽自動車も失速。近年にない1月前半の不調で12月から続く悪化基調が一段と厳しくなっている」(自動車小売)、「ガソリン高によりレジャー利用を控える傾向が出てきている」(レンタカー)など、ガソリン価格上昇が消費不振に輪をかける声。

 また、「タクシーの運賃改定がなされたがLPG代の高騰により効果は出ていない」(タクシー業)、「燃料代は高騰しているが、顧客企業の収益が上がらず運送料への価格転嫁ができない」(一般貨物自動車運送)など、企業の収益を圧迫している声が寄せられている。

 福田首相は、ガソリンなどの暫定税率を廃止した場合、車に乗る機会が増えて、地球温暖化につながるガソリンの消費を抑制するためにも税率維持が必要と述べたが、それならば、道路拡張は環境に負荷はかけないのか。また、ランニングコストがあがることで自動車の保有台数が減少傾向にあるなか、使用頻度の少なくなる道路に税金を投入することが必ずしも正しいとは思わない。あまりにも急場しのぎのコメントだ。

 ガソリン価格が下がるか、飛躍的な燃費向上がなければ、国内での自動車販売台数に伸びは見込めないし、乗ることを控えれば、その分、消費も伸びないこととなる。現在、必要なことは、消費の喚起である。一時的にでも、消費を喚起するだけの、また、企業の国際競争力を向上させるためにも、今こそ、暫定税率の廃止が難しければ、税率の引き下げぐらいは、取り組むべきではないだろうか。

(脱・属国)


活力ある経済、所得上昇による消費回復が不可欠

 2008年度の個人消費に暗雲が漂っている。給与収入が伸び悩むなか、増税、社会保険料アップなどで、いわゆる手取り収入を表す家計の可処分所得は減少する傾向にある。

 「家計調査」(総務省)によると、2006年の勤労者一世帯あたり1カ月間の勤め先収入は、2000年と比べて約2万9千円少ない約45万円、可処分所得は同様に約40万円となっている。さらに、2007年以降は食料品など生活に必要な買回り品の値上げが相次いでおり、消費者心理を冷え込ませる要素に事欠かない。

 一般に、消費は現在の収入や将来の期待収入、物価動向、株式をはじめとする金融資産残高など経済的要因のほか、将来不安や支出意欲など心理的要因によって決まってくる。現在の日本の状況を鑑みると、これらは個人消費を回復とは逆に向かわせるシグナルを発している。

 収入の元である賃金に関して、TDB景気動向調査で2008年度の賃金動向に関する企業の意識調査を行ったところ、正社員について「賃金が改善する」との回答は45%となった。具体的には、ベースアップによって賃金改善要求に応えるように企業姿勢が変化していることが示された。背景には雇用情勢のひっ迫があり、労働力の定着・確保が最大の理由である。

 しかし、一方で、非正社員の賃金改善は正社員の半分程度の21%にとどまっており、賃金格差拡大が懸念される。

 非正社員が労働者の3分の1を占めている現在、社会全体で消費意欲を高め、活力ある日本経済を取り戻すためには、非正社員も含めた可処分所得を改善させる施策が欠かせない。ない袖は振れないのだ。

(なんとか王子)


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