主観客観
2008年4月3日
失政に翻弄されるガソリンスタンド業界

 振り返れば2007年度は、原油価格と米国のサブプライム問題に翻弄された1年だった。景気DIはこれらのリスクに呼応する形で悪化を続け、2008年1月には景気回復局面入りした直後の2003年8月の水準まで後退した。まさに波乱の1年だったと言える。

 そして、原油高リスクとサブプライム問題を抱えたまま、政治が機能不全に陥ったまま、2008年度を迎えた。

 食品や電力・ガスなどが相次いで値上げされたことも消費への影響は大きいが、ガソリンにかかる暫定税率の失効はそれ以上に消費者にインパクトを与えた。

 3月中はガソリンの価格下落を見込んでドライバーはガソリンを買い控え、なかにはガソリンが底をついて動かなくなった車もあった。そして、4月1日となり赤字覚悟で値下げを断行したガソリンスタンドには客が殺到し、値下げできないところは当然のように閑古鳥が鳴いた。まさに政治の機能不全が引き起こした前代未聞の事態である。

 2008年度に入っても変わらないのは、失効期限を迎えてガソリンスタンドへの支援策を協議し始めるという後手後手の政府の姿勢。閑古鳥が鳴いても客が殺到しても、今後、力尽きるガソリンスタンドが出てくる可能性は否定できない。ガソリンスタンド経営業者の倒産は毎月5件前後で推移しているが、今後増えていくことがないかしばらく注視したい。

(東麻布の宮)


米景気後退で急がれる政治不況からの脱却

 4月2日、FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が上下両院合同経済委員会で、米景気が2008年前半に後退入りする可能性について初めて言及した。

 さらに、2008年後半には再び成長ペースを取り戻すとしていたこれまでの見解についても、「下振れリスクは大きい」として今後の景気見通しに対する不透明感を表明している。

 日本の景気も、年後半には再び回復軌道に戻るとの楽観的な論調が多くあったが、これには米景気の持ち直しが前提にあったわけであり、今回のバーナンキ議長の発言は、今後の日本の景気見通しにも影響を与えていくのは必至だ。

 2008年の世界景気の底上げには、北京五輪や新興国の経済成長持続に期待をかけるくらいで、ほかに目立ったものはない。

 国内は、改正建築基準法に代表されるような相次ぐ規制強化により政策不況と揶揄されてきたが、最近では政治不信の増幅によって政治不況とまで言われるありさまだ。

 可処分所得が減少するなか、今回のTDB景気動向調査(特別企画)の結果からも雇用環境のピークアウトが示されており、先行き内需が本格回復する気配はない。

 外需が減速し、為替動向や原油・素材価格高騰など経営環境改善の見込みがたたないいま、4月危機、5月危機などと言われる政局の混乱からは早々に抜けださなければならない。政府には、個人・企業向け減税や地方分権の推進など国民生活に目を向けた政策が求められる。

(大和)


一歩進んだ労働市場の環境整備

 経済協力開発機構(OECD)が算出した「雇用保護指数」によると、先進国のなかで日本は正社員と非正社員の保護格差が突出して大きいという。米国では正社員も非正社員も比較的簡単に解雇できるのに対して、EUでは両者とも簡単には解雇できない。日本は、正社員の解雇はEU並に非常に難しいが、非正社員は米国並に簡単に解雇できる。

 このような背景もあり、2008年4月から「改正パートタイム労働法」が施行された。今回の改正のポイントは、(1)採用時に労働条件を文書で明示、採用後も待遇の決定過程を説明、(2)賃金、教育訓練、福利厚生は非正社員の働き方に応じて決定、(3)非正社員から正社員に転換するための措置を講じること、が義務化されることである。つまり、非正社員の労働ついて、待遇や契約条件の文書化、同一労働同一賃金の促進、正社員化の推進、を法制度上から後押しすることを目的としている。

 そこでTDB景気動向調査で2008年度の雇用動向に関する企業の意識調査を行ったところ、非正社員から正社員への転換制度について「すでに制度はある」と「制度を導入する予定がある」の合計が21.2%で、5社に1社の企業が社員の転換制度を保有することになる。特に非正社員への依存度が高い『小売』では保有割合が約4割にのぼった。

 待遇や賃金、採用などの雇用問題の多くは、結局のところ「インサイダー・アウトサイダー」問題に帰結する。悩ましいのは、非正社員から正社員に転換した人は、今度は内部側(インサイダー)に変化することだ。インサイダーの労働条件が良くなればなるほど、これから働きたいと考えている人(アウトサイダー)にとって、高い壁になってしまう。

 非正社員・正社員間とともに、インサイダー・アウトサイダー間においても、より流動性の高い労働市場を整えることが重要である。

(なんとか王子)


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