主観客観
2008年8月5日
財政健全化に求められる国民負担とのバランス

 福田総理は8月1日、ようやく内閣改造に踏み切った。解散総選挙と増税を強く意識した布陣であり、構造改革を中心とした小泉路線との決別は鮮明となっている。

 家計では負担増への危機感が募っており、安定しない雇用や所得の停滞によって先行き不透明感がまん延している。企業でも仕入れ価格の高騰による収益環境の悪化で、マインドは低下するばかりだ。

 北京五輪を間近に控えているが、終了後は一段の景気悪化が懸念される。これを回避し再び国内景気を安定軌道にのせるための政策として、バラマキの復活による景気対策の機運が盛り上がりつつあるが、それ以上に重要なのは税制改革である。

 今回の改造人事で、経済財政政策を担当する特命大臣に与謝野馨氏が就任した。与謝野氏は、税制改革による財政健全化に並々ならぬ意欲をみせており、大増税への地ならしが始まったとの見方もある。

 しかし、今後、議論が活発化する税制改革に、政府・与党は与謝野氏を筆頭として生き残りをかけ全力で臨むと期待したい。財政健全化の視点だけでなく現在の景気動向からも、先送りは許されない。今度こそ、国民や企業の信頼を勝ち得なければ、政権交代は不可避となろう。

 もちろん、財政健全化だけに目を向け、国家を形成する国民が疲弊しては本末転倒である。そのようなシステムは、いずれ国家もろとも崩壊する。改造内閣には、財政健全化の柱とされる消費税のほか、所得税や法人税などにおいても弾力的・効果的な運用を模索し、新たなグローバル経済下における国民負担とのバランスを注意深く分析したうえで、実行に移していくことが強く求められる。

(大和)


言葉だけで終わらない税制の抜本的改正を

 税制論議が活発である。国会が休会中ということもあり、さまざまな意見が飛び交い、百花繚乱の様をなしているようだ。税は多くの国民や企業の行動を変える力を持っており、税制次第で日本経済の行く末が大きく左右される。

 TDB景気動向調査で行った消費税および税制に対する企業の意識調査によると、近い将来、消費税率を引き上げることに「賛成」とする企業が3割にものぼった。ただし、徹底した歳出削減とムダの排除が前提条件なのは言うまでもない。

 税金には「公平・中立・簡素」という租税三原則があるが、小泉政権時代の経済財政諮問会議では「公正・活力・簡素」を掲げた。そして、安倍前政権、現在の福田政権では租税三原則を中心として、「成長」を目標に据えている。

 税金に関しては、かつて「クロヨン」や「トーゴーサンピン」という言葉が流行った。税務署による課税所得の捕捉率に関する職種間格差を表す言葉である。現在でもその実態は変わらないという。いまでは消費税の益税問題もある。

 これでは租税三原則の「公平」は成り立たない。公平=平等ではないが、同じ所得を得ているならば、同じだけ税金を払うべきだと思うのは、自然な感情であろう。これが税制、ひいては政策に対する不信へとつながっている。

 また、税金には納税者番号制の問題も残っている。過去にはプライバシー保護の観点から立ち消えになったこともあるが、まじめに納税している国民にとっては問題にならない理由なのではないだろうか。海外をみると、イタリアには納税者番号があり、米国やカナダは社会保障番号、スウェーデンやデンマーク、韓国、シンガポールでは住民登録番号を納税者番号として使用している。納税者番号はほとんどの国で実質的に導入されているのである。日本でも導入に向けて真剣に議論すべきであろう。

(なんとか王子)


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