主観客観
2008年10月3日
問われる政治の“実行力”

 9月1日に福田前首相が辞任を表明して以後、自民党総裁選から麻生首相が誕生するまでめまぐるしく政治状況が動いた。

 総裁選では上げ潮派、財政再建派、財政出動派などと呼ばれた5候補の論戦が戦わされたが、いずれも自民党に所属する議員であり目指す目標は同じである。ただ、その目標に向かう優先順位が異なっているだけであろう。

 福田前首相の置き土産となった総合経済対策、正式には「安心実現のための緊急総合対策」に対応する補正予算案が麻生首相の下で国会に提出された。そこで、新政権および政策に対する企業の意識調査で、緊急総合対策に掲げられている項目について政府に優先的に取り組んで欲しい政策を尋ねたところ、「物価(原料高など)に対する総合的対策」(41.7%)、「中小・零細企業への支援」(35.7%)、「特別減税等の実施」(25.8%)、「年金記録問題への対応」(22.3%)が上位に挙げられた。企業は国民の生活周りの不安解消や信用収縮による資金繰り悪化に見舞われている中小企業支援などを、特に優先度の高い政策として望んでいるという結果が示された。

 しかし一方で、構造改革を「推進すべき」とする企業も65.9%に達し、「軌道修正すべき」の14.2%を大きく上回っている。小泉政権以来の構造改革路線は、負の遺産に配慮しつつも、一層の改革を進めていかなければならないという企業の意識が如実に表れている。

 平時であれば、優先順位の高いものから少しずつ政策を実施していけば良いかもしれない。しかし、現在は景気後退局面が深刻化し、米国発の金融危機が世界各国に伝播する緊急時である。目の前にある問題に対処すると同時に、中長期的課題に対しても迅速に対応しなければならない。いままさに、政治の実行力が問われている。

(なんとか王子)


事故米対応からみえる国民と行政の溝

 2008年9月のTDB景気動向調査には、「中国問題含め食品会社の不正問題の風評被害が甚大」(飲食料品卸)、「事故米問題まで発生し、食に対する不信感は強くなる一方で、景気低迷もあいまって個人消費も回復しない厳しい状況」(居酒屋)など、事故米の不正流通問題による悪影響を嘆く声が、食品関連業界から多く寄せられた。

 実際、関連する業界のDIは、「飲食料品・飼料製造」(31.6、前月比▲1.9)、「同卸売」(30.2、同▲0.8)、「同小売」(30.9、同▲1.2)、「飲食店」(31.9、同▲1.4)と軒並み悪化している。

 今回の事故米の対応のために、農林水産省では、省内の業務および組織見直しのため、「農林水産省改革チーム」を設置、10月2日に第1回会合を開催した。

 しかし、不特定多数の生命への危険の恐れもある食品を生産・流通面から監督する立場にあるにも関わらず、そのチームメンバーは同省内だけで組織されている。

 チーム長が必要と認める場合のみ、外部有識者に意見を聞くとされており、他省庁、特に検査で関連する厚生労働省や、10月1日現在で41都道府県、約884万食の学校給食で事故米が使われた可能性が判明し、対応に追われる文部科学省はメンバーとして入っておらず、縦割り行政になんら変化もみられない。

 悪い情報は隠蔽、露呈後の対応策も検討過程すらベールに包まれ、その結果の概要のみが伝えられる。行政への不信感は募り、国民と行政の溝は深まるばかりである。

(脱・属国)


格安商品を追い求める消費者と企業

 内閣府が9月12日に発表した四半期別GDP(平成20年4-6月期・2次速報)の個人消費は▲0.5%となり、7四半期ぶりに減少した。食料品や被服などの支出が抑えられている。景気の後退を受けて、消費者は高級品・嗜好品の購入を控えるだけでなく、生活必需品を少量かつ安価で購入する動きが広がっている。

 そのような消費者の傾向を受け、大手スーパーはディスカウント事業に乗り出した。商品数を絞り込み格安販売を行っている。経費節減のため、店内装飾を簡素化し、段ボールのまま陳列するなど企業側の工夫がみられる。セブン&アイ・ホールディングスはかつて撤退していたディスカウント事業を再度復活させた。売り上げも好調であるといわれている。イオンもプライベート商品の割合を高めるなどしたディスカウント店舗をオープンした。

 家計にゆとりがない状況で、ディスカウント店の開店は近隣住民にとって朗報となるだろう。しかし、既存の小売店にとっては脅威でしかない。現在、大手スーパーのディスカウント店は実験店舗として運営されているが、今後ディスカウント店が増加すれば、競争激化が見込まれる。

 景気後退により先行きに不安を抱えた人々は貯蓄し、将来に備える傾向にあるが、現在の消費を控えることで、貨幣の流通が滞り、より景気が悪化するという悪循環に陥る。ディスカウント業態は消費を喚起させ、流通を活発化し、消費低迷の悪循環からの脱出へと導くだろうか。今後の出店状況が注目される。

(小夏)


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