主観客観
2009年2月4日
巨額な財政出動を新時代の政策手法確立の好機に

 内閣府は、今回の景気後退が2007年11月から始まっていたと発表した。2009年2月現在、後退局面に入りすでに16カ月が経過していることになるが、世界的な経済危機は依然として収束する見込みがなく、各国の内需も弱いことから、今回の景気後退は戦後の後退局面の平均期間16カ月を大きく上回ることになりそうだ。

 戦後初となる今回の日米欧同時の景気後退は、2007年の夏に顕在化したサブプライム問題がきっかけとなったわけだが、2008年9月のリーマン・ショック以降は、一段と景気が悪化し、各国とも緊急経済対策として財政出動の動きを強めている。

 しかし、右肩上がりを続ける中国など発展途上国は別としても、先進国が財政出動を強めることに問題はないのか。

 今回の景気後退で、各国ともサブプライム問題をはじめとして、過大な借入に支えられた経済構造の危険性を十分に認識したはずである。しかし、今度は国家が過大な借入に頼ろうとしている。すでに高成長が見込めない成熟した先進諸国が巨額の財政出動を実施することは、将来の国民負担をテコにして大きな負債を抱えるようなものである。

 現に、巨額の財政出動によって、米国では国債の値下がりやそれに伴う長期金利の上昇、将来の負担増を嫌気した消費マインドの委縮などマイナス面を露呈させ始めている。こうしたなかでのさらなる国債の増発は、国家そのものへの信頼が揺らぐ可能性もある。

 もちろん、未曾有の経済危機に陥ったいま、巨額な財政出動が見込み以上の効果を発揮して欲しいとの願いはある。金融政策を柱に、並行して政府や自治体が行政面から経済活動や雇用環境の整備を後押しするだけでは乗り越えられない危機に直面しているとも言える。のちのち、巨額な財政出動の決断はやはり正しかったと結論づけられる日がくるかもしれない。

 各国政府は、国民に大きな負担を強いる以上、成熟国家の景気対策として巨額な財政出動がどれほどの効果をもち、一方でどのような問題が起こるのかを今後しっかりと検証し、新しい時代の政策手法を確立していく好機としていかなければならない。

(大和)


業績悪化とブランド価値の低下

 2009年1月末から2月初めにかけて、百貨店業界ではニュースが飛び交っていた。1月29日には北海道で百貨店事業を手がける丸井今井(北海道・札幌市)が民事再生法の適用を申請。30日にはセブン&アイ・ホールディングスが百貨店事業においてそごうを存続会社としてミレニアムリテイリング、西武百貨店を合併すると発表。また、2月3日にはそごう心斎橋本店をJ.フロントリテイリングに売却するという報道もされている。各社とも減収発表が相次いでおり、経営環境は厳しさを増している。

 2008年の百貨店の売上高は7兆3,814億円とtaspo効果のあったコンビニ(7兆8,566億円)を下回った。衣料品をはじめ高額商品の売り上げ低迷。各百貨店の経営環境は急速に悪化しており、先行きに明るい兆しも見られない状況にある。悪化の原因としては、景気悪化や人口減少、衣料品専門店やネット通販事業などの拡大による消費者の購買形態の多様化など様々な要因が言われているが、私は消費者の百貨店に対するブランド価値の低下が最も大きいように感じる。

 かつて百貨店で買い物をし、食事をして休日を過ごすことがステイタスであった時代がある。欲しいモノをたくさん取り扱っており、消費者は、少々値の張る商品を貯金して買うのが、百貨店であった。ブランド価値を購入していたのである。

 しかし、テナント収入に頼り、自社商品の開発や商品買い付けが減少している現在では、テナントを集合させた商業施設(モール)のようになってしまっており、消費者に対する百貨店の魅力は薄れた。

 老舗企業となっても、変わりゆく消費動向に合わせて販売方法も変遷を遂げなければ生き残りは難しくなっている。ブランド価値が低下しているいま、新たな価値を創出しなければ、衰退の一途をたどることになるだろう。

(小夏)


世界同時不況の影響で低迷する北関東

 自動車、精密、建機、通信関連の大手工場およびそれに付随する下請け企業が集積する『北関東』(16.5)は、5県(茨城、栃木、群馬、山梨、長野)すべてが悪化、DIは11カ月連続の悪化となり、調査開始以来で初めて全国10地域中最低となった。

 特に北関東の『製造』(13.9)は全国平均の『製造』(17.7)を下回り11カ月連続で悪化、『不動産』『その他』に次ぐ10業界中第8位と低迷している。世界同時不況と円高の影響を大きく受けた。

 県別では、全国平均を超えているのは「茨城」のみとなった。茨城県は、2008年12月20日に北関東自動車道の桜川筑西IC(茨城県桜川市)−真岡IC(栃木県真岡市)間の開通で東北自動車道とつながったというプラス要因があるが、その茨城県でも「自動車の減産により、売り上げ半減」(茨城県、自動車部品製造)との厳しい声もある。

 北関東のなかでも特に「山梨」「長野」の低迷は深刻である。「半導体関連及び自動車部品の加工をしている企業は仕事がほとんどない状態」(山梨県、鉄鋼・非鉄・鉱業)との声が寄せられた「山梨」の景気DIは4カ月連続で20を割り込み、2002年5月の調査開始以降、最低の13.0となり、都道府県順位も47位。また、「自動車や電気・電子機器向けの部品製造業はすべて大きく減産」(長野県、鉄鋼・非鉄・鉱業)と製造業不振の声の多い「長野」も、7カ月連続の悪化で都道府県順位は46位。

 『北関東』の2県が都道府県別DIのワースト1・2位を占めた。

 北関東の景況感を支えてきた製造業の衰退は、工場閉鎖による法人住民税の減少、人員削減による個人住民税の減少となり、地方自治体の歳入減少となることは必至であり、ただでさえ減少している公共工事発注や次世代を担う教育費、福祉関連の民生費の歳出配分にも今後、影響が出ることが懸念される。

(脱・属国)


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