主観客観
2009年4月3日
難しい舵取りが続く米国の経済政策

 2009年3月度のTDB景気動向調査特別企画で、「2009年度の業績見通しに関する企業の意識調査」を実施した。その結果、2009年度の業績見通しを「減収減益」とした企業は45.8%と半数近くに達し、さらに、業績を下振れさせる懸念材料として、欧米金融危機の長期化や外需、とりわけ米国経済の悪化が上位に挙げられた。

 前者については、4月2日にロンドンで世界20カ国・地域(G20)首脳による第2回金融サミットが開かれた。そこでは2010年末までに約500兆円の財政出動により経済成長率を4%押し上げる、為替の切り下げ競争を行わないなど、小異を捨て、各国が協調して世界金融・経済危機を乗り切る宣言が採択された。

 米国では、2月に新築戸建や中古住宅販売が増加、住宅価格指数も上昇するなど、米住宅市場にやや改善の兆しがみられた。ひとつには米政府が住宅ローンの焦げ付き急増に歯止めをかけるため、約7兆円の公的資金による救済策を発表したことも背景にある。しかし、ローン返済条件の緩和は金融機関の判断に委ねられていることに加え、借り手と貸し手の再交渉の場に直接、納税者の資金が使われる可能性もある。そのため、この救済策には批判の声も多い。

 ある米国のニュース番組では、シカゴ商品取引所内からレポーターが声を荒げてこの救済策に反対し、周辺のトレーダーからも指笛が発せられるなど、取引所が政府に対する反乱を起こしたと見紛うような状態になった。これにはホワイトハウスも対応せざるを得ない状況に追い込まれ、この一件はボストン茶会事件ならぬ「シカゴ茶会事件」とも呼ばれ、大きな波紋を広げた。

 これまでも、ビッグ3の経営者が社用ジェット機で支援要請に来たことや公的資金を得た金融機関で多額のボーナスが支払われたことなど、納税者に理解を得られない出来事が相次いでおり、不満がいつ爆発してもおかしくないだろうことは容易に想像がつく。オバマ大統領が就任して2カ月あまり、GM・クライスラーやAIGなどへの対応を含め、経済の難しい舵取りは続く。

(なんとか王子)


企業のスポーツ活動支援で景気浮揚を

 さまざまな競技で企業のスポーツ活動からの撤退が相次いでいる。

 いずれも企業側は業績不振による経費削減を理由としているが、なかでも西武鉄道のアイスホッケーチーム、オンワードのアメリカンフットボールチーム、日産自動車の野球チームなどは、いずれも長年にわたり各リーグで上位の成績を維持してきた歴史も実績も兼ね備えた名門チームであり、撤退には聖域がない状況にある。

 景気悪化の深刻化により、非正規雇用者の解雇に続いて、正規雇用者に対する雇用調整も進んできた現在、スポーツ選手だけを特別扱いすることはできないという企業側の論理は理解できる。しかし、これまで多くのオリンピック代表選手等のスポーツエリートを排出し、日本の国際的な競技力の維持・向上において中核的役割を果たしてきた企業のスポーツ活動の縮小は、日本のスポーツ界全体の弱体化につながることが懸念される。

 もちろん、企業側も安易に撤退を決定しているとは思えないが、自社のみでのチーム運営負担が厳しいのであれば、複数の企業によるチームの所有形態を模索したり、地域市民参加型チームへの転換を促すなど、チーム存続に向けた取り組みを最後まで怠るべきではない。

 実際にサッカーJリーグのアルビレックス新潟やアイスホッケーの日光アイスバックスなど、財務基盤は苦しいながらも、複数企業による支援や地域共生をはかり、チーム運営を存続させている事例もある。また、企業だけでなく、各地域の地方公共団体も地域新興、スポーツ振興の一環として、空き時間の競技施設の開放や財政支援により積極的に活動を支援していくことも効果があるだろう。

 オリンピック等のスポーツイベントでの日本人選手の活躍が期待されれば、テレビや旅行などの消費を刺激・拡大させ、国内の景気浮揚にも繋がる。政府もスポーツ振興に貢献した企業に対する支援を充実させるなど、現在活動中の選手はもちろん、将来への投資として、未来あるスポーツ少年・少女達の夢をつぶさないような施策を打ち出すべきである。

(Caddis)


親事業者の下請け企業に対する過度な圧力を避けるために

 2009年3月のTDB景気動向調査では景気DIが19.4となり、前月比改善となったものの、景気DIは判断の分かれ目となる50を大きく下回っており、非常に低水準での推移となっている。

 中小企業からは「地場に工場を持つ大企業が損益を良くするために、下請け会社に値引きを強いる」など親事業者からの圧力があるという声もあり、下請け企業には景気後退に伴うしわ寄せが及んでいることは明らかである。

 親事業者が減産している以上、受注減もやむを得ない部分はあるが、これに便乗して圧力をかける企業は少なくない。親事業者からの不当な扱いを避けるための下請代金遅延等防止法、いわゆる下請法はどれくらい適用されているのだろうか。公正取引委委員会によると、2008年度は、勧告13件、警告2,740件であった。しかし、調査処理数の内訳を見ると、調査により判明したのが約95%を占め、実際に下請け事業者により告発されたものは約5%に過ぎない。2009年度に勧告を受けた企業は15件とすでに前年度水準を超えたが、暗数もかなり存在するとみられることや、公正取引委員会が今回の景気悪化に伴い下請法の厳格な運用などの対策を実施していることにより警告件数も大幅に増加するとみられる。

 下請法には告発したことによる報復行為の禁止も謳っているが、景気後退期であり、厳しい取引条件でも仕事を確保したい下請け事業者は声を挙げにくい環境である。親事業者においては下請法の認知・理解を高め、コンプライアンス姿勢を高めることが必要であり、それ以上に下請け企業は下請法にかかわる知識を深め、親事業者との話し合いの上で、有効なカードの切り方が出来ることが求められる。

(小夏)


新年度入りも方向性定まらない株式市場

 金融機関の保有上場株式の期末評価を引き上げるため、日銀による買入れ総額1兆円の金融機関の上場株式買い取りが2009年2月3日からスタート。金融庁も株式買取法改正法の施行(3月10日)により、銀行等保有株式取得機構による銀行保有の上場株式の買い取りを2012年3月まで延長した。

 特に、銀行等保有株式取得機構は資金調達時の政府保証枠20兆円があるため期末の金融不安を後退させ市場参加者への心理的な下支えとなった。日経平均株価は同改正法が施行された3月10日に、バブル崩壊後の終値ベースの最安値7,054円98銭から上昇に転じて期末は8,000円台を維持、緊急対策としては効果があったといえる。

 しかし、政府保証枠付きの買い取りは、「株価下落の損失」=「税金での補填」というリスクを内包している。

 東証の2008年度末の時価総額は255兆円で2007年度末比35.4%減、2006年度末の559兆円からは54%減と、2年で実に300兆円が消えている。20兆円という撒き餌をもとに、市場に資金が戻るきっかけをつくったに過ぎない。

 今回調査した「2009年度の企業の業績見通し」では、約半数近い企業が減収減益を予想していることから、企業業績の回復による株式市場の本格回復は望めそうにない。撒き餌だけでは釣果を得られるほど甘くはないのである。政府は、企業業績を回復させるための日本の方向性を明確に打ち出し、その結果、市場へ実需による資金流入を促すことが必要だ。

(脱・属国)


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