主観客観
2009年8月5日
若田光一さんの笑顔に21世紀の可能性をみる

 2009年8月1日、若田光一さんが宇宙から帰還した。国際宇宙ステーション(ISS)における日本人初の4カ月半に及ぶ長期滞在の任務を完了しての見事な帰還で、地元ヒューストンでの歓迎ぶりも日本で大きく報道された。政治・経済など社会全般で閉塞感漂う日本にとって、地上に降り立ったその満足感溢れる笑顔は、とても明るいニュースとして印象的であった。

 これまで宇宙開発は多数の紆余曲折を経てきた。ISSにはアメリカを中心に莫大な開発費が投じられており、その予算や冷戦構造の崩壊、スペースシャトルの事故などによって計画変更や延期などを繰り返してきた。スペースシャトルの運用は2010年に終了する予定であり、新たな宇宙船の開発計画が進んではいるものの、いまだ流動的な部分も多い。今後も予定どおりにはいかない可能性が高い。

 しかし、ここで見切りをつけるには早すぎる。今回、ようやく日本の実験棟「きぼう」が完成したことで、今後は流体物理実験や細胞培養実験など科学実験や技術開発などを実施していく予定である。特に、生命や環境分野における研究は、人類の未来に大きな希望を与える可能性も十分にある。

 人は宇宙の視点を持って初めて地球全体のことに思いが及ぶという。県政を担う県会議員は出身市町村、国政を担う国会議員は出身都道府県の利益を考慮し、国の代表は自国の利益を優先的に行動する構図を考えれば、地球が直面する問題や課題に真剣に向き合うためには、宇宙に視点を持つ意義は少なくない。

 若田さんは帰還直後の記者会見で、「ハッチが開くと草の香りが入ってきた。優しく地球に迎えられたようだった」と語った。

 21世紀は、急成長を遂げた20世紀の負の遺産を精算する世紀とも言われる。しかし、同時に環境分野を契機とした新たなパラダイムシフトも起こり得る。21世紀は、緑溢れる地球のもと、人類の永続的な繁栄の礎を築く世紀になるように感じる。

(大和)


懸念される運輸業者の倒産ラッシュ

 運輸業者の倒産増加が顕著になっている。

 2009年4月の運輸業者の倒産件数は58件と、倒産集計の対象を変更した2005年4月以降、最多を記録した。翌5月には43件、6月には51件の倒産が発生し、2007年3月から28カ月連続の前年同月比増加となった。

 2007年から2008年前半にかけては、燃料価格の高騰により経営を圧迫されて倒産に至る運輸業者が多かった。その後、2008年8月をピークに燃料価格は急激に下落し、厳しい業界の状況に一服感がもたらされると期待されたものの、今度は景気後退によるメーカーの減産、消費不振による物流量の減少に見舞われ、受注の大幅な縮小を原因とする倒産が増加してきている。

 雇用や所得不安により、国内需要の急速な回復が見込めない苦しい受注状況のもとで、さらにここにきて再び燃料価格が上昇に転じてきており、業界環境はますます悪化の様相を呈している。このような状況が続けば、運輸業者の倒産増加はもとより、安全に対する投資の減少や無理な運転スケジュールの横行による交通事故の多発に加え、環境問題に対する投資も減少することでCO2排出量の削減も進まなくなるなど、多方面に悪影響を与えることとなる。

 運輸業者に対する高速道路の割引など、業界を支援する一部の施策は打たれているが、そもそもコスト削減を理由に、ドライバーに高速道路を利用させないとする事業者もあり、その効果は限定的なものとなっている。今後も日本経済の基盤をなす質の高い物流サービスを維持するためには、政府のさらなる施策の拡充ととともに、燃料価格上昇分の価格転嫁などに対する荷主や消費者の理解や協力が求められよう。

(Caddis)


海外が鍵を握る太陽光発電

 公共投資の削減や民需の低迷で、設備投資が本格回復に至らないなか、太陽光発電の関連需要に期待が集まっている。

 自ら居住する住宅に太陽光発電システムを新規に設置した場合の補助金付与が2009年1月に開始された。申請受理件数は、2009年1〜3月に2万2,501件、4月から7月までで毎月増加し累計で2万8,442件となった。

 しかし、2010年1月29日までの期間限定であり、補助金交付予定額である200億5,000万円に達した時点で受付終了となる。少子高齢社会にあり、新規住宅着工が低迷する状況からも、住宅用に過度な期待はできそうにない。

 また、全国の公立小中学校3万3,000校のうち耐用年数などで絞り込んだ1万2,000校に太陽光発電システムを3年以内に導入するスクール・ニューディール構想もある。文部科学省のパンフレットによると、1校あたりの平均設置量は20KW、全体では240MWとなり2008年度の国内出荷量とほぼ同等となる。

 長期的には、2020年度までに電気事業者によるメガソーラー発電所を全国30カ所、約140万MW規模で建設する計画もあり、国内は太陽光発電の需要拡大に否が応でも期待が集まっている。

 しかし、これらの太陽光発電計画は国内の太陽電池市場全体からみれば重要ではあるが、数値面からみると、さほど大きなインパクトはない。2008年度の日本の太陽電池出荷量は1,120MW、そのうち海外出荷が約8割を占めるためだ。

 国内の需要拡大は、海外メーカーとの競争力強化のための生産コストを低減する役割としては効果がある。これからは国内の需要増を足がかりに、いかに海外でのシェアを拡大していくかが重要となってくる。

(脱・属国)


高齢化社会における交通安全対策

 75歳以上の運転者による死亡事故は10年前の1.5倍に増加。高齢化が進むにつれ高齢者ドライバーは増加基調にあり、交通安全対策が急務となっている。

 1997年より導入された高齢者運転標識(もみじマーク)もその対策の1つだ。もみじマークの設置は運転者が高齢者であることを周囲に知らせることで、他のドライバーからも配慮が得られる効果を狙って制定されたが設置は任意であった。

 しかし、2008年6月より75歳以上の運転車には罰則付きの設置義務としたことで高齢者いじめにあたるという意見などを受け、2009年4月からは設置努力義務に変わった。またデザインについても「涙のように見える」「枯れ葉のようだ」などの批判を受け、新デザインを公募するなど度々話題となっている。

 もちろんすべての高齢者の運転が危ないというわけではない。高齢者でも車に乗り慣れている人はペーパードライバー、休日ドライバーに比べれば運転は格段と上手い。しかし、高齢になるにつれ反応速度が遅くなることは避けられない事実である。即時判断・対応が求められるときに、たった何秒かの遅れが大事故となる可能性もある。そして、反応速度の退化は本人では気がつかないところで進んでいるのである。

 もみじマークの設置を妨げているのはおそらくデザイン性の問題ではない。不幸中の幸いか、もみじマークが度々話題となったことで認知度は高いが、効果まで知り得ている高齢者は少ないのではないだろうか。高齢者になるにつれ交通事故発生度が増しているということや、もみじマークを設置することで得られるメリットを周知させることが、デザイン公募よりも優先させられるべきである。もみじマーク設置車の増加は、高齢者自身をはじめとしたすべての人の交通安全対策となるだろう。

(小夏)


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