主観客観
2009年9月3日
覚悟も求められる地方分権

 8月30日、第45回衆議院議員総選挙が実施され、民主党が308議席を獲得した一方、自民党は119議席にとどまり、民主党の圧勝に終わった。1955年の保守合同以来、一時期を除き54年間にわたり政権党で有り続けた自民党から、民主党を中心とする政権が誕生する。

 民主党の獲得議席数は衆議院480議席のうち64.2%を占めるが、これは現憲法下で行われた選挙としては過去最高となった。特に、小選挙区での獲得議席数は定数300議席中221議席と73.7%に達している。しかし、得票率でみると47.4%にとどまっており、前回の郵政選挙で自民党が得た47.7%をわずかだが下回っていた。今後の政権運営次第では、総選挙で得た国民の信認は簡単に失われていくと心して欲しいものである。

 ところで、今回の総選挙では解散から投票日までの日にちが長く、さまざまな論点が取り上げられたが、地方分権論議もそのひとつであった。そこで、地方分権に関する企業の意識調査を実施したところ、21世紀に日本の中心的役割を果たすべき社会体制については「地方分権」が61.0%と6割を超え、「中央集権」の14.7%を大きく上回った。また、地方分権の枠組みでは「道州制の導入」(41.7%)が「現行の都道府県中心」(32.0%)より多かったものの、現在の都道府県体制での地方分権の進展を期待する見方も多かった。

 道州制であれ都道府県体制であれ、地方分権の進展には、地域にあった政策を実行する財源、権限の委譲とともに人材の確保が欠かせない。それは各地域のリーダーにおいても同様である。リーダーによる権限・財源・人材の活用次第で、地域の発展が大きく左右されることにもなる。

 県内総生産(GRP)でみると、47都道府県すべてが先進国の集まりである経済協力開発機構(OECD)に加盟できるだけの経済力を有している。東京都のGRPはオーストラリアの国内総生産(GDP)よりも規模が大きく、大阪はノルウェーに匹敵する。日本ではGRPが47位の鳥取県もアイスランドより大きいのである。

 先進国の一国並みの経済規模を持つ日本の地方に対する権力の委譲は、同時に地域間の競争も激しくするであろう。競争が好循環を生めば各地域がともに発展するが、悪くすれば地域間格差が一段と拡大する可能性もある。そこでは、国による関与も当然縮小されていく。地方分権においては、各地方が独立国並みの厳しい覚悟を求められていることも認識しておかなければならないだろう。

(なんとか王子)


F1日本グランプリの消滅危機

 モータースポーツの最高峰であるFormula1世界選手権(F1)日本グランプリ(以下、日本GP)開催予定サーキットであるトヨタ傘下の富士スピードウェイが、財政難を理由に2010年以降の日本GPの開催を中止すると発表した。日本GPは、今回中止を発表した富士スピードウェイとホンダ傘下の鈴鹿サーキットでの隔年開催が決まっており、2009年の日本GPは鈴鹿サーキットで予定通り開催される。

 富士スピードウェイの撤退により、一時、2010年の日本GPの消滅が懸念されたが、急遽、鈴鹿サーキットが2年連続開催となる2010年の日本GPの開催を表明したことで、歴史ある日本GPの消滅は現段階では回避されることとなった。

 一部の新興国を除き世界的な販売不振が続く自動車業界と同様に、F1を取り巻く環境も厳しくなっている。今シーズンからホンダがレース参戦から撤退、また、来シーズンからはBMWも撤退を予定しており、今後、他のチームが追随することも予想されている。

 F1は自動車離れが進む若年層に車の魅力をアピールできる場であるほか、自動車の性能や安全性を向上させる新たな技術開発やテストを行う場でもあり、これまで自動車産業の発展に大きく貢献してきた。また、F1のように世界的に注目されるレースともなれば、海外からの来訪者を含めた観戦客の飲食や宿泊などの多くの消費が生まれ、開催地を中心とした国内経済に与える効果も大きい。三重県鈴鹿市によれば2006年に鈴鹿サーキットで開催された日本GPの国内経済への波及効果は約300億円と推計されている。

 一部のエコカーの販売が好調で、最悪期を脱しつつある日本の自動車業界であるが、今後の業況回復如何によっては、富士スピードウェイに続き、鈴鹿サーキットも日本GPの開催を見直さざるを得ない状況に陥る恐れがある。

 日本GPの開催が消滅するようなことは、自動車大国の日本としては何とか避けるべきである。政府や自治体、自動車関連業界団体は、日本GPの歴史が途絶えることがないよう、日本GPが単なる一事業者によるイベントではなく、国内産業や地域振興の重要な資源と認識し、国内開催の安定継続に向けた支援、協力を検討すべきではないだろうか。

(Caddis)


新政権下で余儀なくされる戦略転換

 一般住宅への太陽光発電システム設置の補助金(2010年1月29日または交付予定額約200億円に到達時点で終了)、エコポイントの付与(2010年3月末)、エコカー減税・補助金(2012年3月末)が順次、期限切れを迎える。

 2009年8月のTDB景気動向調査には「補助金対象商品である自動車、家電の一部の売れ行きは好調であるが、制度終了後に需要が反動減となることを懸念する」(機械部品製造)など、国内景気を下支えしている各種補助金なき後の経済停滞を懸念する声が多い。

 今月発足する新内閣のもとでは、衆院選での民主党マニュフェストに沿って、家計の可処分所得を増加させて個人消費の拡大に結びつける内需主導の舵取りがとられることとなる。

 特に、2010年夏の第22回参院選までの1年足らずの期間は、国民に分かり易い内需主導政策が優先されることが想定され、こと内需関連業界に関しては、期限切れを迎える各種補助金による内需下支えから、中身は変われど期待は出来る。

 2009年度下半期スタート時での新政権誕生は、企業によっては期初にたてた見通しやその根拠となった戦略の見直しを余儀なくされ、その影響は参院選のある2010年度決算までは続くこととなる。

 特に、国内消費の拡大のため円高容認スタンスにある政権の誕生により選挙後前8月末の1ドル93円から91円台にまで円高が進行しており、外需に重きを置く企業にとっては、今後、業績回復の重しとなり戦略の見直しを余儀なくされそうだ。

(脱・属国)


感染を拡大させる「根拠のない自信」

 新型インフルエンザに関する報道が連日行われている。一般に免疫を持っていない人が多いため、感染拡大が急速に進んだといわれている。また免疫力の弱い人は重症化する可能性も高い。夏休みが終わったと思いきや、すぐさま学級閉鎖になる学校も少なくないと聞く。9月2日現在では国内死者が10人となり、特に慢性的な疾患を抱えていた高齢者の被害が目立っている。

 4カ月前のゴールデンウィーク時には帰国者による国内感染を恐れ、空港などで厳しい検疫が行われたことは記憶に新しい。感染の疑いがある人が見つかれば、即座に政府発表が行われた。また、国内初の感染者か見つかるとマスクが飛ぶように売れ、一時は店頭からマスクが消えた。感染の疑いがないにも拘わらず、発熱があれば感染者だと疑われ、一部の医療機関では診療拒否も行われた。いまから考えると一種のパニックだったように思う。

 しかし、現在、マスク姿の人は少なく、一時のようなパニック状態はみられない。行政や学校などではインフルエンザ対策として、追加予算をたてて消毒や対策の呼びかけなどを行っているが、企業においては、営業自粛などを求められても現在の景況感のなかでそのような余裕がないのが現状だろう。また人々の意識面でも、「感染拡大」という報道への慣れから、危機意識が薄れているのではないだろうか。

 季節要因などもあり、今後、感染はさらなる拡大が懸念されている。治療薬として知られているタミフルに耐性をもつウイルスも確認されており、さらに強毒性に変異する可能性もある。詰まるところ、感染していちばん辛い目に遭うのは自分であり、そして、感染から守ることが出来るのも自分なのである。かくいう私も対策と呼べる程のことはしていないが、とりあえず、「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信だけは持たないようにしたい。

(小夏)


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