主観客観
2009年11月5日
政府は企業努力の支援を

 2009年10月の政権交代から2カ月が経過したが、最近の景気動向は不安定さを増している。この要因には、『コンクリートから人へ』の思想が空回りし、新年度アクセルを踏むために今年度急ブレーキをかけている現状がある。

 前政権はエコポイント制度やエコカー減税などの消費刺激策を打ち、2009年度補正予算による公共工事の増額で景気の底上げを図った。バラマキとの批判はあったが、外需の復調も手伝って、国内景気は緩やかながらも最悪期を脱する方向で推移してきた。

 しかし、新政権発足以後、企業部門においては景気の停滞観測が増幅し、それが従業員の雇用や所得不安を拡大させて、家計部門にも悪影響を及ぼす結果となった。

 身分が保障され、給与の下方硬直性も高い公務員とは異なって、民間企業の従業員には失業や減給のリスクがつねに伴う。雇用や所得が比較的安定したうえでの手当や減税であれば、景気を押し上げる効果も見込めよう。しかし、年金問題も解決していない状況では、見込み通りの消費拡大にはつながらず、先行き不透明感が募ることとなる。

 こうしたなかで、景気の下支え役としてまずは外需頼みということになるが、あわせて年末年始商戦とそれに重なる冬季オリンピック需要への期待も大きい。これまで、新三種の神器(デジカメ、DVD、薄型TV)の開発など、企業努力が景気の中だるみを払拭してきた実績もある。

 財政出動が公共事業から家計へシフトされる以上、企業努力に勝る消費喚起策はない。家電や情報機器では、新機能を付加した製品の市場投入、小売店では再編や地域ニーズに合わせた店舗開発などが相次いでいる。政府はこれらを支援する政策を実施・継続して欲しい。

(大和)


貧困率は多角的に検証していくことが必要

 10月20日、厚生労働省は2006年の日本の相対的貧困率が15.7%であると発表した。OECD加盟国では4番目に高く、この数値を元に各マスコミでは「貧困率拡大」などと報道している。しかし、この“相対的貧困率”は十分に注意して論じなければならない。

 貧困率には“絶対的貧困率”と“相対的貧困率”の2種類がある。絶対的貧困率とは、世界銀行の定義によると1日の所得が1米ドルに満たない国民の割合のことである。一方、相対的貧困率とは、OECDの定義によると等価可処分所得(世帯可処分所得を世帯員数の平方根で割った値)が、全国民の等価可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合のことである。

 この可処分所得には、@賃金などの就労所得、A利子や配当などの財産所得、B仕送り等、C公的年金、Dその他の現金給付が含まれ、保健・医療・介護サービスなどの現物給付や不動産などの資産は含まれない。例えば、広大な土地を所有し悠々自適な生活を送っている人、あるいは、自動車や住宅ローンも払い終わり老後の生活をエンジョイしている人も貧困層に含められる。つまり、元から資産を持っている富裕層も貧困層に含まれてしまうのである。これらの点は、2007年にOECDが相対的貧困率を公表したときにも指摘されたことである。

 ちなみに、民主党のマニフェストにある子ども手当の給付は「その他の現金給付」に該当するため相対的貧困率の改善には寄与するが、学費無料化は特に影響を与えるものではない。逆に、子ども手当の財源確保のために各種減税措置の廃止や増税で可処分所得が減少するようなことがあれば、相対的貧困率の改善とは逆行してしまう。

 とはいえ、相対的貧困率が緩やかながらも上昇しているのは確かであろう。相対的貧困率の上昇要因は主に3つあり、@高齢化、A単身世帯の増加、そしてB勤労者層の格差拡大である。何が日本の相対的貧困率を引き上げているのか、ということを検証したうえで、対策を講じていくことが肝要であろう。

 貧困率について論じるときには、相対的貧困率と絶対的貧困率の違いはしっかりと区別されていなければならない。また、十分な所得がないために食料や被服などの生活必需品を買うことができない人びとの割合など、貧困問題については多角的に評価することが必要なのではないだろうか。

(なんとか王子)


深刻化する子どもの貧困率

 厚生労働省が国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」を発表した。

 相対的貧困率とは、国民の年収分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合を示す指標である。日本の世帯当たりの年間可処分所得の中央値が概ね450万円程度とすると、相対的貧困層に属する世帯は、可処分所得が約225万円以下の世帯となる。

 相対的貧困率については、これまで日本政府としては公式に示してこなかったが、今回、民主党がマニフェストで掲げている貧困問題改善の目標設定のために初めて公表された。

 発表によると、2006年の貧困率は2003年との比較で0.8ポイント増の15.7%で、1997年以降最も高い数値となった。また、17歳以下を抽出した「子どもの貧困率」は同0.5ポイント増の14.2%となっている。

 近年、貧困を理由に給食費や修学旅行費を負担できない家庭や高校中退者の増加、親が国民健康保険の保険料を滞納しているため「無保険」状態で必要とする医療にかかれない児童の発生など、「子どもの貧困」に関する問題が指摘されてきたが、今回発表された内容からもその深刻さが裏付けられることになった。

 日本人は欧米人と比較して、貧困の原因は本人の甘えや怠惰にあるという考えが強いとされているが、子どもは親を選べないため貧困の責任は子ども達にはない。

 政府も子ども手当の支給や生活保護の母子加算手当の復活など、子どもの教育や養育費に対する支援策を打ち出そうとしている。しかし、この不況下で雇用・所得環境がますます悪化する状況においては、仮に手当の支給がはじまったとしても現実的には子ども達のためにお金が使えたくても使えない世帯も数多く存在するだろう。

 ただでさえ少子化がすすむ日本において、将来ある子ども達が生まれながらにして不公平感を感じるような悲しい世の中にならないよう、政府には確実に子ども達の明るい未来に繋がる夢や希望がもてる施策を打ち出して欲しい。

(Caddis)


NHK番組による景気下支えに期待する「四国」

 『四国』(27.8)の景気DIは前月比0.5ポイント増、外需急減の影響が都市圏に比べて小さく、6カ月連続で全国10地域中の最高となった。また、各県が経済対策として公共工事執行を積極的に前倒しした結果、『建設』(28.4)が同2.6ポイント増で全国10地域中トップとなった。西日本建設業保証発表の四国の公共工事動向の保証取り扱い実績は、2009年年度上半期は前年同期比17.6%増で全国の伸び率12.0%を超えている。

 しかし、政権交代にともない今後の公共工事減少を懸念する声が増えるなど、公共工事主導による景気の先行きについては引き続き不透明感が漂っている。また、民需も民間設備投資・個人消費低迷の影響から足元の状況については依然明るい話題に乏しく、厳しい消費動向を反映した『小売』(23.0)は、前月比で大幅に悪化し、全国10地域中で最低となっている。

 一方、明るい材料もある。徳島を舞台にしたNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(放送期間、2009年9月28〜2010年3月27日の半年間)、愛媛の「坂の上の雲」(同2009年11月29日から3年間)、高知の「龍馬伝」(同2010年1月から1年間)と、四国が舞台となるNHKの番組があいついで放送されることだ。

 日銀試算による上記番組の四国経済への経済波及効果は、観光客や宿泊客、土産品の売り上げなどの直接効果と、土産品の原材料生産の増加や観光産業従事者の所得増に伴って新たに生じる消費額により、400億円を超える。

 各県も放送コンテンツとの相乗効果を生み出すべく観光客集客のためのイベントにも注力しているが、各県個別の企画でつながりは薄い。

 一方、民間では、四国の地銀4行(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)が観光振興と四国全体の活性化を応援するために、2007年10月から2年間の期間限定で開始した文化施設対象のカードラリー「ミュージアム88カードラリーin四国」を、上記の放送による観光客の増加などを見込み、2年間の延長を決定するなど、県の枠を超えた取り組みを試みている。

 この四国の知名度向上の好機に、「大河ドラマを軸とした観光イベントに期待」(広告代理店)と観光客増加で景気下支えの効果を期待する声も多い。『四国』全体の景況感改善の期待が集まっているなか、一過性のもの、また各県単独の観光イベントに終わるのではなく、四国全県での官民一体となった取組みが重要となっている。

(脱・属国)


経済を冷え込ませる暖冬予想

 気象庁が10月22日に発表した3カ月予報では、12〜2月の平均気温が「高い」確率は北日本で40%、東日本・西日本で50%、沖縄・奄美は60%と発表された。また、9月に発表された寒候期予報でも同様の割合となっている。現在、エルニーニョ現象が発生しており冬まで持続するとみられることが主な要因であり、今冬は暖冬となる見込みである。

 11月1日には東京、横浜など、各地で夏日(最高気温25度以上)が観測されるなど、現時点でも例年を大きく上回る気温となっている。

 昨冬も記録的な暖冬となり、雪祭りの雪像が溶けたり、スキー場では雪不足により滑走コースが限られてしまったり、12月になっても営業を開始できない所も散見された。今冬も暖冬となることで、冬季観光需要を見込む地域はさらに厳しさを強いられることとなる。

 暖冬の特徴として、全国的に乾燥すること、日本海側では少雪、太平洋側では多雨の恐れがあることなどが挙げられ、山火事や雪崩、大雨による水害など自然災害の発生原因となる。少雪により春先の水不足も懸念される。

 また、各産業にとっても、暖冬による影響は少なくない。冬季需要を見込む燃料や被服関連にとっては売り上げを減少させる要因となり、農業にとっては作物の早期成熟により価格安に陥る懸念が高まる。また、前述したように氷雪を資源とした観光地でも、資源難より冬季観光需要を大きく減退させよう。そのうえ、人びとの財布のひもは堅く締められており、なかなか緩めてくれないのが現状。冬のボーナス商戦も厳しい戦いを強いられるだろう。

 しかし、暖冬は悪いことばかりではない。寒さが和らぐと言うことは、人びとが外出する機会の増大につながるとも考えられる。街に人が多く出れば商品や外食の需要も増すだろう。是非とも販売機会の拡大につなげてもらいたい。

 地球温暖化は進んでおり、毎年暖冬で苦しんでいる訳にはいかない。エルニーニョ現象で懐も暖めてもらいたいものである。

(小夏)


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