主観客観
2010年2月3日
恵方巻商戦の拡大に、内需の底上げへの可能性をみる

 景気低迷が続いており、個人消費は厳しい状況にありますが、メーカーや小売店は需要の掘り起こしを進めながら、数少ない消費機会を漏らさず取り込もうと、戦略を練っています。

その例としては、今日は節分ですし、近年、需要が拡大してきている恵方巻が挙げられます。
関西発祥の恵方巻は、ある大手小売店の販売戦略によって関東など他地域にも広まってきたと言われ、いまでは全国的にも知られるようになりました。認知度は9割を超えるとのデータもあります。その商品ラインナップも、すでに巻き寿司だけではなく、ケーキやお菓子など他の食品にも応用され、需要のすそ野を広げています。

 そのキーワードである「巻き(ロール)」に注目した企業の商品開発や販売戦略が、恵方巻商戦を拡大させているのです。
 いずれは、豆まきの習慣を超えるとの見方もあります。恵方巻は邪気払いや縁起物であるだけでなく、食事も兼ね、かつ、1人でもルールにのっとって黙々とできることが、急速に浸透してきた理由でもあるようです。

 そう遠くない将来、恵方巻商戦は母の日やクリスマス、バレンタイン商戦にも負けないくらいの市場に育つかもしれません。
 いまのシーズンは、勝利や合格などをキーワードとした受験商戦が盛り上がっています。今後も消費マインドは停滞が見込まれますが、新しい、または切り口を工夫した企業の経営戦略が、内需の底上げにつながると言えるでしょう。

(大和)


信頼されるGDP統計の確立を望む

 内閣府は国内総生産(GDP)の推計方法や統計の作成体制の見直しを発表した。2009年12月に公表された2008年度GDP確報や2009年7〜9月期GDP2次速報に相次いで不備が見つかったためだ。

 GDP確報は工業統計や商業統計など詳細なデータを使って速報値を見直し、より精度の高いGDP統計を作成するものである。12月2日公表ののち7日に訂正されたが、その原因は2009年1〜3月期の個人消費の推計で集計用ソフトへの入力式を担当者が間違えるという、単純なものであった。しかし、その結果、2008年度の実質GDP成長率は前年度比3.5%減→3.7%減、名目GDPは同4.0%減→4.2%減へと下方修正された。個人消費についても、実質で同1.5%減→1.8%減、名目で同1.6%減→1.8%減へと見直された。

 現在のGDPの推計方法になった2003年以降では、過去に計32回のミスが発覚しているが、0.1ポイント以上の修正となったのは1回だけであり、今回ほどの大幅な修正は初めてのことである。

 また、GDP2次速報は1次速報の公表後に新たに利用可能となった統計データを盛り込んで再推計するものである。2009年7〜9月期GDP2次速報では、2008年度確報の修正に加えて、設備投資や在庫投資で大幅な修正があり、実質GDPは前期比年率4.8%増→1.3%増、名目GDPは同0.3%減→3.4%減へと大幅に下方修正された。設備投資にいたっては実質で同6.6%増→10.6%減、名目で同2.5%増→13.7%減と、増加から減少へと大幅に修正された。

 今回のようなミスや大幅修正は、日本の統計自体に対する不信感につながりかねない深刻な問題である。内閣府は2010年12月から新しい推計方法による発表を開始する予定としている。また、GDP統計の作成にあたる人員を現在の51人から58人へと増員する計画である。日本はIMFからもGDP統計の人員拡充の勧告を受けていることもあり、これはぜひ実行して欲しいところである。しかし、他の主要国では100〜300人程度の担当者を擁してGDP統計の作成に当たるのが通常であり、依然としてマンパワー不足の感は否めない。

 GDP統計は経済統計の代表格であり、その動向は市場のみならず、景気対策や社会保障政策などさまざまな政策立案にも影響し、最終的に社会全体に波及していくのである。内閣府にはより信頼されるGDP統計の確立を望む。

(なんとか王子)


花粉症対策で景気刺激を

 環境省は今春のスギ・ヒノキ科の花粉総飛散量が、昨春と比較して、全国ほとんどの地域で少なくなるとの予測を発表した。毎年、鼻みず・鼻づまりや目のかゆみなどで憂鬱な生活を強いられている花粉症の方にとっては朗報と言えるだろう。
  筆者は幸いなことに花粉症を発症していないが、家族や同僚のなかには症状が重い方も多く、かつ、近年、発症者が増加している感じを受ける。花粉症はマスクや薬などの関連グッズの需要を発生させる一方で、集中力の欠如による生産性の低下や、引きこもりによるレジャーや外出機会の減少など、経済に大きくマイナスの影響も与えている。
  いくつかの自治体では中長期的な花粉症対策として、スギやヒノキの人工林を、持続的に木材生産を行う生産型森林と、奥山などの保全型森林とに区分し、それぞれに応じた花粉発生源対策を推進することで、花粉の量を削減するなどの対策を推進しているが、効果が出るのは少なくとも5〜10年はかかり、2月初旬から花粉が飛散しはじめる、まさに“今そこにある危機”に直面している花粉症の方にはまったく気の遠くなる話だろう。
  最近ではレーザー治療など高い効果が期待できる治療法が注目されているが、高価な設備が必要であることから、一部の医院でしか治療が受けられないと聞かれる。
  推定で約2,000万人といわれる花粉症患者の方が、レーザーなどの最先端の治療を受け、身も心もすっきりすることができれば、各職場での生産性が上昇するほか、晴れやかな気持が財布のヒモを緩ませ、買い物やレジャーの機会も増え、景気回復に相応の効果が期待できると思う。政府は景気刺激策として、国民病となった花粉症治療の体制整備・援助を行うことを検討してみてはどうだろうか。

(Caddis)


ハイチは「災い転じて福となす」だろうか

 1月12日の午後4時53分(現地時間)にハイチにてマグニチュード7.0の大地震が発生した。特に首都ポルトープランスでは建物の損壊がひどく、国連は1月27日現在、被災者は100万人を超えており、命を落とした人は20万人に達すると発表。国連ハイチ安定化ミッションにより、政治安定化活動を行っていたPKO幹部も命を落とした。
  欧米各国をはじめ、国交のなかった中国も支援活動に乗り出した。日本は援助物資の供与や国際緊急援助隊の派遣を行っており、PKO協力法に基づき自衛隊の派遣も行われる。

 ハイチはもともと主要産業が農業でありながら灌漑整備が進んでおらず、生産も不安定であり、人びとが栄養失調になることも珍しくはない。そのうえ、長い独裁政権後の政情不安にあり、軍事クーデターなどの武力衝突が多く、インフラが破壊され、極度の貧困状態にあった。
  そのような状況下で起きた今回の地震は、食料や医療などの物資の不足がさらに増し、略奪も発生しているなど、治安情勢はさらに悪化している。

 通常、水などの摂取が全くない場合、命の限界は72時間(3日間)と言われており、それ以降の生存率は大きく低下する。しかし、情勢不安下にあったハイチでは、発生直後の人命救助が遅々として進まなかった。
  発生から時間が経ってから救出されたという報道が多く、奇跡の生還が多々あるようにも感じるが、初動が良ければ、もっと早く助けられたであろう人びとの救出が遅れていたという面もある。地震発生以降、ハイチの行政はまったく機能しなかったという。インフラや住宅の整備遅れに加え、行政の未確立がさらに被害を拡大させた。

 現地は壊滅的状況であり、一からインフラ整備や町作りをしなくてはならない。ハイチ復興支援のために約20の国や機関が参加した閣僚級会合にてハイチのベルリーブ首相は、長期的な復興支援を要請した。
  支援国はただ、整備を行うだけではなく現地の人びとに技術提供、災害時の救急体制などの指導支援をていねいに行うことで、ハイチの国家情勢が安定化につながる道を示すことができる。歴史的な負の遺産を震災復興後も引きずり続けないように、国家を整備するのが、ハイチの人びとが求めているいちばんの支援ではないだろうか。

(小夏)


電子書籍は音楽配信の夢をみるのか

 アップル(米国)からタブレット型デバイスiPadが発表された。また同日、電子書籍のオンラインショップiBooksの立ち上げも発表された。
  iPadの大きな特徴点は電子書籍リーダーの機能に特化されていることだ。既存のパソコンやスマートフォンにも電子書籍リーダーの機能は存在するものの、スマートフォンでは画面が小さすぎ、モバイルパソコンでは重量などの携帯性が損なわれるなど問題を抱えていた。このため、電子書籍市場の成長は限定的であった。
  しかし、電子書籍リーダー機能に特化されたアマゾン(米国)のKindleやソニーのReaderなどが昨年アメリカのクリスマス商戦で大ヒットし、ここにきて電子書籍市場は急拡大した。
  同市場ではアマゾンやグーグルがコンテンツ数を急速に伸ばしている。日本では、2月に大手出版社21社による電子書籍協会の発足が予定されているものの、再販制度による定価販売や、著作権や版権などの権利問題もあり配信のプラットフォーム形成で大きく遅れている。
  電子書籍や電子書籍リーダーの歴史を紐解くと、パナソニックのΣbook、ソニーのLIBRIeなど日本企業は常に先行していた。しかし、上記のような問題もあり市場形成は成功せず、いずれも日本での配信サービスを終了した過去がある。

 日本はかつて、ソニーのウォークマンに代表される携帯音楽プレーヤーで圧倒的なシェアを誇っていた。しかし、アップルの世界的な音楽配信システムiTunes storeとiPodの出現を契機に音楽市場はCDなどの物理販売から音楽配信に様変わりした。近年は、CDの売上低迷に反比例するように音楽配信が成長しており、2008年の音楽配信市場(全世界)は前年比25%増の約37億ドルに成長した。現在、日本企業は音楽配信市場、端末販売ともに大きくシェアを開けられている。

 電子書籍配信市場で同じ轍を踏まないためには、メーカー、出版、著作者が一体となって、海外の市場を取り込めるようなプラットフォームを形成することが今後は求められる。

(きりん)


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