主観客観
2010年3月3日
祝日法改正を日本の活力向上に

 政府は祝日法の改正へ向けた動きを進めている。これは、消費機会の向上とそれにともなう雇用の創出が主な目的となっており、今国会で改正案が提出される見込みだ。

 検討課題には、大型連休の分散化やハッピーマンデーの見直しなどがあるが、特に今回注目されるのは大型連休の分散化である。現在5月と9月にある大型連休を地域別に期間をスライドして設定することで、これまで需要が一時期に集中していた状況を緩和し、消費面からも供給面からも機会の増大を図ろうというものだ。

 これに対して懸念されるのは、企業活動に与える混乱である。また、各地域のイベントでは需要が想定以上に弱まるだけでなく、これまでは大混雑で注目を集めたり、観覧のための競争率が高かったことで希少性や人気を保持していたものが、いずれは価値の低下につながっていく恐れもある。異なる地域に居住する者同士の休日計画にも影響を及ぼすなど、このあたりをどう調整するかが今後の大きな課題と言える。

 今回の祝日法改正案は、現時点ではデメリットも少なくなさそうだが、ワーク・ライフ・バランスなど生活や働き方の意識改革、地域振興策の拡充という面からみても、試行錯誤する意味は大きい。
 人々の生活の仕組みを設計していくことは、直接的な経済対策とともに、政府の重要な役割である。今後は改正案に対して十分な議論を重ねて、課題を解決し、日本の活力につながるものとして欲しい。

(大和)


日本のスポーツの発展に期待したい

 2月13日(日本時間)に開幕したバンクーバー冬季オリンピックが3月1日、閉幕した。出場した選手たちの活躍もあり、テレビの前で応援していると、今まで知らなかった種目を好きになったり、これからオリンピックを目指したいと思う子どもたちも多かったのではないだろうか。

 しかし、日本のスポーツ界を取り巻く状況は厳しい。2009年11月に行われた政府の事業仕分けでは、日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化費と日本体育協会(日体協)のスポーツ指導者養成事業など計32億円が対象となり、1〜2割縮減すべきと判定された。結局、2010年度の政府予算案ではJOCへの補助は4%、日体協への補助は7%の削減にとどまったが、これからも予算削減の波はやってくるであろう。

 日本の財政には単独のスポーツ予算という項目はない。体力づくり関連予算としてさまざまな名前が付けられており、文部科学省や厚生労働省、経済産業省など8省庁にまたがっている。なかでも国土交通省が同関連予算の約4割を占める。実は、このような縦割り行政が壁となり、日本のスポーツ界発展の制約にもなっている。

 多くの主要国では各国のスポーツ界を統括する組織を持つ。例えば、イギリスでは「文化・メディア・スポーツ省」、フランスは「青少年・スポーツ・非営利社団活動省」がスポーツ行政を担う。ドイツは「内務省」が民間のドイツスポーツ連盟やドイツスポーツ援助財団と連携している。各国とも、このような組織が選手や指導者の育成、人材発掘、施設整備、スポーツ振興、薬物対策、青少年スポーツ、地域スポーツ、スポーツマネジメントなど、トップアスリートから不規則型スポーツまでスポーツ界全般をまとめる役割を担っている。

 逆に、このような組織を持たないのが日本とアメリカである。ただ、アメリカはプロ・スポーツシステムが発達しており、スポーツを楽しむ環境は整っている。そのどちらも不十分なのが日本であろう。日本のスポーツ行政に関する法律としてはスポーツ振興法があるものの体系的・総合的なものではなく、文部科学省設置法第四条に所掌事務として5項目があるだけである。そのため、日本のスポーツ界を管轄する組織としてスポーツ省などの設置がしばしば議論の俎上に上ってくるのである。

 日本ではかつて、3S政策(Screen映画・Sportsスポーツ・Speed車)という国民を退廃させるものの一つとしてスポーツが取り上げられた。しかし、今では多くの人がスポーツの素晴らしさを感じているはずだ。スポーツ振興法に基づくスポーツ振興基本計画にはスポーツの意義が的確かつ多面的に示されている。スポーツの意義や理念は、日本のスポーツの歩みを誰よりも知っているスポーツ界が国民に対して積極的に語らなければならない。

(なんとか王子)


環境テロには毅然とした対応を

 今年に入り、アメリカの環境保護団体「シー・シェパード」(Sea Shepherd Conservation Society:以下SS)による日本の調査捕鯨船に対する妨害行為が相次いでいる。SSはこれまでも日本やノルウェーなどの調査捕鯨船に対して、悪臭を放つ液体を投げつけたり レーザー光線を照射するような妨害を行ってきた。しかし、最近ではロープを船のスクリューに絡ませたり、船を体当たりさせるなど、双方の乗組員の生命にもかかわるような暴力行為にまでその活動をエスカレートさせている。
 さまざまな主義主張があるのは認めるが、国際捕鯨委員会で認められている調査捕鯨をこのような形で妨害することはテロ行為であり、SSは妨害活動を即刻やめるべきである。
 高速妨害船の建造や兵器の購入など、多額の費用がかかる妨害活動を止めるには資金源を絶つのが手っ取り早いが、個人からの寄付をはじめ、アメリカの大手アウトドア用品メーカーなどに加えて、著名なミュージシャンや俳優などもSSの大口スポンサーになっていると言われている。このようなテロ行為に資金援助することが、企業ブランドや自分達のイメージアップにつながると考えているのか理解に苦しむが、最近の派手な妨害活動がさらに多くの寄付をもたらすという悪循環となっており、SSを資金面から追い込むのは時間がかかりそうだ。
 また、日本政府もこれまでSS活動家の逮捕などをめぐっては、逆にSSの活動を宣伝することになり、反捕鯨運動を助長させると及び腰だったとされる。しかし、度重なる妨害活動を受け、ようやく2月の日豪外相会談でこの問題を主要テーマの一つとして取り上げたが、豪州の政治事情もあり、話し合いは並行線に終わってしまった。
 反捕鯨運動とテロ行為はまったく別次元のものである。今後、犠牲者を出さないためにも、テロ行為には逮捕や処罰など毅然とした対応を取らなくてはならない。日本政府はSSの妨害行為を詳細に把握・公表し、今後も粘り強く世界各国の理解と協力をえる努力を続けていく必要があろう。

(Caddis)


成長国の需要を取りに行く、攻めの姿勢

 人口約13億人を抱える中国の、2009年の実質GDPは8.7%増と世界各国がマイナス成長となったなか、急成長している。インフラ整備など公共投資を主体とした内需が力強く、公共投資にともなう雇用・所得の改善により消費を生む好循環となっており、同様に2010年も高い伸びが見込まれている。日本は景気回復に向け、上海万博に向けた投資や輸出など中国の需要を取りこぼすことは出来ない。

 中国は2008年11月に打ち出した4兆元の財政支出と消費喚起策、金融緩和により国内市場のお金がだぶつき、一部は不動産や株式投資へお金が流れた。現在の投機目的による不動産価格の高騰はこのような資金を元手としているため、一般市民の住宅需要とはまったく関係のないところで行われている。銀行の新規融資額はすでに、年間新規融資目標額の約2割に達したという報道もあり、マネーサプライは急増している。
 不動産バブルへの対策として、中央銀行業監督管理委員会は企業が運転資金として借り入れた資金を不動産購入に流用することを禁じ、中国人民銀行は大手銀行に適用される預金準備率を2010年に入り、2度にわたり0.5%ずつ引き上げ、過剰流動性に対する抑制の姿勢をみせはじめている。市場では、政府の金融引き締め姿勢が中国経済に冷や水をさすとみる投資家もいるが、幸い、前述した大型財政支出の残りや、農村部も含めた生活水準の引き上げを通じた内需拡大は引き続き中国経済を押し上げ、上海万博効果も加わり成長を続ける見込みである。

 日本は、中国の需要を攻めの姿勢で取りに行く必要がある。先だって、2010年の春節(2月14日)による大型連休があり、来日した中国富裕層により一部の家電量販店などでは、特需があった。しかし元はといえば日本が獲得しに行った需要ではない。自らが需要狩りに行かなくてはいけない。日本が時間と経験により獲得したノウハウ(製品)を諸外国の企業は欲しがっている。リスクがともなう新興国経済への進出は、大企業や商社などが行うものであり自社には関係がないと考える経営者も多いと感じるが、業況が厳しいなかでも攻めの姿勢を忘れないでいることが、新たな成長につながるのではないだろうか。

(小夏)


介護従事者のキャリアパスを示せ

 総務省が発表した1月の労働力調査では、製造業の就業者数(1,053万人)が前年同月比で75万人減少し、介護サービスが含まれる医療・福祉の就業者数(642万人)は同26万人増加した。
 企業の雇用過剰感が高止まりし、採用を控えるなか、慢性的な人手不足が続いていたと介護業界に注目が集まっていることが伺える。
 介護業界は、高齢者の増加などで需要拡大が見込めることとから、政府も今後の成長産業と位置づけ重点的に力を入れている産業でもある。

 しかし、介護従事者を取り巻く環境は非常に厳しい。
厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、2009年の福祉施設介護員の月収(男女計、きまって支給される現金給与額)は調査職種129職種中116位の21万3,900円となっている。また、ホームヘルパーは20万2,500円(122位)で、公的資格である介護支援専門員(ケアマネージャー)(2009年度合格率21.0%)でも26万400円(83位)にとどまっている。給与所得者の平均月収が30万4,167円(国税庁、平成20年分民間給与実体統計を12で除して算出)ということを鑑みると、世帯主として一家を養うには厳しい収入であることがうかがえる。
 また、夜勤などによる変則勤務や一部利用者からの暴言や暴力など、精神的、肉体的に厳しく離職率も一般的な職種に比べ高いという調査結果もある。

 現在のような雇用環境が厳しく求人数が少ない時期には介護に人材が集まるが、介護従事者の所得や労働環境の改善が行われなければ、過去の事例から景気回復とともに好条件の職種に人材が大きく流失する可能性は高い。

 介護産業を持続可能な成長産業にするためには、介護従事者が安心して働ける労働環境の整備とともに、長期的な生活を営めるキャリアパスを構築することが今後も政府に求められる。

(きりん)

貫いた信念にエール

 4年前のトリノ五輪前の全日本フィギュア選手権では、浅田真央選手は、さほどのプレッシャーを感じさせることもなく、持ち前のジャンプ力を活かした伸び伸びとした演技をしていた姿があった。

 しかし、その後のバンクーバー五輪までは苦悩の4年間となった。採点方法の変更により得意のジャンプの踏み切りや着氷において、ことごとく細かい部分を指摘されるようになり、一時期、精細を欠いていたこともあった。しかし、持ち前の高い向上心と技術力で、2009年末の全日本選手権で優勝し、なんとかバンクーバー五輪の出場キップを手に入れた。

 「真央には、プレッシャーに背を向けるのではなく、プレッシャーと対峙すること」の重要性を説き、スランプから立ち直らせたという浅田選手のコーチ・タラソワ氏の談話があったが、浅田選手は見事にプレッシャーを克服しショート、フリーともに難易度の高いトリプルアクセルを決めた。しかし、結果は1位に大差をつけられての2位となった。

 今回のバンクーバー五輪では、1位キム・ヨナのフリーの得点は、150.06で、4回転を成功させた男子の小塚選手のフリー得点151.60にほぼ匹敵するほどの高いスコアとなり、男子フィギィアでも、4回転を回避し無難にプログラムをまとめた米ライサチェクが優勝した。これらの結果から、五輪後は採点方法でしばらく物議を醸すこととなりそうだが、タイムのみで白黒がつくわけではない採点競技では、いたしかたない部分があるのかもしれない。

 ただ、4年に1回の五輪で無難な演技は見たくない。競技とは、技を競い合うものである。
 より難易度の高いことに取り組む姿は、見ている人々の手に汗を握る感動を与える。次回開催のロシアのソチ五輪に向かって、これからもメダルを取りに行く演技ではなく、自分の限界に挑戦する姿を見せ続けて欲しい。

(フィギュアおたく)



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