主観客観
2010年6月3日
鳩山首相が辞意を表明、政治不信極まる

 2010年6月2日、鳩山首相が辞意を表明した。景気対策の迷走や政治資金問題、普天間基地の移設問題などで内閣支持率は急落しており、参院選への影響を考慮した面もあろうが、「国民の生活が第一」として発足した政権をあろうことか途中で放りだしてしまった。

 自民党政権で小泉首相後、3代続けて1年で倒れた政権のあとを引き継いだ新政権までもが、1年足らずで退陣となったわけだが、鳩山政権は昨年9月、多くの期待を背負っての船出であっただけに、国民の落胆は大きいであろう。前回衆院選の民主党マニフェストを改めて見直すと、すべてが虚構に映ってしまう。
政治不信は増幅するばかりで、今後、政治に無関心というよりも、政治に背を向ける人々が増加するのではないかと危惧する。

 国民生活の基盤となるはずの政治がその役割を果たしていない現状を、早急に変えなければならない。そのためには内閣総辞職では不充分である。鳩山首相が辞意を表明した以上、多くの有権者は、衆院解散によって改めて民意を問い直す必要があると感じているのではないか。内閣総辞職では、後任に誰が指名されようとも、政治不信の払拭はもはや不可能である。

 鳩山政権の崩壊は、この数年で定着してきたマニフェスト選挙を崩壊させたとも言える。この夏の選挙で、有権者は何を判断基準に投票をすればよいのか。
 この期に至っては、マニフェストやネット選挙に踊らされることなく、立候補者を自分の目でみて、その言葉や表情から感じたものを、各人が信じて判断していくほかないのではないかと思う。その有権者1人ひとりの積み重ねは、必ずや国政に活かされるはずである。

(大和)


物価における高校授業料無償化の影響

 鳩山首相は6月2日、普天間問題や「政治とカネ」などを理由として辞任する意向を表明した。2009年9月16日に発足した鳩山政権は8カ月半の短命となったが、その間に実施された政策のひとつに4月から導入が始まった高校授業料の実質無償化がある。

 この政策は、教育予算が年々減り続けているなか、就学援助がなければ経済的な理由で十分な教育を受けられない子どもたちが増えている、ということを背景にしていた。事実、高校授業料は2005年以降、公立で年平均1.0%、私立で同0.6%継続的に上昇していたのである。

 さて、高校授業料の無償化は統計的にみて物価にどの程度の影響を与えたのだろうか。消費者物価指数(総務省)によると、4月の公立高校授業料は前年同月比−98.5%、私立高校授業料は同−25.1%の下落となった。4月の生鮮食品を除く総合指数(CPIF)は同−1.5%だったが、そのうちの−0.54ポイント分は高校授業料無償化によるものであった。つまり、高校授業料無償化の影響を除くと、CPIFは同−1%程度だったとみられる。

 2010年に入ってから、CPIFの下落率は概ね同1.2〜1.3%ほどだったため、4月は物価の下落率が一段と拡大したと報じられる場面もあった。しかし、これは政策による影響が反映された結果であり、物価の下落は緩やかではあるが縮小しつつある。日本経済はいまだデフレから脱却できていないが、統計には状況の変化がさまざまな形で現れてくるため、細部を慎重にみていくと多くの示唆を得ることができる。

(なんとか王子)


証券会社は公的責任を自覚せよ

 2009年11月の東証マザーズへの上場の際、有価証券届出書に決算情報を虚偽記載したとして、半導体製造装置メーカーである株式会社エフオーアイ(神奈川県相模原市)が金融商品取引法違反容疑で証券取引等監視委員会の強制調査を受けた。すでに同社の複数の幹部が証取委に対して容疑を認めており、届出書で約118億円としていた売上高について、実際には2億円程度であったと供述しているという。同社は5月12日の強制捜査開始からわずか10日後の5月21日に破産を申請、あっという間に倒産してしまった。
 同社の粉飾は、ファンドからの出資金を簿外に移し、それを売上金として回収する手口で売上高を水増ししたとされているが、売上高を60倍も水増ししている事実を見逃すような上場審査とは一体何を審査しているのだろう。販売先への売掛金残高の確認や在庫などをチェックすれば、これだけの水増しはそれほど困難さをともなわずに解明できるのではないだろうか。
 監査を行った会計事務所、最後の砦となるべき証券取引所の上場審査の甘さにも驚くが、何よりもこの会社と上場準備・支援活動で長期間接しながら何も見抜けなかった主幹事証券会社の責任は重大であり、この詐欺というべき事件の共犯と指摘されても仕方がないと思う。
 この事件が、すでに度重なるコンプライアンス違反企業の続出により投資家離れが進む新興市場にさらなる冷や水を浴びせることは確実で、それは結果的に証券会社自身の首を締めることにも繋がる。
上場を支援する証券会社は、民間企業として収益を確保することはもちろん重要であるが、証券市場という公器に企業を送り出すという点で自らの公的責任を自覚すべきだ。今後はこれまで以上に厳しく広範囲な審査を徹底し、上場企業としての適格性に欠ける企業が証券市場に入ることを見逃してはならない。

(Caddis)


世界的な発展や景気回復を妨げる感情

 2010年5月24日、アパレル大手のレナウンは4期連続で営業損失を出し、資金援助と経営の立て直しのため中国の繊維大手である山東如意との資本業務提携に合意した。百貨店の販売不振や、海外ブランドの失敗などが、レナウンの売上高に大きく響き、希望退職者募集や本社ビルの売却など、経営のスリム化を図ったものの、単独での力及ばず山東如意の支援を受け再建を図る。

 レナウンは売上高の7割以上が百貨店での売り上げである。かつては大きな広告を打ち、ブランド力を有していたとともに、商品は上等な素材・縫製などで仕立ても良く、品質面でも消費者からの信頼を得ていた。しかし、消費者の百貨店離れによる販売不振は大きな痛手となった。今回の提携で山東如意はレナウンの技術や大口顧客などを得、レナウンは経営再建に用いる出資金と中国での販路などを得るのである。しかし、中国企業であ山東如意との提携をマイナスと捉える報道が多いように感じるのは気のせいだろうか。
 「中国企業との提携が品質を悪くする」「国の財産である技術が流出する」との声もあるようだが、品質面に関しては、それは杞憂であるのではないか。この業務提携に再起をかけているレナウンにとって、国民所得に格差のある中国において市場ニーズに合わせた商品を展開する可能性はあるが、既存の品質をただ下げるような経営判断はしないだろう。

 もちろん、過剰な技術流出は国益の損失につながるため、一定の防止策は必要である。しかし、自国で培ったものは門外不出であるという考え方では、今後の世界的な発展の妨げになるだろう。ゆくゆくは有益な技術は世界中に平準化されるものである。
 かつて産業革命はすべて西洋から始まり、日本が技術を享受できたのはそれから100年近く経っていた。当時の日本人は西洋の技術に感嘆したことであろう。いま、日本は素晴らしい技術を持っている。そして、世界全体の底上げに日本の技術を伝授すべきである。

 いま、最も怖いのは、中国企業と提携した企業に消費者がマイナスイメージを持つことと、日本経済の考え方がいわゆる「島国根性」になってしまうことである。現在、中国など新興国の外需が景気のけん引役となっているなか、感情が景気回復の妨げになることだけは避けなくてはならない。                        

(小夏)


もう1人の宇宙飛行士の帰還

 「はやぶさ」、そうまでして君は。「はやぶさ」プロジェクトマネージャ川口淳一郎氏が関係者Blogで記した言葉である。

 「はやぶさ」は、2003年5月に宇宙科学研究所 (ISAS)が打ち上げた小惑星探査機である。「はやぶさ」に課せられたミッションは小惑星イトカワに到着し、その詳細を観測、サンプル採取を行い地球に帰還する(サンプルリターン)というものである。

 そして、「はやぶさ」は世界で初めて、地球と月以外の天体に着陸し再び離脱することに成功した探査機となった。また、イオンエンジンを併用した地球スイングバイ(地球の重力を利用し、探査機の運動方向を変更する技術)や宇宙用リチウムイオン二次電池の運用、太陽から最遠方に到達するなど数々の世界初を成し遂げた。

 「はやぶさ」は今後、大気圏への再突入で燃え尽きる運命となっている。その際に、小惑星イトカワで採取したサンプルを地球帰還カプセルに乗せオーストラリアの砂漠に落とすという最後の仕事を残している。

「はやぶさ」は宇宙開発費が極めて少ない環境下で、さまざまな困難に見舞われた。その度に多くの人が汗を流し、人格も感情も持たない物体でしかない「はやぶさ」自身もそれに答え続けた。その姿に多くの人が心を動かされ、ネットを中心にさまざまなムーブメントが巻き起こった。
 困難な状況で決してあきらめずベストを尽くす「はやぶさ」は技術立国日本の誇りである。もう1人の宇宙飛行士による、世界初となる月以外の惑星からのサンプルリターンを心から願いたい。

(きりん)

成長戦略が求められるエネルギー政策

 アジアを中心としたエネルギー需要の拡大による資源確保競争の熾烈化、投機資金による資源価格の乱高下、環境問題など、エネルギーに関わる問題は多い。日本は資源が少ないが、エネルギーは生活や経済活動に不可欠なものであり、持続的な国の発展にとってエネルギー政策は重要なものである。

 経済産業省は国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の最終案をまとめ、6月中の閣議決定を目指している。この計画は2030年に向けた目標として、(1)自主エネルギー比率を現状の約38%から約70%にする、(2)廃棄物を出さないゼロエミッション電源比率を現状の約34%から約70%にする、(3)暮らしのエネルギー消費から発生するCO2を半減、(4)産業部門において世界最高のエネルギー利用率の維持・強化、(5)エネルギー関連製品・システムの国際市場でわが国企業群が世界トップクラスのシェアを維持・獲得の5つを挙げている。

 資源が豊富な産油国でも原子力発電や再生可能エネルギーの導入に動いている。アラブ首長国連邦(UAE)では「マスダールシティー」の建設が進んでいるほか、サウジアラビアのアブドラ国王は原子力開発などを担当する新たな政府組織「アブドラ国王原子力・再生可能エネルギー都市」創設の勅令を出した。環境意識の高まりや、産油国における急激な人口増加にともなう石油需要の急拡大などもあり、石油依存の経済構造から脱却し成長していくためである。

「エネルギー基本計画」は日本を発展に導く要素の1つとなれるのだろうか。ゼロエミッション電源比率を高めるために14基以上の原子力発電所を新増設するとしているが、原子力発電は安全性などに懸念があり、普天間基地問題のように住民の大きな反対を受け設置ができないかもしれない。また、エネルギー・環境分野はどの国も力を入れており、国際市場において日本のエネルギー関連商品が確実に勝ち残れる保証はない。日本をどう発展させていくのか、そしてエネルギーをどう供給し、どう使用していくのか、エネルギー産業をどう育てていくのか、道筋を立て目標を実現させていかなければ、世界から取り残されてしまうだろう。

(撫子)

たばこ税値上げで、低下が進む喫煙率

 今日(6月3日)は、禁煙週間(5月31日〜6月6日)の中日。たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう、さまざまな対策を講ずるべきであるという世界保健機構(WHO)の決議により1988年に世界禁煙デーが制定された。その後1992年に厚生労働省が世界禁煙デーに合わせて禁煙週間を設け、毎年テーマを決めて全国で喫煙や受動喫煙からくる健康被害等についての普及・啓発が行われている。今年のテーマは「性と子どもをたばこの害から守ろう」と受動喫煙の問題に重きが置かれている。

 昨今の健康志向の高まりや受動喫煙防止対策により喫煙場所は減り、喫煙率も年々減少している。2009年の成人男性の平均喫煙率は38.9%で(日本たばこ産業「全国たばこ喫煙者率調査」)、比較可能な1965年以降のピーク時の 83.7%(1966年)から半分以下にまで喫煙者は減った。
 喫煙者の減少とともに、紙巻きたばこ販売本数(社団法人日本たばこ協会発表)も減少。2009年度は前年度比4.9%減の2,339億本で11年連続の前年割れとなっている。

 また、今年10月からは、たばこ税増税にともなう値上げがある。2006年7月の前回増税時には、主力銘柄のたばこ一箱の小売価格(消費税込み)は270円から300円へと11.1%引き上げられ、以降の販売数量は毎年前年比平均で4.6%減となった。今回の増税額は1箱70円となるため、日本たばこ産業(以下、JT)の代表商品の小売価格(同)は300円から36.7%増の410円へと大幅値上げとなる。JTも通年ベースで25%の需要減少を見込んでおり、一層のたばこ離れが進みそうだ。
 こうしたなか、JTは5月中旬より東京都限定で無煙たばこの発売を開始した。種類はかぎ用(葉たばこの粉を使用した、口腔、鼻腔で香味を楽しむたばこ)で、1箱にカートリッジ2本がつき、1本につき半日から1日楽しめるという。火を使わず煙もでないため、喫煙場所の制限も少なくかつ副流煙の問題も解決できる。最近の分煙や禁煙の流れのなかで、肩身が狭くなっている喫煙者にとっては朗報だ。

 たばこメーカーにとってもメリットがありそうだ。「かぎたばこ」の場合、たばこ税は紙巻きたばこ1グラムあたりの税額が適用される。同商品の場合紙巻きたばこ2.8グラム換算となり、たばこ税は12.2円に過ぎず、消費税抜きの小売価格に占めるたばこ税が占める割合は、代表的な紙まきたばこの61.2%に対して4.3%となる。
 メーカーにとっては、今回の増税にともなう大幅値上げで失われる販売量はあるが、あらたな喫煙方法の提案により、かぎたばこの認知度が高まれば、たばこ税の占める割合からすると利益率の高い商材を提供できることとなる。

 喫煙者、メーカーともに、メリットがありそうな同商品をきっかけに、禁煙に取り組む方も多いと思われ、喫煙率の低下や副流煙問題の解決の糸口となることを祈念したい。

(もく爺)


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