主観客観

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女性労働者の活躍で企業も活きる

2010年9月3日

 今後、日本の生産年齢人口(15〜64歳人口)は減少していくと予測されている。そのため労働力が減少し、日本の経済力低下が危惧されている。しかし、日本社会が潜在的な労働力を最大限活用しているとは言い難い。その典型例が女性労働であろう。もし、結婚や出産、育児などがあったとしても女性が働き続けられれば、労働力減少をある程度はくい止めることができる。それを阻んでいる要因のひとつとして、労働における男女の待遇差別がある。

 肉体的能力が決定的に重要である職業を除き、潜在的な職業能力は男女同じと考えられる。労働における男女差別を説明する理論として、主に「偏見説」と「統計的差別説」がある。「偏見説」とは、企業が特定のグループに対して偏見を持っていて、そのグループの個人を実際の能力より低く評価するために差別が生じるというものである。言い換えると、女性は仕事を腰掛けに考えているといった思い込みから女性の能力を低く評価し、採用や昇進で男性と差を設けるという議論である。
 一方、「統計的差別説」とは、企業は女性の能力を全体としては客観的に正しく評価しているが、何割かの女性が早期に辞めてしまうため、男性を採用や昇進面で優先する、という説である。平均的にみて辞めることの少ない男性を優先する結果、能力が高く辞めるつもりもない女性が個人的に差別を受けるという考え方だ。企業は社員に行った訓練投資を確実に回収するためにリスク回避行動をとる結果、差別が生じてしまうのである。

 しかし、これは企業の競争力にも影響を及ぼす。もし、男女を均等に扱っているA社と、採用や賃金、昇進などで均等に扱っていないB社があった場合、有能な女性はB社からA社へと流れていく。有能な女性を獲得したA社では、彼女が能力を発揮する結果、A社の競争力も増すであろう。ここで、両社の競争力において第一の格差が生じる。さらに、有能な女性が抜けたB社では、彼女より能力の劣る人物が仕事を行ない、昇進していくことになる。ここで、両社に第二の格差が生じてしまうのである。
 偏見による差別であれば、偏見を改める教育をすれば良い。ところが、統計的差別は企業が合理的な行動をとった結果として生じるものであり、教育や啓発とは異なる方法を見つけなければならない。
 ただ、これには企業が単独でできるものと、税や社会保障を含め政府による対策が必要なものがある。基本的には、男女間での定着度にバラツキがあるとき、女性の定着度を上げるために、女性の就業継続支援策の実施やワーク・ライフ・バランス(WLB)の推進が重要となる。特に、WLBについては、「WLB施策を充実させている企業ほど業績が上がる」という因果関係が、日本のデータで実証的に証明されている。逆の因果関係ではない。このような結果は、企業業績の改善、人材確保や定着、社員のモチベーション向上などを考えるヒントになるのではないだろうか。

(なんとか王子)


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