主観客観

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禁煙が続かないのは

2010年10月6日

 10月1日から、たばこ税が1本当たり3.5円引き上げられた。それにともない販売価格は銘柄により異なるが1箱100円以上の値上げとなっている。厚生労働省の「喫煙と健康問題に関する検討会」報告書では価格引き上げによるたばこ消費に対する影響について、「物価上昇率や収入の増加率を超えてたばこの価格が上昇するとたばこの消費が減少」すると報告しており、今回の増税を機に禁煙を始める人も多くいるだろう。たばこは、ご存じの通り、ガンになるリスクが高まるなど健康にさまざまな悪影響を与えるため、禁煙をした方が将来のためになる。しかし、禁煙を始めても残念ながら、ついたばこに手が伸び、喫煙を再開してしまう人もいるかもしれない。

 将来の健康を考え禁煙しようとしているのに、ついたばこを吸ってしまうのは、「選好の逆転」が起こっているからだ。「選好の逆転」とは、目先の利益を優先し、本来目指すべき将来の大きな利益に目が向かないことをいう。例えば、1年後に10万円が得られる選択肢と、1年1カ月後に10万1000円が得られる選択肢を提示して好ましい方を選んでもらう実験をすると、1年1カ月待って1000円多くもらおうとする人が多い。一方、今10万円が得られる選択肢と、1カ月後に10万1000円がもらえるという選択肢だと、現在の10万円を選ぶ人が増える傾向がある。人は報酬を得る時期が非常に近くなると、目先の利益に引きずられやすくなる。禁煙だけではなく、ダイエットしようとしているのに、つい間食してしまうことや、貯金をするはずが衝動買いしてしまうことなども「選好の逆転」の一つだ。人は見返りが得られるのが遠い先のことほど、その価値を低く評価する傾向にあり、忍耐と長期的な視野を持ちにくくなってしまう。

 選好の逆転を起こさないためには、長期的な目標を設定して頻繁に思い出すこと、ガンになるなどの代償に目を向けること、たばこを吸っている人の側に近づかないなど直近の報酬に注意を向けないことなどがあるが、残念ながら特効薬はない。誘惑が多い毎日のなか、つい目先の利益を優先してしまいそうになるが、将来のことも考えて、長期的な視野に立った選択をしていきたい。

(撫子)


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