主観客観

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「神戸ルミナリエ」の永続を願って

2010年11月4日

 阪神・淡路大震災のあった1995年に被災者の鎮魂や都市の再生・復興の意をこめて開始された神戸ルミナリエは今年で16回目になる。兵庫県や神戸市、神戸市商工団体などが神戸ルミナリエ組織委員会として運営しており、イタリアのヴァレリオ・フェスティ氏と神戸の今岡寛和氏による“光の彫刻作品”が展示される。毎年、会場は全国から集まる多くの人で賑わい、2009年は12日間で365万人が来場した。

 神戸ルミナリエの運営は、入場料など観客からの徴収はなく、企業・個人の寄付や公費によってまかなわれている。しかし、本年は業績が芳しくない企業からは例年通り献金を集められず、存続が危ぶまれている。主催団体がプレスリリースした、2010年の資料には開催要項とともに前年度の決算内容と募金のお願いが記されており、金銭面での厳しさがひしひしと伝わってくる。また、主催団体の1つである神戸商工会議所が2010年9月に神戸市議会に出した提案書には中小企業の支援強化などを求めるとともに、「神戸ルミナリエの企業協賛金の確保は難しく、市としての財政的支援や規模縮小などを含めた抜本的な見直しなどが必要」と提案している。

 昨今の企業経営の悪化が企業協賛金の減少をもたらし、国も県も神戸市も財政が決して豊かではないとしても、被災者の鎮魂という性質を持つ催しを廃止することは、震災に対する人びとの記憶を薄くさせることにつながりかねない。現状でも阪神・淡路大震災を受けての催しという性質が薄れ、ただの風物詩になっているという批判もある。神戸商工会議所の提案書には「震災の記憶を後世に語り継ぐという本来の目的を完遂するよう努めたい」との一文があった。危機感をもった震災遺族らは今年から、震災を知らない人びとにも震災について伝えるため、神戸ルミナリエにて語る場を設けるという。

 神戸ルミナリエに大切なのは、規模の大きさでも光の豪華さでもなく、被災者の鎮魂や都市の再生・復興の意がこもっているかどうかである。本来の目的を忘れることなく、追悼祭の色を強くさせて、細くても永く続けることが最も被災者の鎮魂になるのではないだろうか。

(小夏)


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