主観客観

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食料の供給過多を引き起こす消費者のニーズ

2011年1月11日

 「世の中には食べたくても食べられない人がいるのだから、あなたは残さず食べなさい。」このような内容の言葉を耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。よく使われるのは、食事を残す子どもに対して大人の言う言葉だろう。本心は「もったいない」ことから来ているのだろうが、確かに、飢えに苦しんでいる人からすれば、食事を残すなんて非常に贅沢なことだと思う。しかし、いまその場で残さないことが果たして貧困にあえいでいる人たちを救うことが出来るのか。いや、問題は食事の供給過多から始まっているのである。

 日本が年間で廃棄する量は1,900万トン、その中には食品ロスと呼ばれる、本来なら食べられるにも関わらず廃棄されているものが500〜900万トンあるという。農林水産省の「平成21年食品ロス統計調査」によると、世帯食の食品ロス率が3.7%なのに対し、宿泊施設は14.8%、結婚披露宴は13.7%、宴会では10.7%に上っている。食品リサイクル法施行前などに比べて減少したものの、依然として10%を超えている。企業は、チェーン網や共同仕入グループなどにより大量購入し仕入価格を安く抑える努力をしている。過剰仕入なのではないかと疑われることもあるが、余った食材などの廃棄は有料となるため、外食産業の廃棄量削減にかける取り組みは相当なされている。
 廃棄量が多い原因は企業の供給過多ではなく、消費者のニーズが腹を満たす量ではなく、心を満たす量になっていることにあると考える。

 世帯食に対して宿泊施設などの食品ロス率は異常に高い。しかし、これらの施設や場面では食べ物が余ることが恒常化しており、「もったいないが、余っているのが普通」「仕方がない」もしくは、“何も感じていない”という消費者も多いように感じる。食べきれないほどの食事は確かに豊かさの象徴かもしれないが、この状況を放置しておいてエコも何もないと思う。包装や印字ミスによって店頭に並ばなかった商品や、賞味期限間近となったものなどを福祉施設等に提供するフードバンクなど食品ロスを減らす試みはあるが、大事なのは食品ロスを抑えることである。
 消費者のニーズが行き過ぎを抑えるには「普通の量」を変えなくてはいけないが、「もったいない」が浸透しつつあるいまこそ、余ることが恒常化した食文化を変えるチャンスとなるだろう。消費者と企業のせめぎ合いは、ぜひとも量ではなく質で行うようになって欲しいものである。

(小夏)


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