主観客観

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多様な働き方の出来る社会に

2011年1月11日

 年末年始になると「年越し派遣村」の存在を思い出す。リーマン・ショックの起こった2008年に景気の急激な悪化による派遣切りなどで職や住居を失った人達に対し、年末年始の支援のためにつくられ、派遣の働き方が問題視されるようになった。翌年は国の要請を受けた東京都が「公設派遣村」として引き継いだが、職探しのために支給された2万円を酒やタバコなど本来の用途以外のモノを購入した人が多数いるなど、支援の在り方に国民から批判が相次いだこともあり、今年は民間ボランティアの有志が年末年始に「年越しSOS電話相談」を行い、計106人から相談があった。また、国と地方自治体で連携して「住居・生活困窮者支援プロジェクト」を実施し、就職面接会やハローワークで相談を受け付けた。

 派遣という働き方は不安定であることに加え、正社員に比べ賃金が安いなど待遇や、教育機会が少ないなどのデメリットがある。そのため、正社員になりたい人のための支援や職を失ったときのためのセーフティネットが必要だ。年末年始に限った支援では効果が限られる。政府は、雇用保険と生活保護の間をつなぐ第2のセーフティネットとして、失業して職業訓練を受けている人に生活費を支給する「求職者支援制度」を来年度から恒久化することを決めたが、いまだ十分とはいえない。

 政府が労働者派遣法改正案の成立を目指していることもあり、一部の企業では派遣社員を正社員に登用する動きもあるが、派遣は繁忙期に増員対応できるなど雇用の流動性が確保できるもので、派遣を必要とする企業も多い。2010年12月の景気動向調査に寄せられた企業からの声には「為替レートや派遣法改正の動きによっては、製造メーカーの海外移転が進み、当社業績への影響を懸念」(サービス)との声もある。また、「当局の指導が厳しく派遣先・元が大変萎縮している。直接雇用を指導しているが、派遣社員にとって雇用条件は悪くなってしまう」(人材派遣・紹介)との声もあり、規制が厳しくなれば家庭を優先させたい、一時的に働きたいなど、正社員ではなく派遣社員として働きたい人にもデメリットが出てしまう。
 長く続いている雇用不安が改善に向かうためにも、画一的に規制するのではなく、セーフティネットを充実させて、それぞれの事情に応じて多様な働き方を選べる社会、安心して働ける社会の構築が必要である。

(撫子)


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