トピックス
2004年5月26日
【解消されない金融不安を裏付けた「決済用預金」の導入】

  預金などの払戻保証額を元本1,000万円とその利息までとするペイオフの全面解禁まで、いよいよ1年を切った。金融不安の高まりから2年間の延期を余儀なくされてきただけに、もはや再度の延期は許されない。

  たしかに総体としては不良債権処理も進み、金融システム不安は薄らいではいる。とは言っても、最近の"UFJ銀行騒動"や地銀大手の足利銀行破綻が物語るように、金融機関の自己資本不足は本質的には解消されてはおらず、一方の融資先も過剰債務は軽減されつつあるとはいえ、本業再生へのメドは立っていないのが紛れもない実状である。大手銀行はともかく、いまだに再編が道半ばにある地銀、第2地銀、信金、信組などの地域金融機関にとってのペイオフ全面解禁は、預金流出などのリスクがつきまとう。

  そこで政府・金融当局が打ち出したセーフティネットが、破綻前でも予防的に公的資金を注入できる新法「金融機能強化法」と新型「決済用預金」である。金融機能強化法については、すでに法案が提出され今国会で成立する見込みで、地域金融機関を対象に再編を後押しする。一方の決済用預金は、利子がつかない代わりに預金は破綻後も全額保護されるもので、ペイオフ全面解禁後に導入されることが決まっている。

  ここで注目すべきは、決済用預金の導入である。そもそもこの決済用預金、「構造改革と国際信用回復のために何としても2005年4月のペイオフ全面解禁に踏み切らざるを得ない事情と、依然として金融システム不安が解消されない実態というジレンマの産物」(金融関係者)であり、これが、「事実上のペイオフ延期」、「骨抜き」と揶揄される所以でもある。

  それでも金融庁は、全金融機関に対してこの決済用預金の導入を要請。すでに三井住友、東京三菱などのメガバンクは導入を決定し、今後、大半の金融機関が追随するという。金融機関としても、ペイオフ全面解禁後は普通預金、当座預金とも保護されないことから、決済用預金を導入し、顧客、預金の流出を防がざるを得ないわけだ。

  景気回復が叫ばれ、企業倒産も減少傾向を辿り企業再生が主流になっているとはいえ、肝心の金融セクターの完全復活が程遠いことを、今回の決済用預金の導入が如実に裏付けている。


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.