トピックス
2004年7月12日
【注目される「コスト・プッシュ・インフレ型」倒産の行方】

  景気が回復基調をたどり、企業倒産も減少傾向を見せるなかで、新たな懸念材料が浮上している。中国の需要増に端を発した鋼材など素材価格の高騰による、いわゆる「コスト・プッシュ・インフレーション型」の倒産である。

  その代表的な事例が、ファブリケーターと呼ばれる鉄骨工事業者である。建設用鋼材の1つであるH形鋼の市況価格は、ここ半年あまりで1.5〜2倍にまで上昇。そしてそのしわ寄せが、鋼材問屋からH形鋼や厚鋼板を仕入れてゼネコン発注の仕様で鉄骨を組み立てるファブリケーターに重くのしかかっているのだ。

  本来であれば、購入コストが上がればその分を売り値に転嫁すればよいわけだが、得意先であるゼネコンが承諾しないという。ゼネコンにしても、公共工事減少に伴う減収と過当競争に見舞われており、施主に対して値上げ要請は困難という事情がある。

  そもそも、鋼材価格の上昇はあくまで海外要因であり、決して国内需要が回復している訳ではない。その結果、鉄骨工事業者がコストの上昇分を押し付けられる格好になり、需要減に追い打ちをかけるように、「コスト高・製品安」という事態に陥っているわけだ。

  実際2004年5月あたりから、九州最大手の鉄骨工事業者だった「片山鉄骨」の破産申請など、コスト・プッシュ・インフレ型の倒産が見え始めている。慢性的な売り上げ不振と赤字受注によって青息吐息だったところへ、鋼材価格の急上昇が命取りになったケースである。

  もちろん、こうしたケースは鉄骨工事だけでなく、メーカーや物流など様々な業種に波及するのは必至であり、業績悪化や倒産の引き金になる恐れは否定できない。

  過去にも長期の不況によって経営体力を蝕まれた企業が、景気回復時に上昇するコストを吸収しきれずに倒産に至る事例があったが、今回はどのような展開をみせるのか、予断を許さない状況が続きそうだ。


このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.