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2004年9月7日
【資材インフレの恩恵で復活する総合商社】

  総合商社の復活が顕著になっている。総合商社大手5社の2004年3月期連結決算は、伊藤忠商事を除く4社の純利益が過去最高を記録した。なかでも三菱商事は、総合商社として初めて純利益が1,000億円を超えるという快挙を成し遂げ、"商社復活"を強く印象づけた。

  振り返れば、「ラーメンからミサイルまで扱う」と豪語する総合商社は、戦後復興から高度成長期を支えてきた日本を代表する花形産業だった。しかし、流通構造のグローバル化、デフレの定着、そしてITの普及によってその存在意義が急速に薄れていった。

  総合商社という事業形態は日本特有のものであり、日本型の系列取引に割り込む形や、海外での多様なビジネスにおけるネットワークを武器としてコミッションを得てきたわけだが、そうしたビジネスモデルそのものが崩壊。それが「歴史的使命が終焉を迎えた」(証券アナリスト)といわれる所以なのだ。

  商社はあくまでゼネコン同様ブローカー業であり、本来であればそれほど多額にのぼる借金を抱えるはずがないが、バブルに踊らされ、銀行から多額の借り入れをして不動産事業のみならず建設、ファイナンス事業にまで進出。なにせ商社は取引ルートが膨大だけに、そのバブルの崩壊による痛手は想像を絶するほどのものだった。

  その結果残ったのが、巨額の借入金と不良資産である。そうした意味ではゼネコンやデベロッパー、ノンバンク同様、遅々として進まない不良債権問題を代表する過剰債務業界の1つとなったのである。そこで、過剰債務の圧縮、リストラを進めるとともに、「事業の選択と集中」をキーワードとして、いかに縮小均衡を図り、コア事業を見出していくかが最大のテーマとなったのだった。その過程で、ニチメン−日商岩井の統合や兼松、トーメンの大リストラが断行されるなど、再編への動きも加速された。

  こうして長らく冬の時代にあった総合商社だが、ここにきてようやく大きく変貌を遂げつつある。その原動力となったのが、モノの売買で利ざやを稼ぐ「ブローカー業」から、企業や資源開発へ資金を投資してキャピタルゲインを得る「投資業」へのシフトであり、資源・エネルギー価格の上昇という追い風に乗っての鉄鋼用原料炭、液化天然ガス(LNG)、鉄鉱石などの資源ビジネスである。もちろん、食品などもその恩恵を受けた。さらに、ここ数年来のリストラ、組織改革、国内外の事業関連会社の強化も、こうした好業績の背景にあることは言うまでもない。

  また、川上ともいえる資源・エネルギー事業とともに、流通やリテール事業といった川下事業にも積極的に参入している。

  しかし、多額にのぼる投融資というビジネスモデルは一方で、多額の損失という大きなリスクを抱える。また、今回の業績回復も中国、米国などの需要拡大という外部要因に依るところが大きいことも確かであり、今後も中堅クラスを中心とした再編が続く可能性もある。ようやく冬の時代を脱した総合商社だが、安定的な資源ビジネスモデルの確立、川下事業の争奪戦など課題も多く、依然として厳しい状況にあることに変わりはないようだ。


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