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2004年12月7日
【いよいよ幕を開けた地域金融機関の再編】


  地銀、第2地銀、信金、信組の地域金融機関の再編がようやく動き出しつつある。

  茨城県を地盤とする「関東つくば銀行」と「茨城銀行」、和歌山県の「紀陽銀行」と「和歌山銀行」の統合構想が相次いで表面化、地域金融機関の再編機運が急速に高まってきた。

  ダイエーなどの大手問題企業処理や大手銀行の不良債権処理がヤマを越えつつあるなか、当面の焦点は地域金融機関の再編。ところが、山形しあわせ銀行―殖産銀行の統合発表があり、今年8月には予防的に公的資金を注入できる「金融機能強化法」が施行されたものの、その後のペイオフ全面解禁を控えた淘汰・再編への動きはいかにも鈍かった。

  今回の統合構想は、統合銀行の関東つくば銀行が4期連続の無配、一方の茨城銀行も3期連続赤字という相互補完的な統合である。また、和歌山銀行はすでに公的資金を受けているものの不良債権処理が遅れており、9月中間決算は最終赤字の公算が大きいことから、紀陽銀行による救済色が濃いものといえる。

  いうまでもなく、大手銀行に比べて地域金融機関の不良債権処理はまだ道半ばであり、さらに地域経済の低迷によって資金需要も脆弱のまま、大手銀行の地方進出も競合激化に拍車をかけている。加えて、「郵政民営化によって、2007年には郵便貯金会社がスタートすることも、地域金融機関にとっては死活問題になる」(金融関係者)こともある。

  事実、単独での生き残りが困難と見られる銀行はまだ数多く点在し、また、「現時点で健全性に問題がなくても、将来的な収益力強化のための経営統合や公的資金の活用もあり得る」(金融庁関係者)だけに、今回の統合が地域金融間再編劇の第一幕となる公算が高い。

  再編、公的資金注入のターゲットは、地域の2番手以下の金融機関がメーンとなり、すでに北海道、東北、関東、中国、九州などの複数の金融機関が取り沙汰されている。

  しかし、これで公的資金をセットにした再編の最終ステージの火ブタが切られ、来年4月のペイオフ全面解禁までには、すべての金融機関が健全化されるかといえば、「時間的に見ても信金、信組までの最終整理は不可能」(金融庁関係者)と見るべきである。金融庁も、公的資金という触媒があれば再編が進むとしているが、そのシナリオ通りになるのかは極めて不透明だ。

  そもそも、公的資金注入を受けると経営効率の数値目標の提出を義務づけられ、3年間で計画が達成できなければ経営責任を問われることになることで、各行が公的資金の活用に消極的であることや、地域金融機関が予想以上の業績回復を見せていることから、ターゲットとされる地銀・第2地銀の危機感は薄い。

  そしてその背景にあるのが、「決済用預金」の存在である。金融庁の調査によると、ほとんどの金融機関が決済用預金の導入を決定、もしくは検討していることが判明している。

  経営危機に陥った金融機関は、すぐさま預金を決済用預金に移管すれば、預金は公的に保護されることになる。ペイオフ全面解禁後も、無利子だが全額保護されるこの決済用預金導入が、預金者の不安を払拭するばかりか金融当局、金融機関の危機感をも後退させていることは間違いない。

  つまりは事実上、ペイオフは発動しないとの宣言であり、ペイオフが全面解禁された来年4月以降も金融不安は完全に払拭されないということでもある。少なくても金融機能強化法の時限立法が切れる2008年3月までは、原則として破綻処理は回避されようが、個別金融機関の経営悪化や再編という金融不安の火種は解消されないだろう。


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