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2005年1月14日
【懸念される中小企業融資の公的保証見直しの影響】


  政府による中小企業への公的支援が転換期を迎えている。その背景には、大手銀行の不良債権処理が峠を越えつつあるなか、金融機関が中小企業向け融資に対して積極的になってきたこと、さらに中小企業再生支援協議会の定着などによって、中小企業の資金繰り懸念が薄らいでいることがある。もちろん、国の財政負担の軽減もある。

  具体的には、都道府県の信用保証協会が保証する信用保証制度の見直しに着手するもので、これまでは金融機関の中小企業向け融資の焦げ付きに対して全額保証していたものを、今年の夏あたりをめどに、8割程度の保証に削減させる方針だという。金融機関にもリスクを負担させ、企業にも自立再生を促すというわけである。

  さてその影響だが、まずは金融機関へのダメージが懸念される。というのも、「融資先が倒産した場合、従来のように全額保証されなければ、焦げ付きの発生は不可避」(金融関係者)だからである。また信用保証協会付融資は正常債権に分類されており、この点でも金融機関の旨みは半減する。

  当然のことながら不良債権の再発や融資先の減少を招くことになり、特に経営基盤の脆弱な地域金融機関にとっては、今回の信用保証制度の見直しは大きな痛手になる公算が高いと見るべきだろう。

  一方の中小企業はというと、既存の融資については従来どおり、全額保証される可能性が大きく、債権回収や追加担保要求といった事態は回避できそうなことから、早急の影響は限定されそうだ。とはいえ、中長期的にみれば中小企業へのダメージは決して小さくない。

  確かに、部分的とはいえ企業間信用や金融環境の改善は見られるものの、いまだ多くの中小企業では、セーフティネット保証・貸付制度や借り換え保証制度などの公的支援によって延命が続いているのが実状である。そもそも、倒産が減少を続けてきたのも政府による中小企業への公的支援策が最大の要因であることは論を待たない。

  振り返れば、98年10月に施行され、総額29兆円、延べ170万件の融資を実行した公的支援の「特別保証」も、その期限が切れた2000年春以降、中小零細企業の倒産が続発した経緯がある。もちろん当時と現在では、金融システムや景気などの状況は異なるものの、多くの中小企業の経営実態や資金繰りは、いまだ回復には至っていないのが実状である。

  いずれにしても、ペイオフ全面解禁後も金融不安は完全には払拭されそうもないことから、今回の保証削減に端を発する公的保証の政策転換は、地域金融機関、それを命綱にする中小企業にとって深刻なボディブローとなっていく懸念は拭えない。


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