トピックス
2005年5月11日
【30兆円を超えた政府の中小企業支援策】


  2004年度の企業倒産件数は、91年度以来13年ぶりに1万4,000件割れを記録、すべての業種、地域で前年度比減少をみせるなど、倒産の沈静化はさらに鮮明になっている。

  減少要因としては、一部の業種、地域で中小企業の業況改善がみられる一方で、事業再生メニューの充実、倒産リスク回避の加速といった側面もあるが、やはりセーフティネット保証や資金繰り円滑化借換保証に代表される政府による中小企業救済策に依るところが大きい。そこで中小企業支援制度のこれまでの主な実績を中小企業庁の調べから見てみると―――。

  一時的に業況が悪化しているものの、中長期的には企業維持が見込まれる中小企業を支援する「セーフティネット保証・貸付」は、保証が46万4,748件、約7兆4,539億円(平成13年1月〜16年12月末)、貸付は38万1,984件、約7兆4,985億円(平成12年末〜16年12月末)。保証付借入金の借り換え等を促進することにより、中小企業の月々の返済額を軽減し中小企業の資金繰りを円滑化させる「資金繰り円滑化借換保証制度」の保証承諾実績は、56万8,328件、約8兆4,018億円(平成15年2月10日−16年12月末)にのぼる。

  そのほか、物的担保に依存しない新たな中小企業を支援する「売掛債権担保融資保証制度」が2万4,949件、7,048億円(平成17年2月10日時点)。経営再建に取り組んでいるものの通常の融資が困難になっている中小企業を対象とした「企業再建貸付」の融資実績は、8万2,829件、約3,182億円(16年12月末時点)に達している。

  地域性が強い中小企業の再生を支援するために、各都道府県に設置された「中小企業再生支援協議会」。いわば産業再生機構の"中小企業版"ともいえる同協議会の実績は、相談件数が5,683社、そのうち724件の再生計画策定を支援、そのうちすでに359件の再生計画策定を完了し、2万5,757人の雇用を確保しているという。

  こうして主なものだけでもすでに30兆円を超える中小企業支援策が実施され、それによって倒産が回避されていることは間違いない。しかし、本業蘇生のめどが立たなくては、残念ながらこれまでの先送りの域を出ることはない。事実、多くの中小企業が依然として歯止めのかからない需要低迷による減収と供給過剰による価格下落に悩まされている実態もある。

  98年10月に施行され、延べ170万件、約29兆円を使い果たした「特別保証」も、結局はその実施期間終了後は先送りされていた倒産予備軍が一気に表面化、倒産が急増しているだけに、今後の動向が注目される。



【ペイオフ全面解禁後もくすぶる地域金融機関再編】


  4月からいよいよペイオフが全面解禁されたが、いまのところさしたる混乱は見られない。とはいえ、いまだ単独での生き残りは困難と見られる地域金融機関は数多く存在することは事実であり、今後も救済的な統合・合併が繰り返されることはいうまでもない。

  そこで想定される今後の動きを見てみると――。昨年末、紀陽銀行―和歌山銀行、茨城銀行―関東つくば銀行の統合が相次いで発表され、ペイオフ全面解禁直前の3月には山口銀行―もみじH.D.の統合構想が明らかになっている。一方で昨年12月以降、増資に踏み切った地銀、第2地銀は16行にものぼる。しかしこうした動きのなかには、「目先の危機を乗り切るための弥縫策に過ぎないケースも散見される」(金融庁関係者)だけに、とてもではないがこれで一件落着とはいきそうもない。

  例えば、かつては第2地銀だけでも10行を超えていた関西地区。それが現在ではわずか4行にまで減少、しかもすべてがメガバンクの傘下に置かれている。つまりは単独での存続は難しいということである。もちろん、こうした事情は関西地区に限ったことではない。

  さらに、3月の山口銀行によるもみじH.D.の吸収合併も大きな衝撃を与えた。というのも、山口、広島という県をまたぐ形の広域合併であることに加えて、もみじH.D.は昨年、旧広島総合銀行と旧せとうち銀行が合併したばかりの銀行だからある。

  また、つい先日には地銀のみちのく銀行が突然、2005年3月決算で大幅な赤字転落を発表、業務改善命令の危機に立たされたことも、再編の呼び水になる可能性もある。

  そこでいま、「1県2行」、「広域合併」、「統合銀行」をキーワードにした再編、公的資金注入ターゲットとして取り沙汰されているのが、東北、関東、関西、九州地区の複数の地銀、第2地銀だという。

  ところで、最大の関心事であるペイオフ発動だが、一部には、「自己責任の啓蒙と発動シミュレーションを目的としたペイオフ発動は決してあり得ないことではない」との物騒な声もあるが、現段階では現実的ではないと見るべきだろう。しかし、本来であれはペイオフが発動されても不思議ではない金融機関が現存することは間違いない。その場合、地域経済へのダメージなどを考慮すれば、対象は信金、信組クラスになりそうで、すでにその候補としていくつかの信組の名前が挙がっているという。


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