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2005年9月7日
【懸念されるビジネスローンによる新規の不良債権発生】


  大手銀行グループの2005年4−6月期決算は、総じて好調な利益を上げ、その復活ぶりを印象づけた。ところがその中身をみると、いまだに金利引き下げ競争による利ザヤ低下、貸出総額の縮小に歯止めはかかっていない。そこで各行とも、利ザヤ確保のために血道を上げているのが、消費者金融であり、スモールビジネスローンである。

  なかでも急拡大が著しい中小企業向け新型ローン「無担保自動審査型融資」だが、案の定、ここにきて焦げ付きが目立ち始めてきた。

  三井住友の「ビジネスセレクトローン」、UFJの「UFJビジネスローン」、みずほの「アドバンストパートナー」、東京三菱の「融活力」などのスモールビジネスローンは、2002年頃から本格化。大手企業を中心とした資金需要の減退を背景に、いまやメガバンクから地銀・第2地銀などがこぞって参入、市場は驚異的な拡大を見せている。

  通常、こうした自動審査型融資では、過去2−3期分の決算書と納税証明書、商業登記簿謄本などの「定量的データ」による審査が主体である。もちろん、「定性的データ」による与信プロセスも皆無ではない。必要書類とともに来店を求め、電話で当該企業の所在確認を行い、代表者へ連帯保証も求めるケースもある。

  しかし、何度も面談し、ルーティンで融資先を定点観測してきた従来の融資システムと比べると、2−3日間で融資が決まるだけに、経営者の資質や財務状態の把握という点では、いくら与信限度額が5,000万円程度とはいえ、やはりリスクは大きいといわざるを得ない。

  また、自動審査融資では、スコアリングモデルに取引先の財務データをインプットするとデフォルト率が弾き出され、そのランクに応じた与信枠を設定する。さらに一定のロスを見込んだうえで、全体の貸出ポートフォリオの範囲内でリスク管理を行うという「ポートフォリオ管理」も採用している。当然のことながら融資件数が伸びれば、これらのデータも蓄積されることで、本来であれば与信精度は向上することになる。

  それでも、リスク判定の精度には疑問が残る。そもそも、融資対象は大手銀行では大半がこれまで付き合いのなかった取引先であり、その精度には自ずと限界がある。

  そこで、審査・営業体制強化のために、大手銀行や地銀クラスでは、信金OBなど経験・スキルを持つ人材を採用しているという。

  いずれにしても、ビジネスローンのスコアリングモデルは、やはり不十分といわざるを得ない。一方で、本業の不振に苦しむ中小零細企業が、こうしたビジネスローンによって立ち直ることは至難のワザであり、結局は日々の資金繰りに消えてしまうケースが多いのはいうまでもない。

  それでも、業務純益の低迷にあえぐ銀行だけに、利ザヤを稼ぐためには消費者金融とともに、このビジネスローンを増強せざるを得ないのが紛れもない実状なのだ。

  たしかに、大手問題企業の過剰債務問題は峠を越え、銀行の不良債権問題は終息しつつある。しかし、中小企業向け債権の処理はこれから本番を迎えるうえに、こうしたビジネスローンや無担保融資の拡大によって、今後、ロットは小さいながらも新規の不良債権が積み上がっていく懸念は拭えない。


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