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2005年10月7日
【規制強化で被害続出の外国為替証拠金取引の危うさ】


  証券や銀行がこぞって富裕層をターゲットにした商品開発・販売に躍起となっているように、このところブームになっているのが、「富裕層の取り込み」である。ちなみに米国では、富裕層向けの投資顧問事業の市場規模は60兆円に達するという巨大市場を形成している。

  日本では、証券会社が資産の運用・管理を代行する「ラップ口座」などが主力だが、野村証券は最低預入金額が1億円という破格の金融商品を発売。さらに、金融だけでなくネットビジネスでも、楽天が新サイト「高級品市場」を開設、1億円を超える時計や1,200万円もの盆栽などを売り出す予定で、"富裕層"を巡る熾烈な資産争奪戦の火ブタが切られている。

  しかし一方では、2004年9月にシティバンクが富裕層向けのプライベートバンク業務に関する法令違反によって営業許可を取り消されるという事件が起きているが、ここにきて富裕層を狙った詐欺的な商法による被害が続出し始めている。

  つい先日には、海外の銀行預金による高利回りの配当を謳って、少なくても1,000人以上の顧客から100億円もの資金を集めていた資産運用会社「Gestion Privee Japon」が破綻、マスコミを騒がせたのは記憶に新しいが、そのほかでも資産運用目的で投資家から資金を集めた末に破綻、事件化するケースが相次いでいる。

  そしていま、最も注目を集めているのが、今年7月に施行された「改正金融先物取引法」の直撃を受けている外国為替証拠金取引(FX)業者。このFX取引は、1998年4月の外為法改正によって個人の外為取引が自由化された。元手資金の10〜20倍の売買が可能であることから、超低金利、カネ余りを背景として市場規模は、「ここ5年間で30倍」(業界関係者)にまで膨らみ、高齢者や中小企業経営などをメーンターゲットにしてきた。ところが、ここにきて多額の損失を被ったり、詐欺まがいの商法による苦情が続出している。

  そこで金融当局は、登録の義務付けや資本金制限、一方的な訪問・電話勧誘の禁止などを骨子とした「改正金融先物取引法」を施行、業界の浄化に乗り出したわけだ。すでに、「ウェストミンスター」、女子マラソンの野口みずき選手のスポンサーとして知られる上場企業の「グローバリー」などへの行政処分を断行している。

  一方で、「フォレックスジャパン」(破産、負債約150億円)、「フーバン」(破産、同約5億9,000万円)、「ファイナンシャル・ワン」(破産、同約7億円)などが相次いで倒産、破綻ラッシュも始まっている。9月には独立系大手のFX業者だった「グランリッツ」が、約50億円の負債を抱えて自己破産している。ただ、このグランリッツのケースは赤字体質だったうえに、円安・ドル高への適正なカバーができなかったことが破綻原因であり、詐欺的なものとは異なるものの、逆に本来の経営要因で破綻に至ったことこそ、業界の厳しい実状を物語っている。

  ここにきて倒産やトラブルが一気に顕在化し始めたのは、今回の改正法では、すでに開業している業者に対しては今年末までの猶予期間が認められていることから、駆け込み的に強引な営業に走っているためなのだ。さらに問題なのは、倒産歴のある人物や詐欺集団のリーダーと思しき悪徳FX業者が驚くほど多いことであり、マルチまがい商法も散見され、なかにはあの豊田商事の残党もいるという。

  もちろん法に則った正規の業者も存在するが、当面は改正法の施行によって、業界の淘汰や強引な商法によるトラブルが加速することは間違いない。そもそも、為替の変動予測はプロでも困難なものである。やはりこのFX取引、商品のハイリスク・ハイリターンぶりも含めてあまりにリスキーであり、しばらくは混乱が続くことになろう。


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